溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~〈本編完結済〉

夏笆(なつは)

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続きの物語 ~今へと続く道~

2、収穫祭の魔女 2

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「ん?なんだ、ここは収穫祭の会場じゃないか。俺ら、だまされたってことか?」 

「いや、しかし。あの露店が無い。祭りの会場内だし、場所を移動しただけのようにも思えるが、あの光は何だったんだ?」 

「確かに」 

 素早く周囲を確認したヘラルドとセレスティノは、さきほどまであった糸釣りの露店が無いことを訝しみながらも、収穫祭独特の芋やかぼちゃ、りんごなどの屋台を見て小さく呟き合う。 

「あああ!飴は!?欲しかった黄金色じゃなかったけど、エルミニオ様が買ってくれたものなのに!」 

 そんななか、エルミニオに抱き寄せられたままのレオカディアが叫んだ内容に、セレスティノもヘラルドも、一気に緊迫感を失う思いがした。 

「大物だな、レオカディア。今の光を体験した後で、言うことがそれか?」 

「なんでか、俺たちが居る場所も変わってるだろ?不思議がるとか、怖がるとかないのか?」 

「場所が変わっている・・だからじゃない!いつのまにか、あのお店もないし。もしかして、詐欺ってこと?私、エルミニオ様のお金を無駄にしちゃったのかな」 

 『金色の飴でないにしても、エルミニオ様が買ってくれたものなのに』としょんぼりするレオカディアの肩を、エルミニオが優しく叩く。 

「落ち着いて、ディア。まずは、あの露店を探して、ここまで移動させられたからくりを聞こうか」 

 収穫祭を楽しむ人の波をうまく避けながらのエルミニオの言葉に、レオカディアはこくりと頷いた。 

「ごめんなさい。取り乱して」 

「レオカディアって面白いよな。すっげえしっかりしてて、頼もしいときもあるのに、飴ひとつでそこまで取り乱すって」 

「確かに。というか、ここまでなのは、珍しくないか?」 

 ヘラルドとセレスティノに言われ、レオカディアは恥ずかしそうにうつむいた。 

「だって・・今日は、エルミニオ様と久しぶりのお出かけで。買ってもらったものは、全部、記録にも記憶にも留めようって思っていて・・だから」 

「ディア」 

「はい、そこ。ふたりの世界を作らない」 

「ともかく、移動しよう」 

 突如、ふたりで甘い空気を醸し出したレオカディアをエルミニオを促し、ヘラルドとセレスティノは、周囲を警戒しながら歩き出す。 

「そうね。まずは、あの露店を探して・・・って。待って。時計塔がない」 

 先ほどまで、人がひしめく露店街にあっても、広場の位置を正確に示していた時計塔。 

 それが、無くなっていると、レオカディアは青い顔でその方向を指した。 

「あれ、ほんとだ。祭りの会場からなら、どこからでも見えるはずなのに」 

 自分達が方向感覚を失っているだけなのかと、位置を確認しながら、ヘラルドが眉を寄せる。 

 街の中心に位置し、人々が移動の目印にも使う愛されし時計塔は、エルミニオ誕生の折、その記念として建てられたもの。 

 それが無いとあって、四人の空気は一気に緊張を孕んだ。 

「時計塔がない?ではまさか、本当に過去に来たとでもいうのか?」 

 エルミニオの言葉に、全員があの露天商の言葉を思い出す。 

「『過去への旅』って言っていたわよね、確かに。特等、って」 

「非現実的だとは思うが。確認が必要か」 

 言うやいなや、セレスティノは新聞売りを探し、一部購入した。 

「どうだ?」 

「・・・・これは」 

 問われたセレスティノは、自分自身信じられないという表情を浮かべつつ、自分達が生まれる前の、その日付をエルミニオに示した。 


~・~・~・~・
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