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王城のサラの部屋。すぐ横にはサラの寝室があり、部屋同士は繋がっている。
サラは一人で着替えを終え、次に洗面台で顔を洗い自分で長い金髪をとかした。
髪も以前は世話役のオレリアが毎日優しくとかしてくれていた。
サラは、そんな毎日が好きだった。
しかしオレリアが世話役から婚約者になった時、オレリアは、サラの髪も毎日サラ自身で整えるように習慣を変えさせた。
オレリアはこの事もハッキリ理由をサラに言わないが、オレリア以外の侍女や侍従にサラの髪は触らせなかった。
やがてサラは、オレリアの事を考えると重たい気持ちで、オレリアの待つ王城内のダイニングルームのバルコニーに向かおうと部屋を出た。ドアを開けて出ると、ドアの左右には4人の衛兵がいて、赤絨毯の引かれた廊下の左右には、サラの老若男女の侍従や侍女がずらっと数人立っていた。
「おはようございます。サラ様」
侍従と侍女が声を合わせ言うと深々と頭を下げた。
「ああ……おはよう」
いつもと変わらないやり取りの後、サラは侍従達と衛兵達をゾロゾロ連れてバルコニーに向かう。
金細工と美しい装飾に溢れた広いダイニングルームに入ると、大きな掃き出し窓から続くバルコニーの手摺りの前で、優しい朝の風を体に受けるオレリアが立って待っているのが見えた。
オレリアの姿が見えた途端、サラの胸の鼓動が大きく跳ねた。
オレリアが世話役だった時にはこんな事は無かったのに。オレリアが婚約者になってからよくこんな事があるのもサラをかなり戸惑わせているし、それをオレリアに一切悟られないように普通を繕う。
そしてどんどんサラの方からオレリアが近づき、やがてサラとオレリアはすぐ近くで向かいあった。
「お待ちしてました。サラ様」
オレリアがそう言い、いつもの優しく聖職者のような崇高な笑顔をサラに向けた。
サラはそれを、やはりオレリアは美形だと思わず一瞬見詰めてしまったが、さっきのベットでの事もあり素直になれず、プイと横を向きボソっと言った。
「ああ…」
「やはり……体調が悪いのですか?」
横を向いたままのサラの拗ねた態度に、オレリアはオレリアの右手でサラの左頬を優しく撫でて聞いた。
「別に…」
サラは、同じ方向を見ながら自分でそう反抗的に言いながら、内心泣きそうになっていた。
折角今日は久しぶりにオレリアと一日中一緒にいられるのに、オレリアにこんな事を言いたくないのに、サラ自身が自分を止められない。そして、オレリアに言いたい事も聞きたい事も沢山ある気がするが、何を言いたいのか?何を聞きたいのかがサラ自身整理が付かない。
「本当に?」
オレリアは、もう一度さっきと同じようにサラの頬を撫でて、怖い位に優しい美声で言った。
(さっきは冷たかったのに、どうして今はそんなに優しいんだ?)
サラは、視線をオレリアに向けてそう思った。そして、サラは気持ちの不安定さから、以前の世話役のオレリアになら迷う事なく今抱き付いているとも思った。
でも、今の婚約者のオレリアには出来なかった。
さっきみたいにオレリアに拒絶されたら、サラはもうどうしていいか分からないから。
サラは一人で着替えを終え、次に洗面台で顔を洗い自分で長い金髪をとかした。
髪も以前は世話役のオレリアが毎日優しくとかしてくれていた。
サラは、そんな毎日が好きだった。
しかしオレリアが世話役から婚約者になった時、オレリアは、サラの髪も毎日サラ自身で整えるように習慣を変えさせた。
オレリアはこの事もハッキリ理由をサラに言わないが、オレリア以外の侍女や侍従にサラの髪は触らせなかった。
やがてサラは、オレリアの事を考えると重たい気持ちで、オレリアの待つ王城内のダイニングルームのバルコニーに向かおうと部屋を出た。ドアを開けて出ると、ドアの左右には4人の衛兵がいて、赤絨毯の引かれた廊下の左右には、サラの老若男女の侍従や侍女がずらっと数人立っていた。
「おはようございます。サラ様」
侍従と侍女が声を合わせ言うと深々と頭を下げた。
「ああ……おはよう」
いつもと変わらないやり取りの後、サラは侍従達と衛兵達をゾロゾロ連れてバルコニーに向かう。
金細工と美しい装飾に溢れた広いダイニングルームに入ると、大きな掃き出し窓から続くバルコニーの手摺りの前で、優しい朝の風を体に受けるオレリアが立って待っているのが見えた。
オレリアの姿が見えた途端、サラの胸の鼓動が大きく跳ねた。
オレリアが世話役だった時にはこんな事は無かったのに。オレリアが婚約者になってからよくこんな事があるのもサラをかなり戸惑わせているし、それをオレリアに一切悟られないように普通を繕う。
そしてどんどんサラの方からオレリアが近づき、やがてサラとオレリアはすぐ近くで向かいあった。
「お待ちしてました。サラ様」
オレリアがそう言い、いつもの優しく聖職者のような崇高な笑顔をサラに向けた。
サラはそれを、やはりオレリアは美形だと思わず一瞬見詰めてしまったが、さっきのベットでの事もあり素直になれず、プイと横を向きボソっと言った。
「ああ…」
「やはり……体調が悪いのですか?」
横を向いたままのサラの拗ねた態度に、オレリアはオレリアの右手でサラの左頬を優しく撫でて聞いた。
「別に…」
サラは、同じ方向を見ながら自分でそう反抗的に言いながら、内心泣きそうになっていた。
折角今日は久しぶりにオレリアと一日中一緒にいられるのに、オレリアにこんな事を言いたくないのに、サラ自身が自分を止められない。そして、オレリアに言いたい事も聞きたい事も沢山ある気がするが、何を言いたいのか?何を聞きたいのかがサラ自身整理が付かない。
「本当に?」
オレリアは、もう一度さっきと同じようにサラの頬を撫でて、怖い位に優しい美声で言った。
(さっきは冷たかったのに、どうして今はそんなに優しいんだ?)
サラは、視線をオレリアに向けてそう思った。そして、サラは気持ちの不安定さから、以前の世話役のオレリアになら迷う事なく今抱き付いているとも思った。
でも、今の婚約者のオレリアには出来なかった。
さっきみたいにオレリアに拒絶されたら、サラはもうどうしていいか分からないから。
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