【完結】婚約者に忘れられていた私

稲垣桜

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1 私と婚約者の関係

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 私の名前はアシュリー。
 ガーランド子爵家の長女で、今は王太子殿下の婚約者でもあるカサンドラ様の侍女をしております。
 なんでも、王宮の使用人たちの中では私のことをなどと呼んでいることは耳に入ってきていますが、自分でそう思ったことはないのですが。

 お仕えするカサンドラ様の不利益になるような事柄はしっかりと排除しながら、自分のするべきことをこなしてきているだけなのにどうしてそのようなあだ名が付いたのでしょう…不思議です。

 私は数年前までは茶色い髪に濃緑の瞳をした平凡な容姿をしておりました。でも、成長するにつれてどんどんと色素が抜け、今では透き通るような白い肌にホワイトブロンドの髪、そして瞳はアイスグリーンになり、見た目も幼い少女から大人の女性へとすっかりと変わってしまいました。
 久しぶりに会った人だとわからないくらいの変わりようです。でも変わったとはいえ、顔立ちは平々凡々だと思っていますからを羨ましがられてましてもねぇ…って感じです。
 家系にも何人かは私のように色が変わった人がいたみたいで、両親もあまり驚かなかったですね。ただ数年ぶりに会った伯母様には驚かれましたわ。



 私には10年前に婚約をしたタウナー伯爵家のエドウィン様がいらっしゃるのですが、彼は騎士団に所属していて、6年前から国境へ派遣されております。残念ながらその間は一度も会ってはおりません。
 でも「帰ってきたら結婚しよう」とエドウィン様から言われ、その言葉を胸にこの5年、過ごしてきたのです。

 手紙も送り、最初の頃は返事も届いていましたが、そのお返事が一週間に一度が二週間に一度になり、三週間、一ヵ月、二カ月となり、二年も過ぎる頃には全く返事が届かなくなりました。
 最初の頃は忙しいのかしら?と、素直に思っていましたけれど、同じ国境に派兵されている方の婚約者の元にはきちんと返事が届いていたようですから、エドウィン様が出していないだけなのだと推測できました。

 その手紙で私ののことも書きましたし、王太子様の婚約者様の侍女をしていることも書きましたが、ちゃんとわかっていらっしゃるのでしょうか。




 エドウィン様は伯爵家の三男で継ぐ爵位はございません。ですから私と結婚して私の母が持つ男爵家の爵位を継ぐことになっています。
 これも両家での話し合いで、実家の男爵位を存続させたい母方の祖父と、を平民にしたくない当時のタウナー伯爵家当主との考えの合致からの婚約でした。

 お互いにメリットがあるかと言われると、そこまで重要なことはなかったと思います。
 私は相手が誰であっても、結婚したら爵位を受け継ぐ予定でしたし、エドウィンも頑張っていつか騎士伯をもらえるのであれば私にこだわることも無いはずですし。


 それでも婚約をしてから交流をして、一緒に過ごすことも多くて、私はエドウィンの事を「将来の旦那様」と考えて好意を抱いていきました。ええ。確かに好きだって気持ちはあありましたわね。
 エドウィンも私には優しくしてくれましたし、他の女性には声をかけることも無く自分だけを見てくれていた自覚もありまっしたし。

 それなのに、こうも返事が来ないとなると、何かあったんじゃないかと勘繰りたくもなるというものです。



 エドウィンが国境へと旅立ってから、私は必死で勉強をして優秀な成績で学園を卒業し、子爵家と交流のあるベイモント侯爵家で働くことになりました。
 
 王太子殿下の婚約者のカサンドラ様のお母様と私の母が親戚関係なこともあって、幼い頃から何度か顔を合わせたことはありましたが『いつか私の子の元で働いてほしい』と言われていたこともありまして、由緒正しい侯爵家に仕える為にも恥にならないように学園では必死になって勉強しましたわ。
 その甲斐もあって、勤め始めて僅か二年でカサンドラ様のおそばに仕えるようになれ、正直嬉しかったです。私のしていた努力が認められたって思いましたの。


 そして王太子殿下とカサンドラ様のご婚約が調い、そのお茶会という時に、その王太子殿下からあるを聞きました。




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