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第2章 グランタリア大陸東部編
78.大陸三国との調整②
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ファラレスト皇国から戻ってきた翌日、僕はサイフォン魔法学院に登校してエレミアに竜種をテイムしたことを話した。
すると彼女からシェルダン皇帝陛下へと話は伝わり、二日後に皇帝陛下と謁見することになった。
あっという間に当日となり、僕とアグウェルの二人は帝都イシュタルの城へと登城した。
謁見の間に入ると、玉座にシェルダン皇帝陛下が座って居られ、その隣にエレミアが立っていた。
「シオンよ、よく来たである。エレミアから竜種を使役したと聞いたである。その竜種をイシュガルド帝国のために役立てるである」
……イシュガルド帝国は今もダルシアン王国の隣にあるネバレイル王国と戦争をしていて、他にも隣接している国と緊張状態にある。どちらかといえば軍事国家の色合いが濃くて、平和的志向を持つ国ではないんだよね……そんな帝国が使役した竜種を何に使うかといえば、やっぱり戦争の道具にするよね……
そこまで考えて、僕はペコリと頭を下げる。
「申し訳ございませんが、テイムした竜種は『ロンメル商会』のためだけに使うつもりで、どこの国であろうと貸し出しはいたしません」
「皇帝である余が頼んでおるのであるぞ」
「それでもダメなものはダメです。もしも強制されるのであれば、僕も『ロンメル商会』も帝都イシュタルから去ります。もちろん工場も閉鎖しますし、お店も閉めます」
「ぐぬぬ……それは困るである」
昨日、レミリアとアグウェルと三人で、シェルダン皇帝陛下が考えを想定して、対策を練っておいたのだ。
帝都イシュタルに『ロンメル商会』の店舗を開いてから随分と経つ。
そのおかげで帝都イシュタルでも『ロンメル商会』の商品が徐々に広がっていて、『ブラーフ』と『パンピ』については、店に列ができるほどの人気となっている。
今僕達が店を閉めて帝都イシュタルを去れば、街の女性達が黙っていないだろう。
そうなれば、僕達がイシュガルド帝国を離れた原因である王宮が、庶民からの評判を落すことになる。
それはシェルダン皇帝陛下も避けたいところだよね。
「では問いかけを変えるである。我が帝国の軍が窮地にある時、シオンは竜を使って、我が軍を助けてくれるであるか?」
「戦争の手助けはいたしません。ただ敵軍がイシュガルド帝国に攻め入り、侵略行為をした場合は、竜を使って敵軍を蹴散らすお手伝いをしたいです。でもそれには条件があります」
言葉を切って、僕は人差し指を立てる。
「イシュガルド帝国が『ロンメル商会、スポンサーの会』に加盟することです。そうなればイシュガルド帝国は『ロンメル商会』の協力者ですから、『ロンメル商会』も約束を違えることはしません」
「わかったである。『ロンメル商会、スポンサーの会』に加盟するである。ラバネス半島三国には、その旨の使者と遣わすである」
「では使役した大型魔獣がイシュガルド帝国の空を飛ぶ許可をいただけますか?」
「うむ、許可するのである」
こうしてシェルダン皇帝陛下と謁見が終わり、それから二週間後、帝都イシュタルの工場が完成し、商品の量産を始めた。
これでイシュガルド帝国、ファラレスト皇国、アシュラム王国の三国の工場が動きだしたわけで、そうなると、工場で作られた商品の荷運びが活発になる。
そのために竜種とグリフォンをテイムしたんだけど、ここで問題が発生した。
テイムした竜達の発着場所を用意する必要なのだ。
僕はアグウェルに頼んで、各国の街中で適度な空地を探してもらい、その土地を買い上げた。
そして発着場に関係者以外が立ち入りできないように高い壁を作ってもらった。
アグウェルが集めてくれた魔族二十人のうち十人は発着場で、騎手兼、発着場の管理者として働いてもらい、残りの十人には各国の『ロンメル商会』の店舗で働いてもらうことにした。
サイゾウは魔族の仲間が一緒に働くことになったので嬉しそうだとオルデンが言っていた。
オートルザム山脈で竜種とグリフォンを二十体ほどテイムしたけど、そんなに多くの魔獣が空を飛んでいたら怖いので、各国に一体づつ配置して、その魔獣が疲れたら、オートルザム山脈で待機している魔獣と交代している。
これなら魔獣達も荷運びに疲れたら、故郷のオートルザム山脈に戻って、自由に空を飛ぶことができるからね。
今日も帝都イシュタルの空を、グリフォンが荷物を脚で掴んで、元気に飛んでいる。
三回ほど魔獣に乗って空を飛んでみたけど、竜に乗るのも楽しいけど、僕はグリフォンの背中に乗るほうが大好きだ。
そんなこんなで各国で工場が稼動を始めて二ヵ月が過ぎた。
『ロンメル商会』の商品、『ボーン食器』、石鹸、香水、『ブラーフ』、『パンピ』、整髪剤、毛染め薬、日焼け止め薬は飛ぶように売れていき、街の店舗では、連日長蛇の列が並ぶようになった。
……あれ? そういえば大陸の三国は、『ロンメル商会、スポンサーの会』に加盟したのかな?
……『ロンメル商会』にも関わることだし、セレーネ王妃に聞いておいたほうが良さそうだね……
すると彼女からシェルダン皇帝陛下へと話は伝わり、二日後に皇帝陛下と謁見することになった。
あっという間に当日となり、僕とアグウェルの二人は帝都イシュタルの城へと登城した。
謁見の間に入ると、玉座にシェルダン皇帝陛下が座って居られ、その隣にエレミアが立っていた。
「シオンよ、よく来たである。エレミアから竜種を使役したと聞いたである。その竜種をイシュガルド帝国のために役立てるである」
……イシュガルド帝国は今もダルシアン王国の隣にあるネバレイル王国と戦争をしていて、他にも隣接している国と緊張状態にある。どちらかといえば軍事国家の色合いが濃くて、平和的志向を持つ国ではないんだよね……そんな帝国が使役した竜種を何に使うかといえば、やっぱり戦争の道具にするよね……
そこまで考えて、僕はペコリと頭を下げる。
「申し訳ございませんが、テイムした竜種は『ロンメル商会』のためだけに使うつもりで、どこの国であろうと貸し出しはいたしません」
「皇帝である余が頼んでおるのであるぞ」
「それでもダメなものはダメです。もしも強制されるのであれば、僕も『ロンメル商会』も帝都イシュタルから去ります。もちろん工場も閉鎖しますし、お店も閉めます」
「ぐぬぬ……それは困るである」
昨日、レミリアとアグウェルと三人で、シェルダン皇帝陛下が考えを想定して、対策を練っておいたのだ。
帝都イシュタルに『ロンメル商会』の店舗を開いてから随分と経つ。
そのおかげで帝都イシュタルでも『ロンメル商会』の商品が徐々に広がっていて、『ブラーフ』と『パンピ』については、店に列ができるほどの人気となっている。
今僕達が店を閉めて帝都イシュタルを去れば、街の女性達が黙っていないだろう。
そうなれば、僕達がイシュガルド帝国を離れた原因である王宮が、庶民からの評判を落すことになる。
それはシェルダン皇帝陛下も避けたいところだよね。
「では問いかけを変えるである。我が帝国の軍が窮地にある時、シオンは竜を使って、我が軍を助けてくれるであるか?」
「戦争の手助けはいたしません。ただ敵軍がイシュガルド帝国に攻め入り、侵略行為をした場合は、竜を使って敵軍を蹴散らすお手伝いをしたいです。でもそれには条件があります」
言葉を切って、僕は人差し指を立てる。
「イシュガルド帝国が『ロンメル商会、スポンサーの会』に加盟することです。そうなればイシュガルド帝国は『ロンメル商会』の協力者ですから、『ロンメル商会』も約束を違えることはしません」
「わかったである。『ロンメル商会、スポンサーの会』に加盟するである。ラバネス半島三国には、その旨の使者と遣わすである」
「では使役した大型魔獣がイシュガルド帝国の空を飛ぶ許可をいただけますか?」
「うむ、許可するのである」
こうしてシェルダン皇帝陛下と謁見が終わり、それから二週間後、帝都イシュタルの工場が完成し、商品の量産を始めた。
これでイシュガルド帝国、ファラレスト皇国、アシュラム王国の三国の工場が動きだしたわけで、そうなると、工場で作られた商品の荷運びが活発になる。
そのために竜種とグリフォンをテイムしたんだけど、ここで問題が発生した。
テイムした竜達の発着場所を用意する必要なのだ。
僕はアグウェルに頼んで、各国の街中で適度な空地を探してもらい、その土地を買い上げた。
そして発着場に関係者以外が立ち入りできないように高い壁を作ってもらった。
アグウェルが集めてくれた魔族二十人のうち十人は発着場で、騎手兼、発着場の管理者として働いてもらい、残りの十人には各国の『ロンメル商会』の店舗で働いてもらうことにした。
サイゾウは魔族の仲間が一緒に働くことになったので嬉しそうだとオルデンが言っていた。
オートルザム山脈で竜種とグリフォンを二十体ほどテイムしたけど、そんなに多くの魔獣が空を飛んでいたら怖いので、各国に一体づつ配置して、その魔獣が疲れたら、オートルザム山脈で待機している魔獣と交代している。
これなら魔獣達も荷運びに疲れたら、故郷のオートルザム山脈に戻って、自由に空を飛ぶことができるからね。
今日も帝都イシュタルの空を、グリフォンが荷物を脚で掴んで、元気に飛んでいる。
三回ほど魔獣に乗って空を飛んでみたけど、竜に乗るのも楽しいけど、僕はグリフォンの背中に乗るほうが大好きだ。
そんなこんなで各国で工場が稼動を始めて二ヵ月が過ぎた。
『ロンメル商会』の商品、『ボーン食器』、石鹸、香水、『ブラーフ』、『パンピ』、整髪剤、毛染め薬、日焼け止め薬は飛ぶように売れていき、街の店舗では、連日長蛇の列が並ぶようになった。
……あれ? そういえば大陸の三国は、『ロンメル商会、スポンサーの会』に加盟したのかな?
……『ロンメル商会』にも関わることだし、セレーネ王妃に聞いておいたほうが良さそうだね……
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