毒華は自らの毒で華を染める

夜船 紡

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影は華を連れ戻す※

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庭に出て、空気を吸う。
倦怠感の所為か、庭に出るだけで息が上がってしまう。
綺麗な月が空に浮かびあがり、灯りがなくても何とか歩けそうだ。
室内用の靴で、ゆっくりと庭を歩く。
風が少しだけ肌寒い。

「貴方は、あの方の想いに応えようとされないのですか?」

背後からの声かけに思わず肩を揺らして振り向く。
そこに立っていたのは、いつも世話をしてかれる使用人の少女だった。

「あの方の与える快感に身を委ねたフリをして抜け出す機会を窺っていたんですか?」

顔が丁度影に当たり、表情が見えない。

「私は・・・私達は、貴方が来た所為で触れていただけなくなったのに・・・その貴方は、逃げようとするんですか?」

ギラリと光る銀色の刃物。
それを両手に持ち、少女は言う。

「戻ってください。あの方を、これ以上悲しませないうちに」
「わ、私は・・・」
「早くっ!」

ガタガタと震えはじめた少女から背を向け、思わず走り出した。

「っ!!ま、待てっ!」

ピーーーッと高い笛の音が静かな庭に鳴り響く。
その瞬間、私には何が起こったのかわからなかった。
ただ、気づけば、地面に背中をついて少女と同じ服を着た女性に押し倒されていたのだ。

「ダメですヨォ?ミュゲ様を悲しまるようなことはネェ?」
「貴方は・・・」

今ならわかる。彼女はあの時、乗馬での時、散々焦らされ、弄ばれた時の女性だ。

「ふふ。乗馬の時モ、気持ち良かったデしょう?」
「嫌、やめて・・・っあ」
「快感の種はモゥできてるんですヨォ?」
「ひっあ、あ、くぅ」
「サァ、一緒に戻りまショウね?」
「あふぅ、や、・・・だ、ダメ・・・」

敏感な場所を的確に触れられ快感に慣れた身体は抵抗をする事なくはしたない声が出てしまう。
声を抑えようとしてもそれすら出来ないほどの責めに私は屈して、あっという間に高みに登る。

「そんなに敏感になってるのに、元に戻れると思っているんですか?」
「実家モ、何もかも失ったノニ、ココを出てどーするですか?」
「ふっあ・・・・」
「自分の身体を持て余すだけですよ」
「貴族が、自分では働けナイでショウ?」
「あっぐ・・・そ、それでも、嫌・・・なの」
「嫌ですって!」

その言葉を聞いて女性に弄ばれているアネモネを見ていた少女はギリッと唇を強く噛みしめ、血が流れてくる。
そして、静かに涙を流しながらもアネモネを鋭い眼差しで睨みつけた。

「私が、どれほどその立場を望んでいるのか、貴方にはわからないでしょうね。この身体にはあの方が触れた感触がまだ残っている・・・そして、それがいつだって私を蝕むの。また、触れてほしいと、願ってしまうの」

女性に押さえ込まれながら、アネモネはその言葉が脳内にまで深く入り込むような気がしていた。
———ガシュッ
銀色のナイフがアネモネの顔スレスレに刺さる。

「ひぃっ」
「・・・ふふふ。大丈夫、傷つけたりしないわ。そんな事をしたらあの方に、ミュゲ様に叱られてしまうもの・・・。でも、貴方を連れて帰れば、きっと褒めてくださるわ。そして褒美を貰うの・・・」

まるでそれが現実であるかのように少女はうっとりとしながら女性に告げる。

「もう、充分昂らせたでしょう?」
「ソウネ。もう、充分ヨ」
「ほら、立ちなさいっ!」
「ぅんっ・・・!」

女性の手が名残惜しそうに離れる。だが、高みに昇る寸前で止められた身体は、脱力して立つだけで精一杯だった。
それでも、産まれたての馬のようにガクガクと震えている。

「さあ、戻るのよ。・・・少しでも立ち止まったら・・・」
「あっ・・・ぁっ・・・」
「こうして刺激してあげるわ」

ナイフが目の前の地面に刺さった時、アネモネは恐怖で体が震えた。その時点で、アネモネには彼女の言葉に逆らうという意志がなくなってしまった。
甘い刺激を受けながら、来た道を戻る。
道中も足が止まるたびに敏感な胸を、お尻を嬲られ、愛液が粗相をしたかのように滴り落ちる。それすら言葉で揶揄され羞恥心が、彼女の劣情をさらに昂らせた。
邸に戻った時には、もうアネモネの意識は快感しか残っていなかった。
そして、邸の前で微笑んでいる彼女を見て、アネモネはああ、もう逃げ出せない。と本当の意味で涙した。
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