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7★後悔
しおりを挟むジュカ猫が前世、人であった時、魔法を使って、他国や自分の国の民を恐怖に陥れた。
これは『魔王』といわれた真実。
「ああ…そのため…我は皆から見放された…」
ジュカ猫は三日月を眺めるが、それより遠い過去を思い出しているようだった。
ジュダはジュカ王のことを誰よりもしらべて憧れていただけにジュカが思っていることが分かるような気がした。
ジュカ王は他国の魔法使いに殺されたという伝説は幽かだが残っている。
民達が頼んだ魔法使い。民達の望みは王の死。
戦争に狩り出される民達が増えないように…
もうこれ以上戦争はしたくない…という民達の望みだったという。
ジュカ王は領土を増やせは皆幸せになると信じていた。
けれど、目的に情は存在していなかったのかもしれない……
「お前は同じだ…この月化草だって民達のわずかな愉しみの一つだ。
それを迷いなく奪おうとする…その性格も何もかも我に似て腹が立つ。また同じ繰り返しをしようとしているお前が……」
遠くへ、視線を向けていた金の瞳のをジュダを憎々し気に見下ろす。
それは、自分に憧れていた魔王ジュカ猫の企みを知り、どんな表情をしているか確かめるためだった。
恐怖か、怒りちらした顔か、助けをもとめ情けない表情をしているか……
「…ジュカと同じだね…」
けれど、どれも違った。
ただ悲し気にこちらを見ている。
悲し気に微笑んでいる。
仕方がないというように、その顔を見られたくないのか、地上を見下ろす。
「僕も…同じ繰り返し…したくなかったんだ…」
声が締め付けられる、だから弱々しく声を絞り出すようにジュダは言った。
「なに?」
意味が分からない。くり返そうとした癖に何をいってるんだ?
「僕が魔法使いになりたいと思ったのは魔王…君のことを知ったから…」
「我の所為だといいたいのか?」
ジュダは首を少し横に振る。
もっと否定的に大きく振ったらバランスを崩して落っこちそうで出来ない。
ジュダはジュカ猫に視線をあわせて訴える。
「僕はそんな魔法使いにならない…違う道があるんじゃないかと思って、同じ魔法使いになりたかった!」
ハッとする。
そんな考え方をしていたなんて思いもしなかった。
「それに…自分の未来を教えてくれる先生がほしかった…」
微笑んで自ら手を離す。
「!?」
「僕の本当の望みは……」
落ちていくジュダの言葉はその言葉までしか聞こえなかった。
「ジュダーーーー!!」
ジュカ猫は闇に落ちていくジュダに身を乗り出し叫ぶ。
悲鳴にも似た声。
このままジュダは死んでしまうのか……?
いや再び民に最悪を与え殺される自分の子孫を見たくなかった。
だから、ここで殺すつもりだったが・・・
自分の思っていたジュカの望みと違うらしい。
それに自ら手を放し、『先生がほしい』とはどういうことなのだろう…
自分がけしかけて、望みどおりの展開になったが、ジュダの最後の言葉と微笑みがジュカ猫の心に後悔が生まれる。
あの時と同じに……民に殺められた時のように…
新たな後悔の念に苛まれた時、突然下から上にかけて突風が吹く。
ありえない風向きにジュカ猫は苦悩を一瞬わすれ何かがんばれー風と共に上がってきた物体を見上げる。
風はだんだん緩やかになり、上からジュダが降りてくる。
「ジュ…ジュダ……?」
「僕は不思議な力を持って生まれた…だから、みんな君の生まれ変わりだと思われて…殺されかけた事があるんだ…」
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