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34話
しおりを挟むやっと落ち着いていた顔がまた赤くなり今日はコロコロと顔色が変わる日だな~とアレクシアはどこか他人事の様に心の中で思った。
「アレクシア様は魔王様のことをお好きなのでしょう?」
「ヴィンス様のことは好きですけど、それが異性として好きなのかまだ分からなくて……」
アレクシアはエリザにそう言った。今までアレクシアはそういった色恋など無縁に近かった。婚約者であったダニエルはアレクシアのことを蔑み、嫌い、アレクシア自身もダニエルのことが嫌いだった。
婚約者がいることで他の男性には近づかないし、そもそも男女問わずパンテル王国にいた時は誰も優しくなどしてくれる人などほとんど居なかった。唯一優しかったのは侍女のリラと王妃様、比較的国王様も優しかった。
だから、いまいち恋心がどんなものか正直分からないでいる。
「アレクシア様、魔王様を思うとどんな気持ちですの?」
「ヴィンス様をですか?」
「ええ」
ヴィンス様を思うとどんな気持ちになる?
ヴィンセントを思い浮かべてみる。ほのかに赤くなる。
ヴィンス様を思うと何故かドキドキしてでも嫌な感じじゃ無いわ。
「ヴィンス様を思うとドキドキします。でも、嫌な感じじゃないですわ……」
「まあ! それで魔王様に会うとどうなります!?」
こんな話をするなんて少し恥ずかしいけど、お友達とこんなお話をする日が来るとは思いませんでしたわ。
「そう、ですわね……。ヴィンス様とお会いするともちろんドキドキはしますし、でもすごく会えたことに嬉しく思いますわ」
「じゃあ、例えば魔王様が他の知らない女性と居たらどう思いますか?」
「ヴィンス様が他の女性と……?」
アレクシアはヴィンセントと他の女性が一緒にいるところを想像してみる。
ヴィンス様が他の女性と仲良さそうに話し、寄り添って居たなら私は……。そう思うだけでモヤモヤとした気持ちがいっぱいになります。
「ヴィンス様が他の女性の方とご一緒していたら私は、嫌、ですわ。こうモヤモヤとした気持ちでいっぱいになりますわ……」
エリザはアレクシアの話を聞いて確信した。
「アレクシア様、それは魔王様に恋をしているのですわ!」
「……恋? 私はヴィンス様に恋をしている?」
「ええ、そうですわ」
私はヴィンス様に恋をしている……。この気持ちが恋……。こんな気持ち初めてで今は戸惑っていますがまったく嫌ではありませんわ。
エリザもそんなアレクシアの様子を見て微笑んでいた。
これで正々堂々と魔王様にアタック出来ますわ。やっぱり同じ土俵に立たなくては!
エリザは実に公正だった。そしてそんなエリザに恋心を気付かせてもらったアレクシアだった。
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