聖女によって婚約者を取られ追放された公爵令嬢は魔王に保護される

ラキレスト

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33話

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 引き続きガゼボでエリザと共にお茶を楽しむアレクシア。最初に話し始めたのはエリザの方だった。

「アレクシア様。本日は突然魔王様とアレクシア様のところに来て申し訳ありませんわ……」

「いいえ、少しだけ驚きましたが大丈夫ですわよ」

「正直に申しますと魔王様の近くに女性の影あると聞き、居ても立っても居られなくてですね……。どんな女が魔王様を誑かしているのかしらと思い突撃しましたわ」

「そ、そうなんですの」

 アレクシアはエリザは行動派なのだなぁ~と思った。

「そしたら、思いもしないことにアレクサンドラ様と瓜二つなんですもの。アレクサンドラ様が生き返ったのかと思いましたわ!」

「そんなにわたくしとアレクサンドラ様は似ているのですか? 以前、シュバルツ様にもそう言われましたわ」

「もう、まさに生き写しの様ですわ! 今度魔王様にお願いしてアレクサンドラ様の肖像画を見せていただくとよろしいですわ!」

「そうですの。そこまで言われると見てみたいですわね! それではヴィンス様に言ってみますわ」

 以前にもシュバルツに言われたことがあることだが、さらにエリザからも言われると尚のこと気になるアレクシア。

「少し話は脱線致しましたが、アレクシア様を見た時、今まで魔王様に近寄って来た女性達とは何か違うと思いましたがまさかの魔王様の方だったとはですわね!」

「??」

 ヴィンス様の方??

「ふふっ。鈍感なところがまたなんとも言えないですわ」

「鈍感?」

「わたくしはずっと魔王様が好きで、ずっと魔王様を見てきました。魔王様自身も女性など興味が無さそうでしたが、魔王様という地位とあの美貌。それが魅力的過ぎるのでしょう。わたくしは魔王様が別に魔王で無くとも多分好きになっていましたが、これまで魔王様に近寄って来る女性は皆小賢しい、性格の悪い、野心、下心満載の者達ばかり」

「それは、お気の毒ですわね……」

 エリザが言ったことに若干引きつつ、やはり高い地位につく者は大変だなと改めて思った。

「だから、わたくしが魔王様に悪い女がつかない様にいつも牽制していたのですわ! もしわたくしが諦められる様な女性が現れた時にはわたくしも諦められるのかもしれませんわ……」

「エリザ様……」

「でも! 最後まで諦めませんわ! だからアレクシア様、どちらが魔王様に選ばれても恨みっこ無しですわ!」

「へぇっ?」

「アレクシア様はわたくしの友達でありながらライバルですもの!」

 エリザはアレクシアにそう言ってニコッと笑った。

 アレクシアはその言葉の意味を理解し、またヴィンセントのことを思い出し顔が赤くなった。
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