クレイジー&クレイジー

柚木ハルカ

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08.玩具を入れられる

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 ずっと睨み続けていると、神崎は笑みを浮かべたまま、俺から視線を外した。だがこちらに興味を失ったわけではないようで、背後にあるデスク、その上に置かれている開かれたままの黒いトランクに手を伸ばす。

 警戒心は解かないまま、ざっと室内を確認した。部屋は12畳ほどだろうか。個室としては広く、けれどごくありふれた家庭の部屋。床はフローリングで、中央にラグが敷かれていて、クッションが3つほど置かれている。家具は自分が横になっているベッドに、神崎の前にあるデスク&チェアが1つ。大きな本棚にはいろんな本が並んでいて、その隣にソファがある。
 カーテンの閉じられている窓はベッド付近だが、ここが何階か不明なので、出るわけにはいかない。そしてドアは、神崎の横を通らなければ辿り付けない。

 そんなふうに逃亡方法を確認したところで、そもそも縛られていて動けないので、無意味だけれど。せめて神崎から尻を隠すように、窓際に寄るくらいだ。仰向けになると勃起しているペニスが無防備になるので、それはそれで怖い。

「……部屋の観察は、終わりましたか?」

 こちらを見ないまま問い掛けてきた神崎に、チッと舌打ちが出たし、答えたくなかったので無言を貫いた。すると神崎はククッとわざとらしく喉を鳴らし、再びこちらに近づいてくる。
 そんな彼が、持っていたのは。

「なっ……!」

 あまりにもヤバいものに、思わず声が出てしまった。神崎がトランクから出してきたのは、貞操帯だった。しかも普通の貞操帯ではなくて、黒い革製のベルトの内側には、小さめではあるが突起物が付いている。時間を掛けていたのは、その部分にもローションを付けていたからか。

 テラテラ光っているせいかおぞましく見えるオモチャに、サァと血の気が引く感覚がする。反射的に逃げようとしたけれど、縛られたままの身体では立ち上がることが出来無かった。

「……っ!」

 近付いてきた神崎は、横にしていた腰に片腕を回してくると、難なく持ち上げた。そうしてベッドの中心に戻され、また尻を上げさせられる。

「……い、……やだ、嫌だ! 止めろっ!」
「ちゃんと解したので、痛くありませんよ。……多分ね」
「ヤダ、止めろ、……そんなの!」

 どれだけ気丈な態度を取ろうとしても、アナルにオモチャを宛がわれた瞬間、未知なる恐怖にガタガタ震えてしまった。怖い、怖い。なのに媚薬ローションで解された場所は、どうしてもヒクヒクしているし、オモチャを咥えようとする。
 入れられたくない。でも媚薬のせいで熱くなっている身体を、どうにかしてほしいという思考も、どうしても脳裏に過ぎってしまう。

「ふ、……やだ、うう……」
「ゆっくり、入れていきますからね」
「やだ、やだ……ぁ、あ……んうっ、ふぁ、あ!」

 言われたとおり、少しずつアナルが広がっていき、ゆっくりと中に入ってきた。ぬるぬるになっているせいで、指より明らかに太いそれを、どんどん飲み込んでしまう。
 嫌だ、嫌だ、嫌だ。そう心では拒絶しても、媚薬で浮かされているせいか、快感ばかりを拾っていた。腸壁を広げられていく感覚も、埋まっている感覚もあまりに気持ち良くて、ガクガクと身体が震える。
 あ、あ、これは、これは駄目だ。これは、もう。

「ひっ……あ、あう……んん、ん、ん――――ッ!」

 オモチャに付いているベルトが尻に食い込むくらい、奥まで入ってきた時、あまりの快楽に我慢出来ず、イってしまった。射精して、ボタボタと精液が零れていく。情けなくて、涙も零れていく。

「……あ、う……うう、ぁ……はう、う……っ」

 イったにもかかわらず、いっぱいに埋め込まれているのが気持ち良くて、腰が揺れてしまう。ちょっと腹に力を入れるだけでも中のものを締め付けて、さらに気持ち良くなって、どうしても喘ぎが漏れた。

 快感に震えている間にも、貞操帯のベルトを股下から前に持っていかれ、チンコと睾丸を、ベルトの繋ぎ目である丸いリングに通された。リングがちょうどチンコの位置にあるなんて、どう考えても男用に作られた貞操帯である。

 後ろにオモチャを入れられ前にリングを通されたあとは、前後のベルトの端を、腰横で繋がれた。左右2ヶ所。そうしてT字にされたら、接合部分をカチリと施錠までしてくる。

 パンツを履いているように貞操帯を付けられた格好が、我ながらあまりにも惨めだった。悔しくて、情けなくて、感じながらも呻きが漏れる。

「ううう、あ……んう……、クソッ、……あ、あんっ」
「なかなかに似合っていますよ。とても卑猥で、……無様で」
「は、……この、サド野郎がっ!」
「否定はしませんが、そろそろ言葉には気を付けた方が良いですよ。そのオモチャ、遠隔操作で動かせますし」
「なん、っ!? あ……あんっ、あ、ふぁ……!」

 神崎の言葉をハッキリ理解する前に胎内のものが震え出し、あまりの快感に大きく喘いでしまう。ブルブル震えて腸壁全体を柔く刺激され、前立腺も刺激されるから、どうしても感じてしまう。

 駄目だ、これは駄目だ、気持ち良い、気持ち良くてまたイっちまう。尻なんかで、イきたくないのに。

「んあ、……やだ、や、あ、あん、……あ、あっ」
「悪態をつくから、こうなるんですよ。……なんて、冗談です。どっちにしろ結果は同じなので、好きなだけ暴言を吐いてください」
「ふぁ、ん……ふざ、け……あぁ! あ、あう……も、もう止め……っ」

 どれだけ悪態をついても、神崎はオモチャを止めてくれなかった。ただじっと、俺を見下ろしてくるだけ。

 涙がぽろぽろと零れていき、身体はびくん、びくん、と大きく跳ねる。顔を布団に埋めて、少しでもアナルを締め付けないようにと、より尻を高く上げてしまう。

 けれど効果は無かった。奥の奥までをオモチャでぐるぐる掻き回されて、押し寄せてくる悦楽に何度も背中が撓る。

「や……ぁん、ふぁ……イく、イっちまう、……ふぁ、や、や……あ、ん――……ッ!」

 再び絶頂を迎えてしまい、ガクガクと全身が痙攣した。ぶわぶわぶわっと熱が開放されて、しかし動いたままのオモチャのせいで、すぐにまた快感の波が押し寄せてきて、また気持ち良くなってしまう。

「ぁ、ん……、ん、ふぁ……あ、ぁん……」

 こんなにも快感に浸らされたら、身体がおかしくなりそうだ。もう下半身に力が入らない。だからか、先端からトプトプと精液が漏れ続けていく。

「弘樹さん。おしっこ、お漏らししちゃっていますよ」
「ぁ……? ……え、え?」

 おしっこ? 精液ではなくて?

 オモチャの震えが止まってくれたので、どうにか股へと意識を持っていく。すると明らかに精液ではない液体がショロショロ出ていき、布団に染みていくのが感覚でわかってしまった。
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