4 / 10
4.助けを呼ぶ侯爵令嬢
しおりを挟む
「え、ざし……? 何ですって?」
妹が馴染みのない名前に、聞き返して来るが、教える必要も無いので、沈黙で返事を返す。
母達も衛兵達も、私の言葉が意味が分からないのか、ポカンと、こちらを見つめるだけだ。
「別に分からなくていいわ。ただ、私の力をもうこれ以上使う気は無いと、さっきから言ってるだけだもの」
「だから、そんな事を許す訳ないでしょう!! ちょっと、何をまだボサッとしてるのよ!! 早くアイツを捕まえてちょうだい!」
「は、はっ!!」
妹の命令に、衛兵達が再び私を捕らえようとしてくるので、私は捕まえようとしてくる手を避けつつ、外へ向かって走り出す。
もう一度だけ働かないかと伝えた言葉も無碍にされたし、それなら、後はとにかくこの家から逃げるだけだ。
ここを出た後のことは、まだ何も決まっては無いけれど、まずはこの家を出るのが兎にも角にも先決だものね。
父に命じられて、私を捕らえようとしてくる衛兵達を避けつつ、見付けた門へと向かっていく。
もう少しで外に出れる──!
外に出れば捕まえるのを諦める訳では無いとしても、この屋敷から逃げ出したくて。
私は力の限り走った。
そうして、あと少しで外に出れると言う所まで来た時。
──何? 何か背中から……
背中から熱いものが来るのを感じた瞬間、それは強い衝撃となって私の背中に当たった。
ドンッ───!!
「きゃあああああ!!!!」
地獄の炎を背中にでも受けたかの様な熱さ……いえ、痛さに、私はその衝撃に耐えられず、倒れる勢いで転んでしまった。
痛い! 痛い、痛い、熱い、痛い──!
何、何が起きたの!?
背中が、痛くて熱くて、肌が少しの風に触れるだけでも激痛を感じてしまい、起き上がる事もままならない。
「おい。ラシェル、何、家から逃げようとしてんだよ」
私が痛みに耐えながらも起きようとした時、その声は聞こえてきた。
何とか首だけを後ろへと向かせると、そこにはいつの間に来ていたのか、杖を構えた兄の姿があった。
「お、兄様……」
「は、俺を兄と呼ぶなら、妹として家のためにギフトの力を使えってーの。まだ逃げるつもりなら、もう一発今よりも熱い火の魔術をくらわしてもいいんだぜ」
そうか、さっきの背中に当たった熱の衝撃、あれはお兄様が放った魔術の炎だったのね。
姿が見当たらないから娼館にでも行ってるのかと思ってたけど、隠れてたんだわ。
確かにそう言う性格の人だったわ、この人。
兄の性格と、得意属性の術の事を考えれば、背後からの攻撃なんてあり得たはずなのに。
油断した、油断した──!
門はもう目と鼻の先にあるのに。
自分の油断に唇をギリッと咬み、地面に爪を立てる。
「油断も隙もありゃしねえな。逃げようなんて、甘い事考えるなよ。おい、コイツの腕や足を押さえておけ」
私を金のなる木としか思ってないお兄様が、鼻で笑いながら衛兵に命を下す。
大人の男数人がかりで押さえつけられれば、いくら前世が妖怪だったとはいえ、座敷童子だった私は、そこまで力が強い妖怪でも無いし、ましてや怪我をして動けない今の私には、振りほどく事など出来る筈も無い。
身動き出来ない私を見て、醜いまでの笑みを浮かべながら、お兄様が、衛兵の剣をスラリと抜く。
何……何をする気なの……。
兄の下卑た笑みと抜かれた剣に、嫌な予感しかしなくて、逃げ出そうともがくが、当然抜け出す事は出来なくて。
兄はそんな私を満足そうに見て、クックックと笑った。
「なに、殺しはしないさ。大事な大事なギフトの持ち主だもんな? でもさあ、逃げ出そうとする悪いやつには、お仕置きが必要じゃん? だから優し~いお兄ちゃんは考えたわけよ。逃げようとするなら、逃げなくさせてやれば良いんだって事をさ! はははっ!」
笑いながら、兄は切れない程度に私の足首をトントンと剣で叩く。
その仕草に、まさかとなった私は、肌が一瞬で総毛立った。
「逃げ出さない様にこで足の腱を切るのも考えたけど。確実に動けない様にするためにも切っちまおうな。昔話にも、言う事を聞かない悪い女の子が、青い靴を履いたまま足を斧で切断されるってのあっただろ? それと同じだよ。悪い子にはお仕置きが必要だもんな?」
なっ──!!
足の腱じゃなく、足そのものを切り落とすつもりなの!?
嫌よ、そんなことしたら、前世以上に動けなくなって、逃げ出す事がもっと無理になる──!!
「離して、離しなさい!!」
もがいても抜け出せない上に、兄が肌が酷い火傷になってる所を踏んできた。
「きゃああーーーーー!!!!」
激痛に涙がボロボロとこぼれる。
私の声にか、兄の酷さにか、押さえ付けてる衛兵達が、私から顔を背けた。
兄が私の背中をグリグリと踏んだまま、剣を上に構えるのが目に入る。
いや、嫌よ。また地下牢に閉じ込められる、あの未来と同じ、いいえ、それ以上に酷い状態になるなんて、絶対に嫌!!
「い、いや! やめて!! はなして!!!」
「ははは、無様だな!」
私の叫びに家族はニヤニヤ笑い、兄は愉悦に満ちた笑い声を上げる。
だめ、逃げれない。
ボロリと、また一つ大粒の涙が溢れる。
あんな未来はもう嫌、嫌──!
薄暗い地下牢の中で、死ぬまで独りで過ごすしかなかった、時を遡る前の、あの辛い記憶が蘇る。
いやだ、いやだ!!
私は首をブンブン振る。
「いや! 誰か……!! っ……お、願い、助けて、誰か助けて……!!!」
「ここにはお前を助けてくれるやつなんざ、いないよ、諦めろ!!」
私が助けを口にしたのと、兄が剣を振り下ろしたのは同時だった。
もう無理なのかと、私は切断される衝撃と痛みに耐えるかの様に、ギュッと強く目を瞑った。
──のだけれど。
足への衝撃はいつまで経っても来る事はなくて。
そろっと後ろの方へ目をやれば、今まさに剣を振り下ろそうとしている兄が、まるで彫刻にでもなったかのように、ピタリと動きを止めていた。
衛兵達も、他の家族達も、まるで全員彫刻になったかの様に動かない。
……何? 一体どうなってるの……?
呆気にとられていると、次の瞬間まるで時計の針が動き出したかの様に、兄や衛兵、家族たち全員が、強風に煽られたかのごとく、私から離れた所へと吹き飛ばされた。
「きゃああ!」
「うわあああ!!!」
「ぐへっ!!」
吹き飛ばされた全員が、そのまま地面に叩かれ倒れ臥す。
一連の動きを私は、ただ、ポカンと見ているだけだったけれど。
「動かないで。今、傷を回復させるから」
気が付くと私のすぐそばに、誰かがいるのに気が付いた。
声のした方に、何とか震えながら顔だけ向ければ、そこには男性が一人立っているのに気付く。
「だ……れ…………?」
「うん、私の事は一先ずあと。今はこの、酷い火傷を治すから、少しジッとしててね」
そう優しい声色で呟いたその人は、私のそばで片膝付いた姿勢でしゃがむと、私の背中へと手をかざした。
「大丈夫、これならすぐ治癒魔術で治るから」
男性はそのまま静かに何か呟くと、かざした手から光が出るのが見えた。
その光は暖かくて、怪我を包みこんでくれるかの様で、爛れて酷い状態だった背中の火傷がみるみる回復していくのが分かる。
回復と共に痛みもあっという間に無くなったのを確認すると、「立てる?」と手を貸してくれて、私を立たせくれた。
「これ、羽織ってて」
火魔法で服が燃えてしまい、肌が曝け出してる状態なのを隠してくれるかの様に、着ていたインバネスコートを脱ぐと私に掛けてくれた。
「あ、ありがとう……」
「どういたしまして。さて、それじゃ彼らの時間を動かさないとだ」
「え?」
そう言えば、私が手当されてる時も、誰も何も反応してなかったのを思い出す。
不思議に思って見てみると、家族も衛兵も、倒れ伏したままの状態でまたピクリとも動かないでいる。
なんて言うか、動きを止められてるだけ……みたいな、そんな感じ?
確かさっきも、急に動きを止めた気がしたけれど……。
「……死んでいる……訳では無さそうね」
死んでたら、もっと生気のない肌になってるはずだけれど、そうはなってないものね。
私の呟きを拾ったのか、ニコッと笑いながら私をみつめる。
「死んでないのは分かるんだ?」
「えぇ、まあ……」
座敷童子の時に、人間の死は沢山見てきたから、死んでるかそうでないか位は見分けが付くけれど。
「座敷童子ちゃんは、流石だね」
「……え?」
「あははは」
「な、え? ちょっと待って。貴方一体」
「うん、私の事はひとまず後でね。まずは彼らとの決着をつけちゃおう」
何者なのか問い掛けるのを遮る様に、言葉を被せて来ると、男性は動かない家族達に手を向け、パチンと軽く指を弾いた。
「うっ……あれ、俺達は……?」
冬眠から目覚めた蛙の様に、皆どこかボヤけてキョロキョロしてたりするものの、私の姿を目にした途端、何をしていたのか思い出したのか、家族は物凄い形相を、衛兵達も警戒しつつも立ち上がりこちらを見つめてきた。
「ラシェル! 貴様、何をした!!」
「私は何もしてないわ」
「嘘つかないでよ! お姉様がまたギフトを隠してて、それの力をどうせ使ったとかなんかなのでしょ!!」
「ラシェル!! ギフトがあるなら、正直におっしゃい!」
「ラシェル! ギフトがあるなら使ってやる! 家長の言葉は絶対だ! 素直に吐け」
素直も何も、私は本当に何もしてないし、隠してるギフトも無いのだけれど。でもこの癇癪状態になると、こっちの言葉なんて通らないのよね。
「ラシェル嬢は、何もしてませんよ。貴方達を吹き飛ばしたのは私なんですから」
ニコニコ笑いながら、私の隣に立つ男性が家族達に向かって、そう口にした。
*˖⁺𖧷────𖧷────𖧷⁺˖*
読んで頂き、ありがとうございます(❁ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾
少しでも続きが気になるとか面白いなと思えましたら、いいねやブックマーク、感想などあると嬉しいです。
続きもどうぞ、よろしくお願いします(*ˊᗜˋ)
妹が馴染みのない名前に、聞き返して来るが、教える必要も無いので、沈黙で返事を返す。
母達も衛兵達も、私の言葉が意味が分からないのか、ポカンと、こちらを見つめるだけだ。
「別に分からなくていいわ。ただ、私の力をもうこれ以上使う気は無いと、さっきから言ってるだけだもの」
「だから、そんな事を許す訳ないでしょう!! ちょっと、何をまだボサッとしてるのよ!! 早くアイツを捕まえてちょうだい!」
「は、はっ!!」
妹の命令に、衛兵達が再び私を捕らえようとしてくるので、私は捕まえようとしてくる手を避けつつ、外へ向かって走り出す。
もう一度だけ働かないかと伝えた言葉も無碍にされたし、それなら、後はとにかくこの家から逃げるだけだ。
ここを出た後のことは、まだ何も決まっては無いけれど、まずはこの家を出るのが兎にも角にも先決だものね。
父に命じられて、私を捕らえようとしてくる衛兵達を避けつつ、見付けた門へと向かっていく。
もう少しで外に出れる──!
外に出れば捕まえるのを諦める訳では無いとしても、この屋敷から逃げ出したくて。
私は力の限り走った。
そうして、あと少しで外に出れると言う所まで来た時。
──何? 何か背中から……
背中から熱いものが来るのを感じた瞬間、それは強い衝撃となって私の背中に当たった。
ドンッ───!!
「きゃあああああ!!!!」
地獄の炎を背中にでも受けたかの様な熱さ……いえ、痛さに、私はその衝撃に耐えられず、倒れる勢いで転んでしまった。
痛い! 痛い、痛い、熱い、痛い──!
何、何が起きたの!?
背中が、痛くて熱くて、肌が少しの風に触れるだけでも激痛を感じてしまい、起き上がる事もままならない。
「おい。ラシェル、何、家から逃げようとしてんだよ」
私が痛みに耐えながらも起きようとした時、その声は聞こえてきた。
何とか首だけを後ろへと向かせると、そこにはいつの間に来ていたのか、杖を構えた兄の姿があった。
「お、兄様……」
「は、俺を兄と呼ぶなら、妹として家のためにギフトの力を使えってーの。まだ逃げるつもりなら、もう一発今よりも熱い火の魔術をくらわしてもいいんだぜ」
そうか、さっきの背中に当たった熱の衝撃、あれはお兄様が放った魔術の炎だったのね。
姿が見当たらないから娼館にでも行ってるのかと思ってたけど、隠れてたんだわ。
確かにそう言う性格の人だったわ、この人。
兄の性格と、得意属性の術の事を考えれば、背後からの攻撃なんてあり得たはずなのに。
油断した、油断した──!
門はもう目と鼻の先にあるのに。
自分の油断に唇をギリッと咬み、地面に爪を立てる。
「油断も隙もありゃしねえな。逃げようなんて、甘い事考えるなよ。おい、コイツの腕や足を押さえておけ」
私を金のなる木としか思ってないお兄様が、鼻で笑いながら衛兵に命を下す。
大人の男数人がかりで押さえつけられれば、いくら前世が妖怪だったとはいえ、座敷童子だった私は、そこまで力が強い妖怪でも無いし、ましてや怪我をして動けない今の私には、振りほどく事など出来る筈も無い。
身動き出来ない私を見て、醜いまでの笑みを浮かべながら、お兄様が、衛兵の剣をスラリと抜く。
何……何をする気なの……。
兄の下卑た笑みと抜かれた剣に、嫌な予感しかしなくて、逃げ出そうともがくが、当然抜け出す事は出来なくて。
兄はそんな私を満足そうに見て、クックックと笑った。
「なに、殺しはしないさ。大事な大事なギフトの持ち主だもんな? でもさあ、逃げ出そうとする悪いやつには、お仕置きが必要じゃん? だから優し~いお兄ちゃんは考えたわけよ。逃げようとするなら、逃げなくさせてやれば良いんだって事をさ! はははっ!」
笑いながら、兄は切れない程度に私の足首をトントンと剣で叩く。
その仕草に、まさかとなった私は、肌が一瞬で総毛立った。
「逃げ出さない様にこで足の腱を切るのも考えたけど。確実に動けない様にするためにも切っちまおうな。昔話にも、言う事を聞かない悪い女の子が、青い靴を履いたまま足を斧で切断されるってのあっただろ? それと同じだよ。悪い子にはお仕置きが必要だもんな?」
なっ──!!
足の腱じゃなく、足そのものを切り落とすつもりなの!?
嫌よ、そんなことしたら、前世以上に動けなくなって、逃げ出す事がもっと無理になる──!!
「離して、離しなさい!!」
もがいても抜け出せない上に、兄が肌が酷い火傷になってる所を踏んできた。
「きゃああーーーーー!!!!」
激痛に涙がボロボロとこぼれる。
私の声にか、兄の酷さにか、押さえ付けてる衛兵達が、私から顔を背けた。
兄が私の背中をグリグリと踏んだまま、剣を上に構えるのが目に入る。
いや、嫌よ。また地下牢に閉じ込められる、あの未来と同じ、いいえ、それ以上に酷い状態になるなんて、絶対に嫌!!
「い、いや! やめて!! はなして!!!」
「ははは、無様だな!」
私の叫びに家族はニヤニヤ笑い、兄は愉悦に満ちた笑い声を上げる。
だめ、逃げれない。
ボロリと、また一つ大粒の涙が溢れる。
あんな未来はもう嫌、嫌──!
薄暗い地下牢の中で、死ぬまで独りで過ごすしかなかった、時を遡る前の、あの辛い記憶が蘇る。
いやだ、いやだ!!
私は首をブンブン振る。
「いや! 誰か……!! っ……お、願い、助けて、誰か助けて……!!!」
「ここにはお前を助けてくれるやつなんざ、いないよ、諦めろ!!」
私が助けを口にしたのと、兄が剣を振り下ろしたのは同時だった。
もう無理なのかと、私は切断される衝撃と痛みに耐えるかの様に、ギュッと強く目を瞑った。
──のだけれど。
足への衝撃はいつまで経っても来る事はなくて。
そろっと後ろの方へ目をやれば、今まさに剣を振り下ろそうとしている兄が、まるで彫刻にでもなったかのように、ピタリと動きを止めていた。
衛兵達も、他の家族達も、まるで全員彫刻になったかの様に動かない。
……何? 一体どうなってるの……?
呆気にとられていると、次の瞬間まるで時計の針が動き出したかの様に、兄や衛兵、家族たち全員が、強風に煽られたかのごとく、私から離れた所へと吹き飛ばされた。
「きゃああ!」
「うわあああ!!!」
「ぐへっ!!」
吹き飛ばされた全員が、そのまま地面に叩かれ倒れ臥す。
一連の動きを私は、ただ、ポカンと見ているだけだったけれど。
「動かないで。今、傷を回復させるから」
気が付くと私のすぐそばに、誰かがいるのに気が付いた。
声のした方に、何とか震えながら顔だけ向ければ、そこには男性が一人立っているのに気付く。
「だ……れ…………?」
「うん、私の事は一先ずあと。今はこの、酷い火傷を治すから、少しジッとしててね」
そう優しい声色で呟いたその人は、私のそばで片膝付いた姿勢でしゃがむと、私の背中へと手をかざした。
「大丈夫、これならすぐ治癒魔術で治るから」
男性はそのまま静かに何か呟くと、かざした手から光が出るのが見えた。
その光は暖かくて、怪我を包みこんでくれるかの様で、爛れて酷い状態だった背中の火傷がみるみる回復していくのが分かる。
回復と共に痛みもあっという間に無くなったのを確認すると、「立てる?」と手を貸してくれて、私を立たせくれた。
「これ、羽織ってて」
火魔法で服が燃えてしまい、肌が曝け出してる状態なのを隠してくれるかの様に、着ていたインバネスコートを脱ぐと私に掛けてくれた。
「あ、ありがとう……」
「どういたしまして。さて、それじゃ彼らの時間を動かさないとだ」
「え?」
そう言えば、私が手当されてる時も、誰も何も反応してなかったのを思い出す。
不思議に思って見てみると、家族も衛兵も、倒れ伏したままの状態でまたピクリとも動かないでいる。
なんて言うか、動きを止められてるだけ……みたいな、そんな感じ?
確かさっきも、急に動きを止めた気がしたけれど……。
「……死んでいる……訳では無さそうね」
死んでたら、もっと生気のない肌になってるはずだけれど、そうはなってないものね。
私の呟きを拾ったのか、ニコッと笑いながら私をみつめる。
「死んでないのは分かるんだ?」
「えぇ、まあ……」
座敷童子の時に、人間の死は沢山見てきたから、死んでるかそうでないか位は見分けが付くけれど。
「座敷童子ちゃんは、流石だね」
「……え?」
「あははは」
「な、え? ちょっと待って。貴方一体」
「うん、私の事はひとまず後でね。まずは彼らとの決着をつけちゃおう」
何者なのか問い掛けるのを遮る様に、言葉を被せて来ると、男性は動かない家族達に手を向け、パチンと軽く指を弾いた。
「うっ……あれ、俺達は……?」
冬眠から目覚めた蛙の様に、皆どこかボヤけてキョロキョロしてたりするものの、私の姿を目にした途端、何をしていたのか思い出したのか、家族は物凄い形相を、衛兵達も警戒しつつも立ち上がりこちらを見つめてきた。
「ラシェル! 貴様、何をした!!」
「私は何もしてないわ」
「嘘つかないでよ! お姉様がまたギフトを隠してて、それの力をどうせ使ったとかなんかなのでしょ!!」
「ラシェル!! ギフトがあるなら、正直におっしゃい!」
「ラシェル! ギフトがあるなら使ってやる! 家長の言葉は絶対だ! 素直に吐け」
素直も何も、私は本当に何もしてないし、隠してるギフトも無いのだけれど。でもこの癇癪状態になると、こっちの言葉なんて通らないのよね。
「ラシェル嬢は、何もしてませんよ。貴方達を吹き飛ばしたのは私なんですから」
ニコニコ笑いながら、私の隣に立つ男性が家族達に向かって、そう口にした。
*˖⁺𖧷────𖧷────𖧷⁺˖*
読んで頂き、ありがとうございます(❁ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾
少しでも続きが気になるとか面白いなと思えましたら、いいねやブックマーク、感想などあると嬉しいです。
続きもどうぞ、よろしくお願いします(*ˊᗜˋ)
16
あなたにおすすめの小説
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
傲慢令嬢は、猫かぶりをやめてみた。お好きなように呼んでくださいませ。愛しいひとが私のことをわかってくださるなら、それで十分ですもの。
石河 翠
恋愛
高飛車で傲慢な令嬢として有名だった侯爵令嬢のダイアナは、婚約者から婚約を破棄される直前、階段から落ちて頭を打ち、記憶喪失になった上、体が不自由になってしまう。
そのまま修道院に身を寄せることになったダイアナだが、彼女はその暮らしを嬉々として受け入れる。妾の子であり、貴族暮らしに馴染めなかったダイアナには、修道院での暮らしこそ理想だったのだ。
新しい婚約者とうまくいかない元婚約者がダイアナに接触してくるが、彼女は突き放す。身勝手な言い分の元婚約者に対し、彼女は怒りを露にし……。
初恋のひとのために貴族教育を頑張っていたヒロインと、健気なヒロインを見守ってきたヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は、別サイトにも投稿しております。
表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。
邪魔者な私なもので
あんど もあ
ファンタジー
婚約者のウィレル様が、私の妹を食事に誘ったと報告をしてきました。なんて親切な方なのでしょう。でも、シェフが家にいるのになぜレストランに行くのですか?
天然な人の良いお嬢さまが、意図せずざまぁをする話。
今さら遅いと言われる側になったのは、あなたです
有賀冬馬
恋愛
夜会で婚約破棄された私は、すべてを失った――はずだった。
けれど、人生は思いもよらない方向へ転がる。
助けた騎士は、王の右腕。
見下されてきた私の中にある価値を、彼だけが見抜いた。
王城で評価され、居場所を得ていく私。
その頃、私を捨てた元婚約者は、転落の一途をたどる。
「間違いだった」と言われても、もう心は揺れない。
選ばれるのを待つ時代は、終わった。
エメラインの結婚紋
サイコちゃん
恋愛
伯爵令嬢エメラインと侯爵ブッチャーの婚儀にて結婚紋が光った。この国では結婚をすると重婚などを防ぐために結婚紋が刻まれるのだ。それが婚儀で光るということは重婚の証だと人々は騒ぐ。ブッチャーに夫は誰だと問われたエメラインは「夫は三十分後に来る」と言う。さら問い詰められて結婚の経緯を語るエメラインだったが、手を上げられそうになる。その時、駆けつけたのは一団を率いたこの国の第一王子ライオネスだった――
夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。
古森真朝
ファンタジー
「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。
俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」
新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは――
※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。
【完結】ジュリアはバツイチ人生を謳歌する
ariya
恋愛
エレン王国の名門貴族・アグリア伯爵家に嫁いだジュリア・アグリア(旧姓ベルティー)。
夫のアベル・アグリア伯爵は、騎士として王妃の護衛任務に没頭し、結婚翌日からほぼ別居状態。
社交界のパーティーでは妻のエスコートを代理人に任せ、父の葬儀にも顔を出さず、事務的な会話と手紙のやり取りだけの日々が続く。
ジュリアは8年間の冷遇に耐え抜いたが、ある朝の食事中、静かに切り出す。
「私たち、離婚しましょう」
アベルは絶句するが、ジュリアは淡々と不満を告げる。
どれも自分のしでかしたことにアベルは頭を抱える。
彼女はすでに離婚届と慰謝料の用意を済ませ、夫の仕事に理解を示さなかった「有責妻」として後腐れなく別れるつもりだった。
アベルは内心で反発しつつも、ジュリアの決意の固さに渋々サイン。
こうしてジュリア・アグリアは、伯爵夫人としての全てを置き去りにし、バツイチ人生を開始する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる