溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~〈本編完結済〉

夏笆(なつは)

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続きの物語 ~今へと続く道~

9、お父様。残念ですわ。

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「貴様ら、身元引受人はどうしたのだ?」 

 かちりと剣が首元で鳴り、内心『ひいいっ』と震え上がったレオカディアは、咄嗟に両手をあげるも、そんなことには関知せずオットーはアルモンテ侯爵家の騎士団、入団の際の手続きについて言及して来た。 

「身元引受人?」 

「知らないのか?通常、貴族の騎士団に入るには、身元保証人が必要不可欠だ。当然、これまでの素行も調べられるし、生まれも確認される。親族に犯罪者がいれば、それだけで入団できない。それが、貴族の騎士団だ」 

「わあ。厳しいのですね・・って。そういえば、私もありませんでした」 

 言われてみれば、下級メイドとはいえ、屋敷に入れる者なのだから、それなりの審査があってしかるべきなのに、無かったと、レオカディアは回想する。 

「はあ。貴様、密偵ではないな。愚鈍なふりをしているのかと思ったが、剣を首元に突き付けられて、その反応とは」 

「え。私も、密偵の端くれのつもりなのですが。正しい密偵とは、このような場合、どうするのですか?」 

 下級メイドとして、敵陣に潜入しているのである。 

 当然、密偵と同じような立場だと認識していたレオカディアは、純粋に疑問をぶつけた。 

「そんな、隙だらけの密偵はいない」 

 『これでは、簡単に首が切れる』と言い切り、オットーはさっさと剣を刷き直した。 

「なんか悔しいですけど、確かに俄かなんで諦めます。それで?どうして、私たちは大した審査もなく入れたんでしょうか」 

「捨て駒だからだ」 

「捨て駒」 

「つまりは、実行犯」 

「あ、なるほど。汚れ役をやらせて、そのまま切り捨てるってことですね。納得です」 

 『だから、大した審査もなかったのか』と、レオカディアは深く頷いた。 

「貴様、ロサリオ公爵令嬢の追っかけだと言っていたよな。彼女の幸せは我々が守るから、貴様は手を引け」 

「お言葉ですけれど、随分後手に回っているのではありませんか?カフェ・マッターホルンで、アデルミラ・ロサリオ公爵令嬢を邪魔者扱いしていたのは、リカルダ・アルモンテ侯爵令嬢でした。彼女によれば、もうすぐアルモンテ侯爵が動いて、アデルミラ・ロサリオ公爵令嬢は、エリアス陛下のご婚約者でいられなくなる、それどころか、貴族令嬢として生きていけなくなる、というようなことを言っていたのですよ?そのあたりの情報、得ていらっしゃいますか?」 

 『もしも得ているのなら、安心だけれど』という思いを込め、オットーを見上げたレオカディアは、その驚愕の目を見て『知らないのか』と、落胆し同時に『ああ、でも。これが、あの魔女がいじっちゃった世界ってことなのか』と、納得もする。 

「既に、そのような具体的な計画がある、ということか」 

「そのようですね。というか、それを知らないのに、どうしてオットー様は、こちらにいらっしゃるのですか?」 

 『逆に、それが疑問だ』とレオカディアが言えば、オットーが厳しい顔になった。 

「アルモンテ侯爵家は、一丸となってロサリオ公爵令嬢を引きずり落そうとしてきたからな。今回、破落戸のような者たちを騎士見習いとして採用していると聞いて、何か動くつもりなのだろうと、その確認のために、俺はここに居る」 

「つまり『何か、ありそう』とは、思っているわけですね。でも、その計画の実行は、オットー様が思うより、ずっと早いと思われます」 

 『なんといっても、既に計画は実行段階のようですから』と言って、レオカディアは、オットーを胡乱な目で見る。 

「破落戸を集めている、おそらくは捨て駒のためだ、とわかっているのに、その先は知らないなんて、オットー様って優秀なのか、抜けているのか分かりませんね」 

 魔女のせいだろうとは思いつつ、ここはぴしっと父親に決めてほしかったと、レオカディアはため息を吐いた。 

~・~・~・~・
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