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王城内のサラの部屋は、王族の私的用の棟の三階にある。
すぐ横にはサラの寝室があり、部屋同士は繋がっている。
サラは一人で着替えを終え、次に洗面台で顔を洗い自分で長い金髪をとかした。
髪も以前は世話役のオレリアが毎日優しくとかしてくれていた。
サラは、そんな毎日が好きだった。
しかしオレリアが世話役から婚約者になった時、オレリアは、サラの髪も毎日サラ自身で整えるように習慣を変えさせた。
オレリアはこの事も「サラ様の為です」以外ハッキリ理由をサラに言わないが、オレリア以外の侍女や侍従にサラの髪は触らせなかった。
やがてサラは、オレリアの事を考えると重たい気持ちで、オレリアの待つ王城内のダイニングルームのバルコニーに向かおうと部屋を出た。
バルコニーは、王家の公務などを行う城の本棟の三階にあり、棟から棟へ移動する必要がある。
ドアを開けて出ると、ドアの左右には4人の衛兵がいて、赤絨毯の引かれた廊下の左右には、サラの老若男女の侍従や侍女がずらっと数人立っていた。
「おはようございます。サラ様」
侍従と侍女が声を合わせ言うと深々と頭を下げた。
「ああ、おはよう」
サラは、自分に何も悩みなどないように普段通り凛とした様子で返す。
そして、侍従達と衛兵達をゾロゾロ連れてバルコニーに向かう。
移動中も、城勤めの者達からサラに朝の挨拶が向けられるが、それにもサラは、皇太子として端正な態度を崩さず応えた。
城勤めの老若男女達の視線は、サラのそのガラス細工のような清冽な容姿と輝く金の長い髪とその立ち振る舞いに奪われ釘付けになる。
金細工と美しい装飾に溢れた広いダイニングルームに入ると、大きな掃き出し窓から続くバルコニーの手摺りの前で、優しい朝の風を体に受けるオレリアがサラに顔を向け立って待っているのが見えた。
オレリアの姿が見えた途端、サラの胸の鼓動が大きく跳ねた。
オレリアが世話役だった時にはこんな事は無かったのに。オレリアが婚約者になってからよくこんな事があるのもサラをかなり戸惑わせているし、それをオレリアに一切悟られないように息を密かに整え普通を繕う。
そしてどんどんサラの方からオレリアが近づき、やがてサラとオレリアはすぐ近くで向かいあった。
「お待ちしてました。サラ様」
オレリアがそう言い、いつもの優しく聖職者のような崇高な笑顔をサラに向けた。
サラは、オレリアのその美貌を無視出来ず一瞬見詰めてしまったが、そうしてしまった自分に焦り、何だかさっきのベットでの事もあり素直になれず、無愛想にプイと横を向きボソっと言った。
「ああ……」
「やはり……御体調が悪いのですか?」
横を向いたままのサラの拗ねた態度に、オレリアはオレリアの右手でサラの左頬を優しく撫でて聞いた。
「別に……」
サラは、同じ方向を見ながら自分でそう反抗的に言いながら、内心泣きそうになっていた。
折角今日は久しぶりにオレリアと一日中一緒にいられるのに、オレリアにこんな事を言いたくないのに、サラ自身が自分を止められない。
そして、オレリアに言いたい事も聞きたい事も沢山ある気がするが、何を言いたいのか?何を聞きたいのかがサラ自身整理が付かない。
更にふと、しかし真剣に思う。
(私は、ニヶ月前までオレリアとどうやって話してたっけ?……)
「本当に?……」
オレリアは、もう一度さっきと同じようにサラの頬を撫でて、怖い位に優しい美声で言った。
(わからない?……さっきは冷たかったのに、どうして今はそんなに優しいんだ?……)
サラは、視線をオレリアに向けてそう疑念に思った。
でもサラは、そのオレリアの手の感触を拒めなかったし、胸が波打つ。
それでもやはりサラは気持ちの不安定さから、以前の世話役のオレリアになら迷う事なく今抱き付いているとも思った。
でも、今の婚約者のオレリアには出来なかった。
さっきみたいにオレリアに拒絶されたら、サラはもうどうしていいか本当にわからなくなるから。
すぐ横にはサラの寝室があり、部屋同士は繋がっている。
サラは一人で着替えを終え、次に洗面台で顔を洗い自分で長い金髪をとかした。
髪も以前は世話役のオレリアが毎日優しくとかしてくれていた。
サラは、そんな毎日が好きだった。
しかしオレリアが世話役から婚約者になった時、オレリアは、サラの髪も毎日サラ自身で整えるように習慣を変えさせた。
オレリアはこの事も「サラ様の為です」以外ハッキリ理由をサラに言わないが、オレリア以外の侍女や侍従にサラの髪は触らせなかった。
やがてサラは、オレリアの事を考えると重たい気持ちで、オレリアの待つ王城内のダイニングルームのバルコニーに向かおうと部屋を出た。
バルコニーは、王家の公務などを行う城の本棟の三階にあり、棟から棟へ移動する必要がある。
ドアを開けて出ると、ドアの左右には4人の衛兵がいて、赤絨毯の引かれた廊下の左右には、サラの老若男女の侍従や侍女がずらっと数人立っていた。
「おはようございます。サラ様」
侍従と侍女が声を合わせ言うと深々と頭を下げた。
「ああ、おはよう」
サラは、自分に何も悩みなどないように普段通り凛とした様子で返す。
そして、侍従達と衛兵達をゾロゾロ連れてバルコニーに向かう。
移動中も、城勤めの者達からサラに朝の挨拶が向けられるが、それにもサラは、皇太子として端正な態度を崩さず応えた。
城勤めの老若男女達の視線は、サラのそのガラス細工のような清冽な容姿と輝く金の長い髪とその立ち振る舞いに奪われ釘付けになる。
金細工と美しい装飾に溢れた広いダイニングルームに入ると、大きな掃き出し窓から続くバルコニーの手摺りの前で、優しい朝の風を体に受けるオレリアがサラに顔を向け立って待っているのが見えた。
オレリアの姿が見えた途端、サラの胸の鼓動が大きく跳ねた。
オレリアが世話役だった時にはこんな事は無かったのに。オレリアが婚約者になってからよくこんな事があるのもサラをかなり戸惑わせているし、それをオレリアに一切悟られないように息を密かに整え普通を繕う。
そしてどんどんサラの方からオレリアが近づき、やがてサラとオレリアはすぐ近くで向かいあった。
「お待ちしてました。サラ様」
オレリアがそう言い、いつもの優しく聖職者のような崇高な笑顔をサラに向けた。
サラは、オレリアのその美貌を無視出来ず一瞬見詰めてしまったが、そうしてしまった自分に焦り、何だかさっきのベットでの事もあり素直になれず、無愛想にプイと横を向きボソっと言った。
「ああ……」
「やはり……御体調が悪いのですか?」
横を向いたままのサラの拗ねた態度に、オレリアはオレリアの右手でサラの左頬を優しく撫でて聞いた。
「別に……」
サラは、同じ方向を見ながら自分でそう反抗的に言いながら、内心泣きそうになっていた。
折角今日は久しぶりにオレリアと一日中一緒にいられるのに、オレリアにこんな事を言いたくないのに、サラ自身が自分を止められない。
そして、オレリアに言いたい事も聞きたい事も沢山ある気がするが、何を言いたいのか?何を聞きたいのかがサラ自身整理が付かない。
更にふと、しかし真剣に思う。
(私は、ニヶ月前までオレリアとどうやって話してたっけ?……)
「本当に?……」
オレリアは、もう一度さっきと同じようにサラの頬を撫でて、怖い位に優しい美声で言った。
(わからない?……さっきは冷たかったのに、どうして今はそんなに優しいんだ?……)
サラは、視線をオレリアに向けてそう疑念に思った。
でもサラは、そのオレリアの手の感触を拒めなかったし、胸が波打つ。
それでもやはりサラは気持ちの不安定さから、以前の世話役のオレリアになら迷う事なく今抱き付いているとも思った。
でも、今の婚約者のオレリアには出来なかった。
さっきみたいにオレリアに拒絶されたら、サラはもうどうしていいか本当にわからなくなるから。
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