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第6話 夜の公園で大騒ぎ

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 美優から俺のスマホに連絡が入る。せっかくお笑い番組を見ていたのに、一体、何の用なんだ?


《ナル。遊びたくなったちゃった。今からひかりを誘って遊びに行ってきてもいい?》


 時計を見ると夜の9時だ。俺に連絡してくるのは良い子だけど、これから門限破りしますと宣言の電話をしてきてどうする?


《どこに行くつもりなんだ?》

《もちろん、繁華街?》


 まったく反省の色ねーし。爽やかに言ってもダメだからな。何を考えてんだ。


《繁華街のどこに行くのかな?》

《ん? ひかりに聞いてみないとわかないから、ひかりと合流してから決める》


 すごく元気な良い返事だが、俺との約束を全く守る気ねーな。


《夜10時が門限って約束だったよね。それに夜の繁華街は禁止って約束したよね》

《それじゃ、ナルが私と遊んでよ。今日、ナルが私を放って帰ったから、暇だったし、からかう相手いないと面白くないし》


 俺はお前の遊び道具か。毎日、毎日、俺をからかって楽しいのか?


《そんなに俺をからかうと楽しいの?》

《だって、ナルって素直にエッチでスケベで、欲望に真っ直ぐじゃん。からかいがいあるよ。ひかりも言ってたもん》


 2人共、同じ意見な訳だ。お前達2人のおかげで、俺は夜になると悶々して眠れない夜を過ごしているというのに、時々、おかずにはさせてもらってるけど、そんなことは絶対に言えない秘密。


《わかった。俺が遊んでやるから。とにかく夜の繁華街は禁止な。ひかりにも言っておけ》

《まだ、ひかりには連絡してないの》


 また、からかわれたのか……クソっ。全て美優の手のひらの上で転がされてばかりじゃないか。


《わかった。ひかりに連絡する前でよかったよ。で、どこで会えばいいんだ?》

《私の家の近くの大きな公園。夜中になるとカップルがいっぱい集まってくるの。なかなか過激なんだから。いつもひかりと、2人でこっそり覗きに行ってるんだけど、過激な人はすごいよ、私達もびっくりだもん》


 非常に興味のある情報をありがとう。それは是非、その公園に行くしかあるまい。その公園は俺のために作られた公園のようなものだ。是非、見に行こう。


《わかった。20分ほどしたら美優のマンションの1階の玄関にいるから、待っておいてくれ》


 俺は急いで着替えて、お笑い番組をしているTVを消して、美優に会いにいく準備をして、家を出て、鍵を閉める。そしてゆっくりと歩いて美優のマンションへ向かう。


 美優のマンションへ行くと、ひかりもいて、2人で手を振っている。2人きりだと思ったのに残念。俺達が公園の主人公になる作戦が無となった。


 俺は心の内を読まれないようにして、できるだけ爽やかな笑顔で2人を見る。ひかりが胡散臭そうに俺の顔を見る。心を見透かされたのかもしれない。


「どうも、お邪魔虫のひかりでーす。ナルが美優を襲わないように監視にきたの。それにあの公園って本当に過激な人は過激だから凄いんよね。公園へ行くなら私も行きたい」


 十分、熱意は伝わりました。俺としては残念だけど、ひかりも十分な美少女だ。美少女2人と遊べるのだから文句を言ってはいけない。今までの俺を振り返ってみろ。こんな幸運一切なかったんだからな。女子ともほとんど話したことがない俺。あまり過去を思い返すな……目に涙が……クソっ


 それでは美優の近くの大きい公園へ行ってみましょうか。ひかりと美優はスニーカーを履いて準備万端だ。俺達は足音を立てないようにして、公園の中へ入って行く。たしかに大人のカップルが多い。ほとんどのカップルは熱いキスを交わしあっている。


 俺達は一番、色々な場所が見えそうなベンチへ3人ですわる。美優、俺、ひかりの順で座る。俺が1番、見にくい席だと思うんだけど、美少女2人に挟まれた席なんで文句をいうこともできない。


 美優の座っている方向から女性の喘ぎ声が聞こえる。


「凄い、女性にキスして、シャツのボタンを外して、ブラの中へ手を入れてもんでる」


 何?そんな素晴らしい光景が広がっているのか。俺も是非見たい。美優の体が邪魔だ。全然、見えない。


 俺は少しでも見たくて、美優の肩に手を置いて、背中を伸ばして美優の首の近くへ自分の首を持っていく。少し見えた。若いスーツの男性が、OL風の女性といちゃついているのが見える。しかし細かいところまで見えない。


「あーこっちもすごいよ。男性が女性のストキングを脱がし始めたよ。」


 何? ストッキング? それは禁断の布。それも見てみたい。俺が振り返ってみるとひかりの体しか見えない。ひかりの体が邪魔だ。俺はひかりの肩に手を置いて、背筋を伸ばして、首を伸ばして、精一杯にひかりが見ている席を見る。確かに女性の足が上にあがっているが、残念なことにストッキングは脱がされた後らしい。


「まだまだ続いてるよ。あーブラジャー取っちゃった」


 なんですとー! ブラジャーなし。それはノーブラ。是非、見なけれければ、俺は美優の方向へ振り返る。美優の体が邪魔で視えない、やはり俺は美優の背中に覆いかぶさるようにして首を前に出して、美優が見ているベンチを見る。確かに男性は胸をもんでいるようだ。それに熱いキスを繰り返している。


 あまりの興奮に俺の腕が少し、美優の胸をもんでしまう。美優に手のひらを抓られて小さく『ダメ』とささやかれる。美優の甘いささやきに余計に興奮する俺、どうすれば見えるんだ。俺は美優の腰のところから首を出して、ベンチを観察する。おお胸の手が激しくなってきた。


 丁度、よいところで美優が俺の両目を塞ぐ。今、1番良いところだったじゃん。なぜ目隠しをする。美優が手をどかした時には、カップルは静かにキスをしているだけだった。


「あーこのカップルすごいよ。女性が立って、男性がお尻をなでまわしてる。」


 なにー! お尻をなでまわしてるだとー。それは絶対にみなければ。


 俺はすかさず振り向く。しかしひかりの体が邪魔でみえない。俺はひかりの脇のところから顔を出して、ひかりの見ているベンチを見る。たしかにお尻をなでまわしているのはわかる。なぜ50歳超えたカップルの行為を俺が見ないといけないんだ。ひかり年齢制限ぐらいしておけ……でも公園の中だと興奮するな。


 おもわず、お尻をなでている年上カップルを見ている間に、俺の手が勝手に動いて、ひかりのお尻をなでてしまった。ひかりは振り返って『触りたいなら美優をさわりなさい』と怒られた。


 その声が美優の耳に入ったらしい。美優が俺の耳を引っ張って、ひかりから俺を引きはがす。


「ひかりのお尻をなでたってどういうことなの?」


 ついつい自然と右手が動いていまして、こういう時の男性の身体って不思議なんだよ。各パーツが勝手に動くんだ。だからこれは不可抗力で……美優の目が冷たい。いつもの優しい美優に戻ってほしい。


 美優が俺の耳元でささやく


「今度、いっぱい私のお尻をなでさせてあげるから、今日は我慢して。それにひかりは私の親友なんだから、お触り禁止」


 え、本当?今度、本当に美優のお尻をなでてもいいの。俺、期待しちゃうぜ。


「あーあそこの茂みにいるカップル、下着を全部取っちゃった。」


 全部! オールヌード! それは絶対に見なければ。俺はひかりのほうへ振り向いてひかりの後ろから覗くと、口ひげを伸ばした男性とつっるっぱげの男性がオールヌードで絡み合っている。


 ひかり、男性はやめてくれ。オェー。性別だけは守ろうぜ。報告は正確に。一気に俺の気分が盛り下がったじゃねーか。


 美優が俺のシュンした姿を見てケラケラと笑っている。そしてひかりもニヤリと笑っている。


「あーナルをからかうと面白いわ。席の真ん中でジタバタ大騒ぎしてるんだから」

「だから私、言ったじゃん。ナルをこの公園へ連れてくると絶対に面白いって」


 なんですとー! 今までのは全て、お前達のからかいか。童貞くんを虐めるのにも限度があるぞ。2人でペアを組んで、俺をはめて遊んでいたのか。酷い。酷すぎる。最後のは見たくなかった。


 俺はあまりに頭にきたから、美優の胸に襲って揉もうとしたら、頭に拳骨が落ちてきた。ひかりだ。
 

「女の子にそんな強引なことをしたら嫌われちゃうんだからね。ナル。もう少し冷静さを持ちましょう」

「ナル。私も胸をもんでもらうなら、ムードのある所で、ムードを持ってもんでほしい。今度、ムードのある所へ行こうね」


 美優はウルウルした瞳で、上目遣いに訴えてくる。うん、今日のことは俺が悪かった。今度、ムードのある所へ行こうな。


 俺がそんなことを考えていると、2人はお腹を抱えて笑っている。


「ナル、本気で反省しちゃってるよ。本当に素直だねー!」


 ひかりが涙を流して笑ってる。美優は申し訳なさそうな顔はしているが、顔がヒクヒクと笑っている。


 くっ、また2人に騙されたのか。どこまで俺をからかえば気が済むんだ……クソっ


 それから暫くして、俺達3人は公園から出て、ひかりは家に帰り、美優もマンションの中へ去って行った。俺は自分に家へ戻ってきたが、悶々として、目がぱっちりと開いて、眠れない。


 すると美優から俺に連絡が入った。


《眠れないからって、私達をおかずにしちゃダメよ。おサルさんになったら朝、起きられないから、ほどほどにね》


 なぜ、俺の行動パターンを知ってるんだ。お前達をおかずにするような失礼なことはしない。しかし、すっきりしないと眠れない。俺は夜通しスマホでサイトを見ていた。


 そして美優の予想の通りに遅刻をして、また2人に笑われた。この小悪魔達め。
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