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第2章 グランタリア大陸東部編
57.学友との距離が近くなった!
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エレミアは店の棚に置いてある石鹸や香水を見ながら、ウットリとした表情で手に持った籠に商品を入れていく。
「どれも素敵な商品だわ。リムルお姉様、レミリアお姉様」
「そうでしょー。どんどんと買っていってねー」
「全種類をもらいます」
すっかりエレミアはリムルに心酔して、カモネギ状態になっている。
お姉様って……エミリアにはそっちの素質があったのか……
店の奥へ目を向けると、カイロスがレミリアから香水の付け方を教わっていた。
「首の後ろ、手首、首に少し、それぐらい点けるだけで、香水は香りを放ちます」
「これで俺も紳士だぜ」
レミリアの顔を見て、カイロスは頬を赤く染める。
棚から『ブラーフ』を取り出してエレミアが首を傾げる。
「この膨らんだ布は何?」
「それは『ブラーフ』と言って胸当てー。『パンピ』とお揃いで買うと、とても可愛いわよ」
「こんな商品、見たことないわ。シオンってすごい商人だったのね」
「よかったら、試着室があるから、『ブラーフ』と『パンピ』をお試しで着てみてー。『ブラーフ』は付けるのにコツがあるから、教えてあげるー」
「はい、リムルお姉様」
リムルに手招きされて、エレミアはホイホイと試着室の中へと入っていった。
そして中からリムルが彼女にイタズラする声が聞こえてくる。
「エレミアって、肌がツルツル」
「リムルお姉様、へんな所を触らないで~」
……リムルのことだからイタズラしてるんだろうけど……お手柔らかにしてあげてね……
いきなり試着室の扉が開いてリムルが飛び出してくる。
そして、試着室の中にいるエレミアへ手をかざす。
「見て、見て、エレミアちゃん、すんごく可愛いでしょ」
その声に反応して彼女を見たカイロスが、鼻血を噴き出して床に倒れた。
……ちょっと思春期の男の子には刺激がキツイよね……僕はリムルやレミリアのおかげで慣れちゃったけどさ……
「 リムルお姉様、レミリアお姉様、また来ますね」
二時間ほど店の中で商品を見ていたエレミアは、沢山の商品を買い込んで、カイロスと一緒に帰っていった。
レミリアが優しい笑顔で僕を見てくる。
「登校初日からお友達ができるなんて、さすがはシオン様です」
……カイロスと魔法でやり合ったことは伏せておいたほうがいいよね……
その日はレミリアの提案で、僕の初登校のお祝いが催され、夜遅くまで二人と一緒に食べて飲んで、楽しい夜を過ごした。
そして次の日の朝、魔法学院へ登校すると、エレミアが僕の隣に来て妙なポーズを取る。
「見て見て、昨日、リムルお姉様に選んでもらった下着を付けてきたの。私って大人ぽいでしょ」
……こういう時、どう答えればいいんだろう……褒めてもセクハラって言われそうな……
僕が返答に困っていると、歩いてきたカイロスが彼女を褒める。
「エレミアはいつも最高にキレイだぜ」
「カイロスに褒められても嬉しくない」
その言葉にカイロスは頬を引きつらせた。
三人で話していると、クラウスとグレースが教室に入ってきた。
そして僕達の近くを通る時、グレースが口を開く。
「朝から元気なのはいいですけど、講義の邪魔だけはしないでください」
「グレース、あなたに渡したいプレゼントがあるの、これあげるね」
怪訝な表情をするグレースを気にせず、エレミアはニッコリと笑って、あるモノを彼女に手渡した。
……それって昨日、エレミアが買い込んだ『ブラーフ』と『パンピ』……
二つの下着を見て、グレースは顔を赤らめる。
「魔法学院に何を持ち込んでるんですか。そんなはしたないモノを持ってくるんじゃありません」
「まあ、まあ、グレースも身に着けてみれば、この下着の良さがわかるわよ」
そう言ってエレミアはグレースの背中を押して教室から出ていった。
その後ろ姿を見送りながらクラウスが首を傾げる。
「何をしに、どこへ行ったんだ?」
「さあ……」
……たぶん、下着を履き替えにいきましたなんて言えないよね……
それからしばらくして二人が戻ってきた。
グレースの頬が真赤に染まっている。
「シオンって商人なのね。なかなか良い商品を扱ってるみたいで見直したわ」
……あれ? グレースの態度が柔らかくなったような……エレミアが何か言い含めてくれたのかもしれないな……
「そんなに良い商品を扱っているのか?」
「ああ、今、俺がつけてる香水もシオンの店の香水だぜ」
「なるほど、爽やかな清涼感のある香りだ。この香水であれば私も購入したくなるな」
「ああ今度、シオンの店を教えてやるぜ。スッゲー美人のお姉さんが接客をしてくれるんだぜ」
「ほう……それは興味があるな」
「クラウス、考えが不潔ですよ」
美人のお姉さんと聞いて感心を持つクラウスを、グレースがジロリと睨む。
……うるさいお目付け役がいるのも大変だね……
でも昨日とは変わって、さっきから皆の態度が穏やかになったような気がする……
そんなことを考えていると、後ろから小さな声が聞こえてきた。
「シオン君って僕の家と同じ商人だったんだ」
その声に反応して後ろへ振り向くと、おかっぱ頭の灰色髪の男子―レトと目が合った。
エレミアから庶民の出身だと聞いていたけど、レトの家は商会なの?
「どれも素敵な商品だわ。リムルお姉様、レミリアお姉様」
「そうでしょー。どんどんと買っていってねー」
「全種類をもらいます」
すっかりエレミアはリムルに心酔して、カモネギ状態になっている。
お姉様って……エミリアにはそっちの素質があったのか……
店の奥へ目を向けると、カイロスがレミリアから香水の付け方を教わっていた。
「首の後ろ、手首、首に少し、それぐらい点けるだけで、香水は香りを放ちます」
「これで俺も紳士だぜ」
レミリアの顔を見て、カイロスは頬を赤く染める。
棚から『ブラーフ』を取り出してエレミアが首を傾げる。
「この膨らんだ布は何?」
「それは『ブラーフ』と言って胸当てー。『パンピ』とお揃いで買うと、とても可愛いわよ」
「こんな商品、見たことないわ。シオンってすごい商人だったのね」
「よかったら、試着室があるから、『ブラーフ』と『パンピ』をお試しで着てみてー。『ブラーフ』は付けるのにコツがあるから、教えてあげるー」
「はい、リムルお姉様」
リムルに手招きされて、エレミアはホイホイと試着室の中へと入っていった。
そして中からリムルが彼女にイタズラする声が聞こえてくる。
「エレミアって、肌がツルツル」
「リムルお姉様、へんな所を触らないで~」
……リムルのことだからイタズラしてるんだろうけど……お手柔らかにしてあげてね……
いきなり試着室の扉が開いてリムルが飛び出してくる。
そして、試着室の中にいるエレミアへ手をかざす。
「見て、見て、エレミアちゃん、すんごく可愛いでしょ」
その声に反応して彼女を見たカイロスが、鼻血を噴き出して床に倒れた。
……ちょっと思春期の男の子には刺激がキツイよね……僕はリムルやレミリアのおかげで慣れちゃったけどさ……
「 リムルお姉様、レミリアお姉様、また来ますね」
二時間ほど店の中で商品を見ていたエレミアは、沢山の商品を買い込んで、カイロスと一緒に帰っていった。
レミリアが優しい笑顔で僕を見てくる。
「登校初日からお友達ができるなんて、さすがはシオン様です」
……カイロスと魔法でやり合ったことは伏せておいたほうがいいよね……
その日はレミリアの提案で、僕の初登校のお祝いが催され、夜遅くまで二人と一緒に食べて飲んで、楽しい夜を過ごした。
そして次の日の朝、魔法学院へ登校すると、エレミアが僕の隣に来て妙なポーズを取る。
「見て見て、昨日、リムルお姉様に選んでもらった下着を付けてきたの。私って大人ぽいでしょ」
……こういう時、どう答えればいいんだろう……褒めてもセクハラって言われそうな……
僕が返答に困っていると、歩いてきたカイロスが彼女を褒める。
「エレミアはいつも最高にキレイだぜ」
「カイロスに褒められても嬉しくない」
その言葉にカイロスは頬を引きつらせた。
三人で話していると、クラウスとグレースが教室に入ってきた。
そして僕達の近くを通る時、グレースが口を開く。
「朝から元気なのはいいですけど、講義の邪魔だけはしないでください」
「グレース、あなたに渡したいプレゼントがあるの、これあげるね」
怪訝な表情をするグレースを気にせず、エレミアはニッコリと笑って、あるモノを彼女に手渡した。
……それって昨日、エレミアが買い込んだ『ブラーフ』と『パンピ』……
二つの下着を見て、グレースは顔を赤らめる。
「魔法学院に何を持ち込んでるんですか。そんなはしたないモノを持ってくるんじゃありません」
「まあ、まあ、グレースも身に着けてみれば、この下着の良さがわかるわよ」
そう言ってエレミアはグレースの背中を押して教室から出ていった。
その後ろ姿を見送りながらクラウスが首を傾げる。
「何をしに、どこへ行ったんだ?」
「さあ……」
……たぶん、下着を履き替えにいきましたなんて言えないよね……
それからしばらくして二人が戻ってきた。
グレースの頬が真赤に染まっている。
「シオンって商人なのね。なかなか良い商品を扱ってるみたいで見直したわ」
……あれ? グレースの態度が柔らかくなったような……エレミアが何か言い含めてくれたのかもしれないな……
「そんなに良い商品を扱っているのか?」
「ああ、今、俺がつけてる香水もシオンの店の香水だぜ」
「なるほど、爽やかな清涼感のある香りだ。この香水であれば私も購入したくなるな」
「ああ今度、シオンの店を教えてやるぜ。スッゲー美人のお姉さんが接客をしてくれるんだぜ」
「ほう……それは興味があるな」
「クラウス、考えが不潔ですよ」
美人のお姉さんと聞いて感心を持つクラウスを、グレースがジロリと睨む。
……うるさいお目付け役がいるのも大変だね……
でも昨日とは変わって、さっきから皆の態度が穏やかになったような気がする……
そんなことを考えていると、後ろから小さな声が聞こえてきた。
「シオン君って僕の家と同じ商人だったんだ」
その声に反応して後ろへ振り向くと、おかっぱ頭の灰色髪の男子―レトと目が合った。
エレミアから庶民の出身だと聞いていたけど、レトの家は商会なの?
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