プログレッシブコンキー

宮橋くれなゐ

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出会う。そして、巡る。

1.3

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レンヤートと姫月は控室を出て、レストランに向かって歩いていた。レストランは古い石造りの建物で、窓からはイタリアの美しい街並みが見える。彼らが席に着くと、レンヤートが周囲を見渡しながら話しかけた。

「姫月、都姫くんはどこにいるの?もう少しで合流できるってさっき言ってたけど。」

「少し遅れているみたい。もうすぐ来るはずだから。」

その時、扉が開いて都姫が入ってきた。彼女は少し息を切らしながらも、笑顔で二人の方に向かって歩いてきた。

「ごめんなさい、お待たせしました!ちょっと写真を撮るのに夢中になっちゃって。」

レンヤートは立ち上がって都姫を迎えた。

「大丈夫ですよ、都姫くん。さあ、座ってください。」

都姫は席に着き、メニューを開いて目を輝かせた。

「本場のイタリア料理楽しみにしてたんです。」

何にしようかなぁとメニューを吟味している姿や、姫月と仲睦まじく会話している都姫を見ると、レンヤートは心が穏やかになるのを感じた。

ウェイターが注文を取りに来ると、都姫は興奮気味にメニューを見ながら注文を伝えた。

「ジェノヴェーゼのパスタをお願いします。それと、ミネストローネとフォカッチャも一緒に。」

ウェイターは笑顔で頷き、注文を確認して去って行った。

「都姫くん、姫月から聞いたんですが、君は世界的に有名なフォトグラファーらしいですね。」

都姫は少し照れたように微笑んだ。

「ええ、そうみたいです。でも、自分の姿を写真に撮ることはほとんどないので、名前だけを聞いたファンの方からよく女性と間違えられるんですよね。複雑だけど嬉しいです。」

「姫月にインターネットで調べたら、君が撮った写真がたくさん出てくると聞きました。とても素敵な写真ですね。」

姫月が続けて話した。

「レンヤートも都姫の写真の虜になっちゃったのね。やっぱり都姫が撮る世界は人の心を動かすのよ。」

姫月が都姫の事について熱弁していた時に、見計らったかのように料理が運ばれてきた。バジルの香りが広がり、都姫は目を輝かせて喜びの声を上げた。

「すごく美味しそう!」

姫月もさっきの熱弁が嘘だったかのようにサラダを食べ始めた。

都姫は一口一口を楽しむように食べ、まるでリスのように頬袋を少し膨らませてフォカッチャを口に運んでいた。都姫の目は大きく輝き、彼の顔には満足そうな微笑みが浮かんでいた。

「本当に美味しい!本場のイタリアンってこんなに美味しいんですね。」都姫は嬉しそうに、ミネストローネスープを掬って飲む。

「それは良かった。ところで都姫くん、写真を撮る時に何を大切にしていますか?」

都姫はスプーンを持ったまま少し考えた後に、スプーンを置き答えた。

「俺は、被写体の本質を捉えることを大切にしています。ただ美しいだけでなく、その瞬間の感情や物語を伝えたいと思っています。」

レンヤートはその答えに感心し、さらに興味を持った。

「それは、とても良いですね!写真には心が込められているのが分かります。ぜひ、君の作品をもっと見てみたいです。」

都姫は微笑んで頷いた。

「ありがとうございます、レンヤートさん。いつでも見に来てくださいね。」

食事を楽しむ合間に、姫月と都姫は何気ない会話を続けた。

「都姫がこんなに楽しんでるのを見るのは久しぶりだね。普段は忙しそうだから、こんな風にリラックスしてる姿を見ると、お姉ちゃんは嬉しいよ。」

「お陰様ですごく楽しい!イタリアは来るの初めてだから、本当に新鮮。ありがとうね、誘ってくれて。」

「ううん、いつでも誘うよ。都姫が喜んでくれるなら、それだけで私は幸せだから。」

その言葉に都姫は微笑んで頷き、再びパスタを一口食べた。レンヤートは彼らのやり取りを微笑ましく見守っていた。

食事が終わり、
レンヤートと姫月が共に都姫をホテルまで送っている最中の会話の中で

「都姫くん。明日、君が撮った写真を見せてもらうことはできますか?どんな作品を撮っているのか、今日撮った写真に興味があります。」

都姫は少し驚いたが、

「もちろんです、明日お見せしますね!わざわざホテルまで送っていただき、本当にありがとうございました!おやすみなさい!」

というやり取りがあった。

普段、初対面の男性と明日会う約束をしないレンヤートにとって異様ともいえる行動だった。

終始驚きを隠せなかった姫月は、

「本当に、レンヤートどうしちゃったの?まさか、都姫のことが好きになっちゃった?自分からは誘わないで有名なレンヤート様が、うちの弟を誘うとはね。」

と揶揄い気味にレンヤートに言葉をかけた。
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