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襲撃
1☆夕日に照らされる紺太
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高良と紺太は学校から宮中に帰る道すがらいろんな話をする。
性格は真逆なのに一緒にいると楽しかった。
高良にとってつまらなかった学校が楽しいと感じるのは紺太がいるからだ。
紺太の人なつっこさは学校でも人気だった。
高良は学校で一人ぼっちだったが、学友たちも二人の漫才のような掛け合いに興味を持ち高良のことも理解して仲良くなっていった。
冬休みに入り、陰陽寮も忙しく、今年の穢れを落とす儀式のことやら、あやかしの四神の話も聞く。
さらに、最近、ウカノミタマの化身で祖母のウカ様へのプレゼントをした事を話す。
「赤いリボン喜んでくれて、それに、尻尾につけたらとってもかわいいんだよ!まだまだ一千年は長生きしてくれそうなほど若々しいんだから!」
紺太は興奮して祖母自慢をする。
「あと妹にもプレゼントしてあげたよ!クリスマスだしね!」
「威津那殿にいったら意地悪されそうだな…てか、妹いたのか?」
「僕と違って普通の人間だけど十一歳のかわいい女の子だよ。阿部野の遠い親戚の養女として暮らしてるよ。高良の弟の誰かと結ばれる予定だよ」
とんでもないことを、さらっと言われたが、いつものことなので追求はやめた。
とりあえず、紺太の妹は高良の運命の相手ではないことは確実のようだ。
紺太は今日は異様に上機嫌だ。
「あと、タヌさんと僕の赤ちゃんもうすぐ見せてあげられるよ!来年はすっごく楽しみなことばかりだよ!」
「紺太は、オレと同い年で結婚して子供までこさえてしまうとは……何事も早い気がする…」
早すぎて寿命も早いのではないか?と不安になる。
「好きなことは先手必勝!」
紺太はびしりっと高良の眉間の皺に指を当てて皺を無くすようにぐりぐり回す。
この行為は紺太は、不安が無くなる『おまじない』とも嘯いている。
「だって人間いつ死ぬかわからないんだよ?まぁ、僕は半妖だから長生きだと思うけど、楽しいことたくさんしたいじゃん。悔いを残さないようにさ。」
心を覗くと、戦争で命を失った両親のことを考えているらしい。
孫の紺太よりも母親の方があやかしの血が濃いはずなのに、戦争によって突然宿命がおとづれてしまうのも辛かっただろう。
幼い子供二人残してあの世へ旅立つことは……
ぶすり!と、また指を眉間に刺された。
「高良!一人で深刻にならないでよ!」
「ごめん。」
高良は威津那のように深い考えをしてしまったことに恥ずかしくなる。
けれど、大切な親友の気持ちを慮るためだが……
「お前の子は、狸になるか人になるか狐になるか………楽しみだな」
それは本心だ。
「とんでもない化け物になったりしてな」
意地悪を言って苦笑をする。
「そしたら眠る狐よりも強い妖力で宮中を陛下をお守りしてくれるよ!
……でも、好きなことは迷わず進んでやってほしいかな?父親として…」
「もう、父親気分か……若いのが無駄だな」
「無駄じゃないもん。親としては当然な思いやりでしょ?高良も父親になったら…わかるよ」
にっこりと艶のある微笑みで説得された。
それはやはり大人っぽかった。
「それに、将来は陰陽寮長として陰陽寮職員みんな家族なんだから、今のうちにお父さんという気概を持たなきゃ!」
「オレはまだ子供でいたい。それで、紺太とももっと…遊びたい…!」
本音を口にして顔を真っ赤にして高良は照れた。
「高良ってかわいいよね!」
紺太はぎゅっと高良を抱きしめた。
そして耳元で、
「ずっと親友だよ」
囁かれた。
その言葉がなぜか胸にグッとくる。
嬉しいような……
………だけど、とてつもない不安……
「ああ……」
高良もぎゅっと紺太を抱きしめた。
「もう暗くなってるし、宮中のお仕事に戻るね!また明日ね!」
「また、明日…」
高良は紺太のこの時の沈む夕日に照らされた笑顔を生涯忘れないのだった。
性格は真逆なのに一緒にいると楽しかった。
高良にとってつまらなかった学校が楽しいと感じるのは紺太がいるからだ。
紺太の人なつっこさは学校でも人気だった。
高良は学校で一人ぼっちだったが、学友たちも二人の漫才のような掛け合いに興味を持ち高良のことも理解して仲良くなっていった。
冬休みに入り、陰陽寮も忙しく、今年の穢れを落とす儀式のことやら、あやかしの四神の話も聞く。
さらに、最近、ウカノミタマの化身で祖母のウカ様へのプレゼントをした事を話す。
「赤いリボン喜んでくれて、それに、尻尾につけたらとってもかわいいんだよ!まだまだ一千年は長生きしてくれそうなほど若々しいんだから!」
紺太は興奮して祖母自慢をする。
「あと妹にもプレゼントしてあげたよ!クリスマスだしね!」
「威津那殿にいったら意地悪されそうだな…てか、妹いたのか?」
「僕と違って普通の人間だけど十一歳のかわいい女の子だよ。阿部野の遠い親戚の養女として暮らしてるよ。高良の弟の誰かと結ばれる予定だよ」
とんでもないことを、さらっと言われたが、いつものことなので追求はやめた。
とりあえず、紺太の妹は高良の運命の相手ではないことは確実のようだ。
紺太は今日は異様に上機嫌だ。
「あと、タヌさんと僕の赤ちゃんもうすぐ見せてあげられるよ!来年はすっごく楽しみなことばかりだよ!」
「紺太は、オレと同い年で結婚して子供までこさえてしまうとは……何事も早い気がする…」
早すぎて寿命も早いのではないか?と不安になる。
「好きなことは先手必勝!」
紺太はびしりっと高良の眉間の皺に指を当てて皺を無くすようにぐりぐり回す。
この行為は紺太は、不安が無くなる『おまじない』とも嘯いている。
「だって人間いつ死ぬかわからないんだよ?まぁ、僕は半妖だから長生きだと思うけど、楽しいことたくさんしたいじゃん。悔いを残さないようにさ。」
心を覗くと、戦争で命を失った両親のことを考えているらしい。
孫の紺太よりも母親の方があやかしの血が濃いはずなのに、戦争によって突然宿命がおとづれてしまうのも辛かっただろう。
幼い子供二人残してあの世へ旅立つことは……
ぶすり!と、また指を眉間に刺された。
「高良!一人で深刻にならないでよ!」
「ごめん。」
高良は威津那のように深い考えをしてしまったことに恥ずかしくなる。
けれど、大切な親友の気持ちを慮るためだが……
「お前の子は、狸になるか人になるか狐になるか………楽しみだな」
それは本心だ。
「とんでもない化け物になったりしてな」
意地悪を言って苦笑をする。
「そしたら眠る狐よりも強い妖力で宮中を陛下をお守りしてくれるよ!
……でも、好きなことは迷わず進んでやってほしいかな?父親として…」
「もう、父親気分か……若いのが無駄だな」
「無駄じゃないもん。親としては当然な思いやりでしょ?高良も父親になったら…わかるよ」
にっこりと艶のある微笑みで説得された。
それはやはり大人っぽかった。
「それに、将来は陰陽寮長として陰陽寮職員みんな家族なんだから、今のうちにお父さんという気概を持たなきゃ!」
「オレはまだ子供でいたい。それで、紺太とももっと…遊びたい…!」
本音を口にして顔を真っ赤にして高良は照れた。
「高良ってかわいいよね!」
紺太はぎゅっと高良を抱きしめた。
そして耳元で、
「ずっと親友だよ」
囁かれた。
その言葉がなぜか胸にグッとくる。
嬉しいような……
………だけど、とてつもない不安……
「ああ……」
高良もぎゅっと紺太を抱きしめた。
「もう暗くなってるし、宮中のお仕事に戻るね!また明日ね!」
「また、明日…」
高良は紺太のこの時の沈む夕日に照らされた笑顔を生涯忘れないのだった。
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