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36話 ヴィンセントside
しおりを挟むアレクシアが聖女を陥れただと?ヴィンセントはヒューからブランシェ聖国がそう解釈していると聞き、不快に思った。
「まったくもって自分勝手に解釈する国じゃの」
そう言って現れたのはシュバルツだ。
「シュバルツ……」
「まあ、落ち着けヴィンス。我の主人を含め神達とその眷属である神獣は此度の件について真実を知っておる」
シュバルツは真剣にそう言った。
「シュバルツ様、真実とは?」
ヒューがシュバルツにそう問いかける。
「聖女が聖女では無いという真実さ」
「! ……それは」
「知っての通りブランシェ聖国の勝手な思想だな」
「やはり、あいつらは碌なことをしない」
「ああ、そうだな」
本当に厄介な国だ。何が自分達は神に選ばれた国だ。迷惑極まりないな。それにアレクシアが悪者になっているのが気に食わん!アレクシアはあんなに素敵な女性なのに。
「アレクシアには指一本も触れさせない!」
そう強く思った。アレクシアは私が守ってみせると……。
「ハハハッ! ヴィンスのその様な姿が見れるとはな!」
「なんだよ、シュバルツ……」
「いや、お前にもそんな気持ちがあったなんてな……。我はアレクシアに感謝するぞ」
「シュバルツ、お前な……」
「私もアレクシア様には感謝致します」
「ヒューお前まで……」
シュバルツとヒューが笑顔でそう言う。
「昔の魔王様はどんな時でも感情を表に出すお方ではありませんでしたから……。それがアレクシア様がこの魔王城にいらっしゃってからの魔王様はすごく楽しそうにお過ごしですよ」
ヒューそう言われて思った。確かにアレクシアが来てからは毎日がすごく楽しい。来てすぐにアレクシアは体調をくずして数日寝込んでその間はすごく心配したが、アレクシアの看病をして彼女の側にいれることが幸せだと思った。多分アレクシアに出逢ってすぐに惚れたんだと思う。一目惚れというやつかな……。
そんなことを考えてると表情に出ていた様だ。
「本当に優しい顔をする様になったな、ヴィンス」
「ええ、いいお顔ですよ。魔王様」
そう言われるとなんか恥ずかしいな……。
「話は元に戻すがアレクシアを狙っているブランシェ聖国だが、近々破滅するだろう……」
「!! ……それは何故だ?」
シュバルツが発言したことに驚きを隠せない。それはヒューも同じだった。
「簡単に言うなれば、禁忌を犯したとも言えようか」
「禁忌を犯した?」
「ああ、まさか人間如きがこんなことできるはずも無いと思っていたがブランシェ聖国はしてしまった様だ……」
ブランシェ聖国は何をしでかしたというのだ……。
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