クレイジー&クレイジー

柚木ハルカ

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16.仕置き

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「暴れないでくださいね。落としてしまいますから」

 背中に両腕を回されて、手錠の鎖を巻かれて自由を奪われると、肩に担ぎ上げられた。以前もこのように持ち上げられたし、3階にいくつものトレーニングマシンがあることを考えると、普段からかなり身体を鍛えているのだろう。ポンコツの俺が勝てるはずなかった。

 そうして傍に停めてあった車の、倒されたままの後部座席に乗せられる。こんな近くに停められた車に気付かなかったなんて、どれだけ気を抜いていたのか。

 家に戻ると、また担がれて玄関から中に入った。
 抵抗なんて出来無かった。足裏を痛めている状態で逃げようとしても、すぐに捕まるだけ。そしてさらに、酷いことをされてしまう。最初のように睾丸を握られて潰されでもしたら、あまりにもつらすぎる。だから逃げるという選択肢を選べなかった。

 担がれたまま連れていかれたのは、3階の風呂場だ。身体を洗われる予定だったから、湯船には湯が張ったままである。

 タイルに下ろされて、尻を付いたところでガッと頭を掴まれて床に押し付けられ、うつ伏せにさせられる。

「っ……、う」

 乱暴だったものの、スポンジタイプの浴室マットが下にあったので膝や頬が痛くなることはなかったし、押さえる手もすぐに離れていった。代わりに尻を上げさせられ、腹にバスクッションを押し込まれる。

 神崎にアナルを見られている羞恥はあまり感じなくなっていたけど、これから仕置きされる状況で、無防備な場所を曝け出しているのはとても怖い。今まではアナルを傷付けられることはなかったけど、いったい何をされるのか。

 無理矢理デカいものを突っ込まれて血まみれになるかもしれないし、想像も付かないような変なものを突っ込まれるかもしれない。逃げられないように手足を切断される、なんてことも絶対に無いとは言えなくて、どうしても恐怖に震えてしまう。

「ヒッ……」

 尻を掴まれるだけでビクリと腰が跳ねたし、喉が引き攣った。怖くて、怖くて。恐怖から逃れるようにぎゅっと目を瞑り、身体を強張らせる。

 神崎の少しヒヤリとした指がアナルを撫でてきて、ぬめったものを塗られた。それがなんなのかわからなくて、さらに全身が強張った。だからか声を掛けられる。

「ローションで解そうとしているだけですから、そんなに緊張しなくて良いですよ。リラックスして、お尻を緩めていて」
「ぁ……」

 いつものように柔らかな声に誘導され、つい尻から力が抜けてしまった。すると神崎の指が簡単に中へと入ってきて、慣れ親しんだ感覚に身体が喜んだ。ぶるりと背筋にまで快感が走っていく。くちくちと前立腺を何度か押されるだけで、腰が震えてしまう。

「あ……あん、……ふぁ……」
「ふふ、これから仕置きをされるというのに、美味しそうに指を咥え込んでしまってますね。ペニスもすでに勃起してトロトロ先走りを漏らしてますし、淫乱になったものです。もしかして後ろを弄られないと、イけなくなってませんか?」
「そ、そんな……ぁ、あんっ」

 そんなことはないと首を横に振るけれど、気持ち良くて腰がくねるのも、喘いでしまうのも止められなかった。だからか愉しげに笑われてしまい、情けなさと羞恥で顔が熱くなる。

「まったく、可愛い人だ。さて、これくらいで充分かな。ちょっと待っていてくださいね」

 つぽんと指が抜かれ、それだけで身体が大きく震えた。
 神崎が浴室から出ていくので、尻を上げたまま、不安になってその姿を目で追っていく。ガラス越しに、戸棚を開いているのが見えた。何かを持ってくるつもりのようだ。

 神崎はすぐに戻ってきた。その手にあるものを見た途端、ヒッと小さく悲鳴を上げてしまう。

 ホースだった。この状況でホースだなんて、何をされるか一目瞭然である。

「い、いやだ……そんな、そんなの」

 無意味だとわかっていても、拒否の言葉を吐いていた。恐怖にまた震えてしまう。いや、果たして恐怖だけなのだろうか? わからない。わからないが、神崎がホース先を石鹸で洗っているのを見ているだけで涙が滲んできたし、アナルに宛がわれると、涙が零れてしまった。

「ゃ、やだ……やだ」
「入れますから、そのまま可愛くていやらしいアナルを、くっぱり開いていてくださいね」
「ううぅ……、んうっう……ふあぁ」

 どれだけ拒否しても当然のように無視され、アナルにホースを咥えさせられた。そして少しずつ、奥に入ってくる。バイブよりだいぶ細いからか、なんとなく腸壁に挟まっているだけのもどかしい感覚に、ゆるゆる腰が動いてしまう。

「ああ、ん……んん、ひ、……あ、あっ」

 けれど次第に、ホースは今まで入れられたことのない腰の奥まで侵入してきて、未知の快感に身体が大きく撓った。いったいどこまで入れられているのか。このままでは腸をブチ破られてしまう。死んでしまう。

「や、やだ、やだ……っ、は、ぐ……もう、奥、死んじまっ……」
「大丈夫、入っているのは15cm程度です。まだS状結腸にも届きませんよ。それにこれ以上は、入れませんから」
「は……はう、あ……ん」

 死なないと安心したからか苦しさが無くなり、今まで以上に奥まで届いている感覚に、きゅっとアナルが窄んだ。こんなものを入れられても胎内は収縮して味わい、快楽を得てしまう。

 しかし情けないと凹んでいる場合ではない。神崎が蛇口を回し、水を出し始めたのだ。タイルに落ちる水音に、また喉が引き攣ってしまう。

「水温は37度にしますから、腹を壊すことも、内部を火傷することもありませんよ。仕置きと言っても、痛みを負わせて叫ばせるのには興味無いので、安心してください」

 蛇口から出てくる湯に触れていた神崎は、適温になったのか、もう反対側のホースの先端を蛇口に嵌めた。何をされるのかなんてホースを見た瞬間からわかっていたものの、それでも恐ろしくて、止めてほしくて神崎を見つめる。けれど無言で見返されるだけ。そうして数秒後には、胎内にお湯が流れ込んできた。
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