聖女によって婚約者を取られ追放された公爵令嬢は魔王に保護される

ラキレスト

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37話 ヴィンセントside

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 ブランシェ聖国が禁忌を犯した……とシュバルツが言った。一体何をしでかしたのだろうと疑問に思う。

「この事は他言無用で頼むぞ? 誓えるか?」

 シュバルツが私とヒューにそう問いかけてくる。もちろん、神の眷属であるシュバルツが話すことだ。絶対に秘密にしなくてはいけない事なのだろう……。

「ああ、誰にも言わないと誓うぞ」

「私も、誰にも言わないと誓います」

「なら、話そう」

 シュバルツは私とヒューの宣言を聞き、話し始めた。

「あのブランシェ聖国は聖女の魂を召喚してしまったのだ」

「魂を召喚?」

「ああ、沢山の人を生贄として殺し、あの聖女の魂を別の世界の輪廻からこの世界に引っ張ってきてしまったのだ……」

 まさか、そんなことをするとは……。しかし、それは本当に可能なことだったのか?と思っていると……。

「ヴィンスよ、出来てしまったから我々は神罰をくださなければならんのだよ」

「いや、そんなことは神にしか出来ないと思ったからな……」

「あの聖女の魂とブランシェ聖国の願いがタイミングよく一致してしまった。双方が引き寄せられて出来たことだな」

 彼らにとってはタイミングがよく幸運だっただろうが、神々を含めブランシェ聖国をよく思ってない国々は不運だった。しかもこの上なく迷惑だ。

「しかし、何故魂だけなのでしょうか?」

「その方が呼びやすいからだ。多分巫女の1人にでも宿らせて出産させたのだろうな。だからブランシェ聖国はその巫女から産まれた子は聖女だと疑わない。しかし、その巫女が子供を連れて逃げ出していた様だがな……」

「逃げ出した?」

「ああ、聖女の母親である巫女は純粋にアルバニア神を信仰していた。だから教会の上のものに神のご意志だと言われても不信感が拭えなかった。それで子を宿したが自分が汚された様な道具にされた様な感じがし、彼女は心が壊れそうだった。でも、聖女と言われているこの子は守ろうとブランシェ聖国から逃げ出したのだ」

 しかし、そう簡単にブランシェ聖国から逃げ出せるものだろうか?

「シュバルツ、その巫女はどうやってブランシェ聖国から逃げ出した? ましてやパンテル王国に居たんだろう?」

「彼女を逃すことのできる奴は限られているだろう? ピンと来ぬか? ヴィンスよ」

 シュバルツはニヤリと私を見て笑った。……ブランシェ聖国の目を欺いて逃すことの出来る人。……まさか、人では無いのか?

「シュバルツ、そのお方はもしかして……」

「ああ、そうだ。彼女を助けたのはアルバニア神の眷属である神獣セフィドだ……」

 シュバルツの言ったことにまた、私とヒューは驚いた……。
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