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御祖父さんと一緒

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 ひっそりとした雰囲気が漂う場所に俺とミルプルは到着した。此処からは、自転車に乗って行けないようだ。
 木々や草が生い茂った場所を少し歩いて行くらしいのだ。仕方がない。自転車は、押して行くか。しかし……。
 ミルプルは、荷台から既に降りているが、俺は、サドルに座ったままでいる。俺の意志に反して下半身のが暴れたい反抗期。興奮が収まるまで、動けぬ。気持ちよ、落ち付け。早く!

「あれっ、どうしたの? 郁流は降りないの。もう少しで家だよ」

「ああ。ちょっと……待って」

 待ってと言ってるのに、ミルプルは、せっかちだった。わざわざ俺の前に回り込んだ。すると、口を大きく開けて驚いた様な表情をした。しまった。俺の下半身のは、状態から平常に戻るのに間に合わなかったようだ。

「なあんだ。そうだったのかぁ。郁流は、騎士見習いなのに、兜は被ってるけど武器が無いと思って不思議だったの。でも、そんな所に隠してたんだね」

 俺の下半身のを指さして、疑問が解け納得の微笑みを浮かべるミルプル。
 もし、他の女性に合コンの場などで、今の俺の状態を見られたとする。そして、ミルプルみたいに言われたら? 思うに、経験ある女性の余裕の冗談であろう……だったら俺も恥ずかしがったら負けだ。そうさ俺は、危険な男なのさ。今日は、俺の武器で君をしとめるぜ……。とか言い返しをするかもしれない。が、しかしミルプルの場合は、真面目に言ってるだろうなぁ。

「そ、そうだよ。俺みたいな有能な騎士見習いは、剣なんて必要ないのさ。小型のナイフで十分なんだよね。そして、子供達とかが怖がらないように隠し持っているんだよ。おっと、これは駄目だ。ちゃんと隠さないとなぁ!」

 いい加減な、はったりをかましてから、俺は、猫背の体勢で、一番近くの木の陰に素早く走る。それから深呼吸をして心を落ち着かせた。


 *****

 自転車を押して、歩きながら会話をする俺とミルプル。彼女は、御祖父おじいさんと二人暮らしと話してくれた。彼女が生まれてから直ぐに両親は亡くなったと聞かされているようだ。
 なんでも、街に買い物に行った帰りに山賊達に襲われたそうだ……。不憫ふびんな子供時代だっただろうな。それでも、こんなに立派に育って。こんなにも、ボンとした胸からキュッとしてボンとした尻に……いかん、そうじゃないな。
 よし、ミルプルは、俺が守る! と勝手に決意する。
 ミルプルの御祖父さんは、ミルプルが俺を連れて家に帰ったら、どう反応するかな? 『ミルプルも、もうそんな年頃になったか。成長したのう。郁流さんとやら、これも何かの縁じゃ。孫と夫婦になって、わしを助けてくれんかのぅ』とか言い出すんじゃないの? しょうがねぇなぁ。とミルプルは、俺が守ってやるか! うひゃひゃ。
 
 そんな妄想をうかべながら進んでいると、林の間にまるで隠れるように建っているが、想像してたよりも立派な二階建ての家が視界に入った。

「あれだよ。あそこが私の家」

「あれかぁ。中々静かで、ゆったりと暮らせそうな所だね」

 この家ならば、ミルプルと俺と祖父さんの三人で仲良く暮らせそうだな。そうなったら、俺とミルプルは二階の部屋かな? 夜は、二人っきりで……あんな事やこんな事を。『駄目よ御祖父ちゃんにきこえちゃうわ』と言われるかな? うーん。そうならないようにには、酒でも飲まして熟睡じゅくすいささねばな。

 *****

「ただいまぁ!」

 ミルプルの元気な挨拶に答える声は無かった。それでも彼女は気にも留めないで、自転車のカゴに入れて運んできたリゴンの実の入った袋を食卓テーブルの上に置いた。俺は、ジジイの事が気になって落ち着けない。

「だ、誰もいないね」

「うーん。御祖父ちゃんは、たぶん裏庭でまきを割ってると思うよ」

 なんだ薪を割ってるのか。ジジイが朝から労働をするじゃねえか。どうせヒョロヒョロとしながら、腰が痛いなどと難儀なんぎをしているのだろう。仕方がないな。俺が挨拶したら、手伝ってやるかな。
 ミルプルが俺を紹介したいと言うので、裏庭に行く彼女に付いて行く。


「なっ!」

 裏庭に出るなり俺は、思わず声を出した。驚きのあまりだ。そこで薪を割っていた人物は、俺の想像と違っていたのだ。身長は百九十センチ以上はあるだろうか。ムキムキという表現が似合う筋肉質の体。それに薪を割るための斧ときたら。あれは、薪を割る為の物じゃないと俺でも分かる。戦闘用だ。バトルアックスじゃないか! それも両手用のデカイ物。それでも両手ならば普通かもしれない。なんと、片手で振り回しては、振り下ろしているじゃないか! 
 こっ、この方は、じじいは爺でも、戦闘を極めた爺だ……。もし、俺がミルプルの全裸を見て、尻を揉んだのが知れたら? かわいい孫のをだ……。こっ、殺されるかも?

「おお、ミルプル戻ったか。ん? その男は?」

「うん。ただいまぁ。御祖父ちゃんに紹介するね。彼は、郁流だよ。帰りにちょっとお世話になったの。あとね、お尻を」

「あーどうも、初めまして。郁流・イセーカです。ミルプルさんとは、川で合いになりまして。よろしくお願いします!」

 危なかった。何とか、ごまかせたかな。しかし、は、険しい顔をして俺をにらんでいる。
 果たして俺は、生き延びる事が出来るのであろうか……?





 



 
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