溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~〈本編完結済〉

夏笆(なつは)

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続きの物語 ~今へと続く道~

番外編 ~レオカディアのバレンタイン大作戦 前編~

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※ この世界にも、日本と同じバレンタインの風習がある前提でのお話です。 

 

「・・・うん、いい感じ。このまま固めれば、明日のお茶会に出せるわね」 

 バレンタイン前日。 

 レオカディアは、アギルレ公爵邸の厨房でトリュフチョコを作り終えて、安堵のため息を吐いた。 

「まあ、作ったと言っても、混ぜて固めただけだけど」 

「いいえ、お嬢様。きちんと混ぜないと、美味しいチョコレートにならないのですよ。その点。お嬢様の混ぜ方は完璧です」 

 材料を混ぜて固めるだけの簡単な作業、と苦笑するレオカディアに、料理長は真面目な顔で言い切った。 

「ふふ、ありがと。それから、気を付けるべきこととか、色々教えてくれたことも、ありがとう」 

「いえいえ。お嬢様にお教え出来て、楽しゅうございました。それにしても、お嬢様にしては、ごく普通のチョコレートをお作りになりましたね」 

 レオカディアが小さな頃から、聞いたこともないような料理をリクエストされることに慣れており、尚且つ、それをレオカディアの望むように作ることを楽しみ、生きがいとしている料理長は、不思議そうな目で首を傾げる。 

「・・・ああ。だって、エルミニオ様が『ディアの手作りがいいな』って、おっしゃるから」 

 『あの、子犬のような目でねだられたら、嫌とはいえない』と、レオカディアは口元を緩めた。 

「お嬢様の手作りですか。それは、お嬢様を溺愛なさっている殿下がお望みになるのも当然のこと。それにしても、もっと難しい物になさっても、お嬢様なら完璧にお作りになられたでしょうに」 

「うーん。チョコレートを使ったケーキとかクッキーも考えたんだけど、出来栄えに不安が残るから。というか、今年はチョコレートファウンテン・・えーと、液体にしたチョコレートの噴水を作って、色々な物を付けて食べるっていうのをやろうかと思ったんだけ・・ど・・料理長?」 

 レオカディアの話を聞いていた料理長の目が、きらりと光ったのに気づいて、レオカディアは頬を引き攣らせる。 

「お嬢様。そのお話、もっと詳しくお願いいたします」 

 

 

「・・・これは。チョコレートファウンテンというより、そうめん流しに近い気がする」 

 その後、チョコレートファウンテンとはどういうものかの説明をしたレオカディアは、料理長の熱意におされるまま、料理長以外の料理人をも巻き込んで、チョコレートファウンテンの装置もどきを作った。 

 しかして結果は、そうめん流しのごとく。 

「これなら、普通に溶かしたチョコレートに、色々な物をディップした方がいいかな」 

「ねえ様、ねえ様。入っても問題ありませんか?」 

 どうしようかとレオカディアが呟いたとき、わくわくとした声を響かせて、ブラウリオが厨房へとやって来た。 

「あ、ブラウリオ。もちろんよ・・って言いたいところだし、意見も聞きたいけど。明日の楽しみに取っておくのでは、なかったの?」 

 先ほど、厨房へと向かうレオカディアに『明日の楽しみにします!』と元気に言ったブラウリオを思い出し、レオカディアはいいのかと問いかける。 

「明日の楽しみにとっておくか、抜け駆けできる立場を最大利用すべきか迷ったのですが、優越に浸れるだろう方を選びました。ねえ様のことだから、きっとすごくびっくりするものを作るのだろうなと思って」 

「まあ。ブラウリオまで」 

 そんなに自分の発送は奇抜だろうかと思いつつ、レオカディアはブラウリオの意見も聞いてみることにした。 

~・~・~・~・
投票、いいね、お気に入り、しおり、ありがとうございます。
すみません。
位置がおかしなところに掲載してしまっていましたので、訂正しました。

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感想 9

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