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未来の縁
2☆父と対面
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「よくぞ、任務を果たしたな….威津那よ」
威津那と菊は大カラスに飲まれて、ハッと声の方を見ると、真っ黒な直衣に真っ黒な烏の羽のマントをまとい高い玉座に座り見下ろす父、八那果を見る。
それに多数の人間がざわめき合いながら威津那を見る。
ここは黒御足の長の御前の間だと威津那は気づく。
八那果の玉座の左右に一族が集まりこちらを見る。
ざっと一族、百人は集まっている。
全てがレッドスパイの思想に支配されているわけではないが、黒御足の長である八那果の命令は絶対だった。
一族はざわざわと威津那と九尾の狐の橘姿を見てそれぞれ感想をいいあっている。
八那果は右手を上げて一族達の言葉を静止させる。
十年前はそんな不遜な態度では無かった。
長とはいえど、忠実な臣下で陛下を支え国を思う愛国者だったが、今はその愛おしい国を自らの手にしようとする朝敵だ。
父の不祥事は息子の自分が手を下さねばならないと覚悟は決めている。
威津那はキッと父を睨む。
そんな敵意を見せる威津那にフッと笑い、マントをバサっと払うと玉座から降りて威津那を抱きしめた。
「会いたかったぞ…愛おしい我が息子よ…」
耳元でささやく深く低い慈悲深い声音は威津那は好きだった。
人を信頼させ引きつける魅力的な声音だ。
その声に呪が混ざっている。
自分を操ろうとしていると気がつくと威津那は父の胸をドンと乱暴に突き飛ばしたはずだったが、隣にいる菊の目の前にいた。
八那果は赤い瞳を瞳を細め、菊の顎を持ち上げる。
「くっ…」
「なんと、美しき白狐だ…」
菊は明らかに怯えていた。
未来を見る赤い瞳で菊をまじまじと見つめる。
いや、菊を管狐にするために能力を使って力を測っている。
「やめろ……烏の長め!やはりあの頃と変わらず…だ……!」
当時、九尾を切り落とした黒御足の一族を彷彿とさせる。
黒御足の一族の長はとても人間離れした力をもって尻尾を切り落とした。
その事は菊の消えない恐怖になっている。
威津那は橘の顎から父の手を振り払う。
「僕の大切な人に触れないでください!」
中身は菊だが橘を守る。
「あなたが、焔に命令しなければ橘は白狐にならずに済んだのに……」
白狐……菊になったからこそ助かった命だが、橘を思う存分痛めつけさせることがわかっていたのに焔を使って今の現状にした父を恨む。
そのことがどうしても許せない。
「威津那が白狐にしない未来に変えようとするからだ……無駄に終わると分かっていながらな……」
確かに未来は見えていた、けれどそうした原因は見えなかった。
見えていたのならば神誓いをせずに、早く焔の命を奪っていた。
だが……
「その原因を作ったのはあなただ…あなたが九尾を復活させて日和を…この世を混沌に陥れようとするからだ……」
威津那も日和国が弱体化し徐々に弱りコメリカ…世界にいいようにされる我が国を良いとは思わず混沌から新たな世界になることを理想としていたが……間違っていることに気付いた。
「日和は、世界は混沌に陥れるほどの腐った世界じゃないんだ……陛下の祈りのもと、また人々が幸せに暮らせる日々が続いていくんだよ……父さんもわかっていたはずだ…」
威津那は橘に出会って、共に幸せにこの先を生きたいと思った。
闇に心を蝕まれていた威津那は闇の混沌が日和を外国から守るために必要だと思っていたが、考えを改めた。
それは人々の縁、暖かさ、心安らげる日々を真剣に感じた愛おしいと思うからこそ出る言霊だった。
威津那と菊は大カラスに飲まれて、ハッと声の方を見ると、真っ黒な直衣に真っ黒な烏の羽のマントをまとい高い玉座に座り見下ろす父、八那果を見る。
それに多数の人間がざわめき合いながら威津那を見る。
ここは黒御足の長の御前の間だと威津那は気づく。
八那果の玉座の左右に一族が集まりこちらを見る。
ざっと一族、百人は集まっている。
全てがレッドスパイの思想に支配されているわけではないが、黒御足の長である八那果の命令は絶対だった。
一族はざわざわと威津那と九尾の狐の橘姿を見てそれぞれ感想をいいあっている。
八那果は右手を上げて一族達の言葉を静止させる。
十年前はそんな不遜な態度では無かった。
長とはいえど、忠実な臣下で陛下を支え国を思う愛国者だったが、今はその愛おしい国を自らの手にしようとする朝敵だ。
父の不祥事は息子の自分が手を下さねばならないと覚悟は決めている。
威津那はキッと父を睨む。
そんな敵意を見せる威津那にフッと笑い、マントをバサっと払うと玉座から降りて威津那を抱きしめた。
「会いたかったぞ…愛おしい我が息子よ…」
耳元でささやく深く低い慈悲深い声音は威津那は好きだった。
人を信頼させ引きつける魅力的な声音だ。
その声に呪が混ざっている。
自分を操ろうとしていると気がつくと威津那は父の胸をドンと乱暴に突き飛ばしたはずだったが、隣にいる菊の目の前にいた。
八那果は赤い瞳を瞳を細め、菊の顎を持ち上げる。
「くっ…」
「なんと、美しき白狐だ…」
菊は明らかに怯えていた。
未来を見る赤い瞳で菊をまじまじと見つめる。
いや、菊を管狐にするために能力を使って力を測っている。
「やめろ……烏の長め!やはりあの頃と変わらず…だ……!」
当時、九尾を切り落とした黒御足の一族を彷彿とさせる。
黒御足の一族の長はとても人間離れした力をもって尻尾を切り落とした。
その事は菊の消えない恐怖になっている。
威津那は橘の顎から父の手を振り払う。
「僕の大切な人に触れないでください!」
中身は菊だが橘を守る。
「あなたが、焔に命令しなければ橘は白狐にならずに済んだのに……」
白狐……菊になったからこそ助かった命だが、橘を思う存分痛めつけさせることがわかっていたのに焔を使って今の現状にした父を恨む。
そのことがどうしても許せない。
「威津那が白狐にしない未来に変えようとするからだ……無駄に終わると分かっていながらな……」
確かに未来は見えていた、けれどそうした原因は見えなかった。
見えていたのならば神誓いをせずに、早く焔の命を奪っていた。
だが……
「その原因を作ったのはあなただ…あなたが九尾を復活させて日和を…この世を混沌に陥れようとするからだ……」
威津那も日和国が弱体化し徐々に弱りコメリカ…世界にいいようにされる我が国を良いとは思わず混沌から新たな世界になることを理想としていたが……間違っていることに気付いた。
「日和は、世界は混沌に陥れるほどの腐った世界じゃないんだ……陛下の祈りのもと、また人々が幸せに暮らせる日々が続いていくんだよ……父さんもわかっていたはずだ…」
威津那は橘に出会って、共に幸せにこの先を生きたいと思った。
闇に心を蝕まれていた威津那は闇の混沌が日和を外国から守るために必要だと思っていたが、考えを改めた。
それは人々の縁、暖かさ、心安らげる日々を真剣に感じた愛おしいと思うからこそ出る言霊だった。
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