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20話
しおりを挟む「あの、魅了魔法とは?」
疑問に思ったので聞いてみます。
「ああ、そのままだ。ターゲットに魔法をかけると魔法を使った者の虜になる」
「アレクシアから聞いた話で、最後その女が叫んだ事で周囲がガラリと変わったのだろう?」
「ええ、そうです」
「そんな事になるのは魅了魔法が1番に思いつく。それにアレクシアだけが魅了に掛からないのもその証拠だ」
そういえば、私だけ正常だった。
「アレクシアに掛からなかったのは魔力が遥かに聖女よりあるからだ。普通の王族なら魅了魔法など掛からないがあの王子は魔力は平均だしな。それに魅了魔法関係なくアイツらはあの女に夢中になっておったしな。救いようがない」
シュヴァルツ様はやれやれと呆れている様だった。
「魅了魔法に掛かった人達はそのまま魅了魔法に掛かったままなのですか?」
「多分、憶測だが聖女の魔力は魔族にとってはそうでも無いのだろう? シュヴァルツ」
「そうだな、しかもあの人数からすると……」
「魅了魔法は今日だけで、明日には解けるか……」
「まあ、そんなところだ、アレクシア」
「はい」
よかった。掛かったままなら大変な事になっていたわ。私にとってはもう大変な事になっているけど……。
「さて、今日はもうそろそろ休んだ方がいいだろう」
「長い事話してしまったな」
「いえ。色々知れて、混乱もしましたが話して頂きありがとうございます。シュヴァルツ様」
「それでアレクシア、どこにも行くところが無いだろう?」
「はい、ヴィンス様……」
「しばらくここ魔王城に居ないか?」
「えっ? いいのでしょうか?」
ここに居られるのは、すごく嬉しいし、助かるけど、迷惑じゃ無いかな?
「アレクシアよ、素直に甘えておけ」
「シュヴァルツ様……」
そうですね。ここから出ても頼れる人などいませんから。
「ヴィンス様、しばらくよろしくお願いします」
「ああ、こちらこそ。 それじゃあ、侍女を呼ぼう」
ヴィンス様がベルを鳴らすと1人の女性の魔族が入って来た。
「魔王様、お呼びでしょうか?」
「ミア、今日からアレクシアがここに住む。とりあえず客間に案内して、アレクシアが心地良く過ごせる様にしろ」
「はい、畏まりました」
こちらをミアが見た。すると一瞬驚いた顔をしたがすぐに表情が戻った。
「アレクシア様、ミアと申します。 これからよろしくお願い致します」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
「アレクシア様、私には敬語は必要ないです」
「そう……。では、よろしくね。 ミア」
「はい。 それではお部屋にご案内致します」
その後、改めてシュヴァルツ様とヴィンス様にお礼を言い、ミアに案内されて部屋で休ませて貰いました。
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