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第2章 グランタリア大陸東部編
77.大陸三国との調整①
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セレーネ王妃と話し合い、ラバネス半島三国についてはブリタニス王国の王家から、ナブラスト王国のマリナ女王陛下、トランスベル王国のゲアハルト国王陛下に、僕の事情を詳しく伝えてくれるという。
これでラバネス半島三国への説明はなんとかなった。
ホッと安心しているとセレーネ王妃が真面目な表情をする。
「グランタリア大陸の三国には注意すること。イシュガルド帝国、ファラレスト皇国、アシュラム王国の三国へは『ロンメル商会、スポンサーの会』への参加を呼びかけているけど、未だにその返事がないの。参加の意志がないということは、ラバネス半島三国と協調して『ロンメル商会』を支えていく意志がないということね。だから、あの三国には注意してね」
「わかりました」
……空飛ぶ大型魔獣を使役できれば、国の軍ほどの戦力になる。
だから大陸の三国ともに、戦力として取り込みたいはずだよね……僕は他国を侵略したいなんて思わないし、なにより人を殺すのなんて考えたこともない……戦争や殺し合いなんて苦手だよ……
帝都イシュタルの店舗に戻ってきた後、アグウェルにお願いして、僕を抱いてアシュラム王国へと飛んでもらった。
王都アッシュの路地に着地した僕達二人は、大通りを歩いて王城まで行き、門の番兵にシオン・ディルメスが来たと伝える。
すると城の中へ確認にいった番兵が、来賓室へと案内してくれた。
しばらく待っていると、来賓室の扉が開いて、豪華なマントを羽織った、フスタース国王陛下が姿を現した。
「アグウェルから国王陛下が呼ばれていると聞いて来ました」
「うむ、竜種、グリフォンの使役は誠なのか?」
「はい。『ロンメル商会』の荷運びを手伝ってもらおうと、既にテイムしています。それで王都アッシュと他の国々とを、魔獣達が行き来するので、許可が欲しくて」
「それは許可しよう。冒険者の中にも従魔を使役する者達がいるからな。シオン君だけ拒否はできん。それで質問だが、大型魔獣の使役というのは誰にもでもできることなのか?」
……やっぱり、この質問がくるよね。国としては大型魔獣を使役して戦力を増強したいはずだからね。
ここで答えを間違えると、テイムの方法を教えろって言われるから注意が必要と……
「僕以外に使役できません。テイムする方法が難しくて、他の人では真似できないんです」
「……そうか、それは実に残念だ。それでシオン君はアシュラム王国のために大型魔獣をテイムしてくれる気はあるか。報酬は望みのままだが」
「いえ、どんなに報酬が良かったとしても、どの国に頼まれても、その国のために大型魔獣をテイムするつもりはありません。それって戦争の道具、人殺しの道具として戦争に手を貸すことになりますから」
僕の答えを聞いて、フスタース国王陛下は眉間に皺を寄せて考え込む。
そして「フー」と大きく息を吐いた。
「それでは質問の方向を換えるとしよう。もしアシュラム王国が他国から戦争を仕掛けられた時、君はどうするかね?」
「アシュラム王国が『ロンメル商会、スポンサーの会』に加入されているのであれば、僕の大事な協力者なので、全力でアシュラム王国を助けたいと思います」
「その会に加入しなければ、シオン君の力を借りることができないということか。わかった、近々、ラバネス半島の三国へ使者を送り、『ロンメル商会、スポンサーの会』に加盟しよう」
「ただし僕が力を貸すのは、アシュラム王国が他国から攻め込まれた時だけです。それだけは覚えておいてください」
「承知した」
フスタース国王陛下との会談が終わり、僕達は城を後にした。
細い路地から、アグウェルに抱っこしてもらって、空へ飛翔する。
次に訪れた国は、隣のファラレスト皇国。
皇都ファランの路地に着地した僕達二人は、歩いて城へ向かう。
そして城の番兵に案内してもらって、城の最上階にある応接室で待っていると、アミーレ王妃が部屋に現れた。
アミーレ王妃は、僕が訪れたことをすごく喜んでくれて、話は順調に進んでいった。
「では『ロンメル商会』がテイムしている魔獣達の体に、布を巻きつけてはどうかしら。そうすれば『ロンメル商会』の魔獣だって庶民もわかるから、慣れてくれば皆も安心するでしょう」
……何も印を付けていないと、ただの大型の魔獣だから、怖がらせてしまうけど、魔獣の体に『ロンメル商会』がテイムした魔獣とわかる印があれば、街で暮らす庶民達も理解してくれると……さすがはアミーレ王妃様よね……
「クラウスもシオン君にはお世話になっているから『ロンメル商会、スポンサーの会』に加入しようと思っていたのだけど、ラバネス半島は遠いから躊躇していたの。使者を送って加盟の意志ありと、ラバネス半島の三国には伝えておくわね」
「はい。僕がお世話になっている国々ですから、できれば仲よくしてほしいです」
「そうよね。ラバネス半島の国だからといって、いがみ合うなんて不毛よね」
アミーレ王妃がフワリと微笑む。
アミーレ王妃とセレーネ王妃には仲よくなってもらいたいな……二人共、気が合うと思うだよね。
これでラバネス半島三国への説明はなんとかなった。
ホッと安心しているとセレーネ王妃が真面目な表情をする。
「グランタリア大陸の三国には注意すること。イシュガルド帝国、ファラレスト皇国、アシュラム王国の三国へは『ロンメル商会、スポンサーの会』への参加を呼びかけているけど、未だにその返事がないの。参加の意志がないということは、ラバネス半島三国と協調して『ロンメル商会』を支えていく意志がないということね。だから、あの三国には注意してね」
「わかりました」
……空飛ぶ大型魔獣を使役できれば、国の軍ほどの戦力になる。
だから大陸の三国ともに、戦力として取り込みたいはずだよね……僕は他国を侵略したいなんて思わないし、なにより人を殺すのなんて考えたこともない……戦争や殺し合いなんて苦手だよ……
帝都イシュタルの店舗に戻ってきた後、アグウェルにお願いして、僕を抱いてアシュラム王国へと飛んでもらった。
王都アッシュの路地に着地した僕達二人は、大通りを歩いて王城まで行き、門の番兵にシオン・ディルメスが来たと伝える。
すると城の中へ確認にいった番兵が、来賓室へと案内してくれた。
しばらく待っていると、来賓室の扉が開いて、豪華なマントを羽織った、フスタース国王陛下が姿を現した。
「アグウェルから国王陛下が呼ばれていると聞いて来ました」
「うむ、竜種、グリフォンの使役は誠なのか?」
「はい。『ロンメル商会』の荷運びを手伝ってもらおうと、既にテイムしています。それで王都アッシュと他の国々とを、魔獣達が行き来するので、許可が欲しくて」
「それは許可しよう。冒険者の中にも従魔を使役する者達がいるからな。シオン君だけ拒否はできん。それで質問だが、大型魔獣の使役というのは誰にもでもできることなのか?」
……やっぱり、この質問がくるよね。国としては大型魔獣を使役して戦力を増強したいはずだからね。
ここで答えを間違えると、テイムの方法を教えろって言われるから注意が必要と……
「僕以外に使役できません。テイムする方法が難しくて、他の人では真似できないんです」
「……そうか、それは実に残念だ。それでシオン君はアシュラム王国のために大型魔獣をテイムしてくれる気はあるか。報酬は望みのままだが」
「いえ、どんなに報酬が良かったとしても、どの国に頼まれても、その国のために大型魔獣をテイムするつもりはありません。それって戦争の道具、人殺しの道具として戦争に手を貸すことになりますから」
僕の答えを聞いて、フスタース国王陛下は眉間に皺を寄せて考え込む。
そして「フー」と大きく息を吐いた。
「それでは質問の方向を換えるとしよう。もしアシュラム王国が他国から戦争を仕掛けられた時、君はどうするかね?」
「アシュラム王国が『ロンメル商会、スポンサーの会』に加入されているのであれば、僕の大事な協力者なので、全力でアシュラム王国を助けたいと思います」
「その会に加入しなければ、シオン君の力を借りることができないということか。わかった、近々、ラバネス半島の三国へ使者を送り、『ロンメル商会、スポンサーの会』に加盟しよう」
「ただし僕が力を貸すのは、アシュラム王国が他国から攻め込まれた時だけです。それだけは覚えておいてください」
「承知した」
フスタース国王陛下との会談が終わり、僕達は城を後にした。
細い路地から、アグウェルに抱っこしてもらって、空へ飛翔する。
次に訪れた国は、隣のファラレスト皇国。
皇都ファランの路地に着地した僕達二人は、歩いて城へ向かう。
そして城の番兵に案内してもらって、城の最上階にある応接室で待っていると、アミーレ王妃が部屋に現れた。
アミーレ王妃は、僕が訪れたことをすごく喜んでくれて、話は順調に進んでいった。
「では『ロンメル商会』がテイムしている魔獣達の体に、布を巻きつけてはどうかしら。そうすれば『ロンメル商会』の魔獣だって庶民もわかるから、慣れてくれば皆も安心するでしょう」
……何も印を付けていないと、ただの大型の魔獣だから、怖がらせてしまうけど、魔獣の体に『ロンメル商会』がテイムした魔獣とわかる印があれば、街で暮らす庶民達も理解してくれると……さすがはアミーレ王妃様よね……
「クラウスもシオン君にはお世話になっているから『ロンメル商会、スポンサーの会』に加入しようと思っていたのだけど、ラバネス半島は遠いから躊躇していたの。使者を送って加盟の意志ありと、ラバネス半島の三国には伝えておくわね」
「はい。僕がお世話になっている国々ですから、できれば仲よくしてほしいです」
「そうよね。ラバネス半島の国だからといって、いがみ合うなんて不毛よね」
アミーレ王妃がフワリと微笑む。
アミーレ王妃とセレーネ王妃には仲よくなってもらいたいな……二人共、気が合うと思うだよね。
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