溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~〈本編完結済〉

夏笆(なつは)

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続きの物語 ~今へと続く道~

6、レオカディア、下級メイドになる。

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「なあなあ。レオカディア、遅くないか?」 

「そうだな。食後のお茶を淹れてくると言っていたが。何か、問題でもあったか?」 

 『確認してくる』と席を立とうとしたセレスティノより早く、エルミニオが、焦りもあらわに立ち上がった。 

「まさか、やけどか!?それとも、食器を割って、手を怪我したか」 

「みなさまぁ。お待たせいたしましたぁ」 

 そして『すわ、一大事か!?』と、エルミニオが大股で歩き出し、セレスティノとヘラルドも遅れることなく続いて動いたその時、何とも緊張感に欠ける声が廊下より響き、エルミニオ達は、その機敏な動きをぴたりと止める。 

「なんだ?」 

「ディアの声・・・だが」 

「随分と、腑抜けた声だな」 

「みなさまぁ。食後のデザートとぉ、お茶になりますぅ」 

 そんな三人の驚愕を他所に、ティートロールを押して現れたレオカディアは、へへへと悪戯っぽい笑みを浮かべた。 

「どうかな?ちゃんと、メイドに見える?」 

 そう言って、くるりと回って見せたレオカディアが着ているのは、アルモンテ侯爵家の下級メイドの制服。 

 王妃陛下・・今の時代は未だロサリオ公爵令嬢であるアデルミラを護ると決めたレオカディア達は、まず、アルモンテ侯爵家の動きを探るべく、エルミニオ達は騎士見習いとして、レオカディアは下級メイドとしてアルモンテ侯爵家に潜入することを決めた。 

 その戦闘開始・・もとい、勤務初日が明日なのである。 

「可愛い。ディア」 

「ああ。確かによく似合っている」 

「だが、下級メイドは、茶など供しないのではないか?」 

 『可愛い。ディア、可愛い』と繰り返すエルミニオに苦笑を浮かべながら、セレスティノが突っ込む。 

「まあ、確かに。でも、下級騎士と見習い騎士の給仕はするって聞いたから、こんな感じでどうかなって」 

「まさか、あの気が抜けるような口調は、その練習だったりするのか?セレスティノなんて、腑抜けた声だって言っていたぞ」 

「気が抜ける・・腑抜けたって。ちょっと間が抜けた、可愛い口調って言ってよ」 

 『意義を申し立てる!』と腰に手を当てたレオカディアに、エルミニオが首を横に振った。 

「ディア。たとえ、気が抜けるような口調、腑抜けた口調だとしても、ディアの声は可愛いんだから、気を付けて。それから、可愛いのは声だけじゃないんだから、僕の傍を離れないようにするんだよ?騎士団なんて、狼の群れだ」 

「いや、エルミニオ様。そりゃ、無理だろって」 

「そうだな。俺達も共に潜入するとはいえ、ただの見習い騎士だからな」 

 『ディアが襲われる』と本気で心配するエルミニオに、ヘラルドとセレスティノが現実を突き付けた。 

「ああああ。だから反対だったんだ。ディアを下級メイドとして潜入させるなんて・・・!」 

「まあ、確かにそうですが。圧倒的人手不足ですからね」 

 セレスティノの、如何ともしがたいという言葉に、ヘラルドも頷く。 

「まさか、この家にレオカディアひとり残すわけにもいかないし、かと言って、護衛なしでエルミニオ様とレオカディアを残すのも危険だからな」 

「私なら、大丈夫よ。ちゃんと、王妃様を護る情報を探ってみせるわ」 

「ディア。危険だと思ったら、全力で逃げろ。君の安全が第一だと、忘れるな」 

 やる気に瞳を輝かせるレオカディアに、エルミニオは『くれぐれも』と言い聞かせた。 

~・~・~・~・
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