【完結】婚約者に忘れられていた私

稲垣桜

文字の大きさ
11 / 31

10 父の怒り

しおりを挟む
 私の出した手紙の内容に余程頭が来たのか、その日の夕方には父が私の元を訪れた。
 いや…早いわよねぇ。昨日の今日でその夕方よ?まあ、それほど衝撃的だろうけどね。


「アシュリー!この手紙に書かれていることは本当なのか!!」


 使用人が家族や友人と会う時に使うことが出来る部屋の一室の扉を開け、私の顔を見た父の第一声がコレだった。
 その顔は血色も良くないし、気のせいだろうけど痩せて見える。そんなわけないんだけど。
 そして、父が座っている場所の体面の椅子に腰を掛けて、深呼吸をしてから一から今までの事をゆっくりと話した。


 手紙の事…

 音信不通だった事…

 いつの間にか国境から帰ってきていた事…

 夜会で同伴で参加していた事…

 そしてと私に向かって言った事…


 最後に、エドウィン様との婚約は解消して、そのままカサンドラ様の元で侍女を続けることを父に伝えた。



「アシュリー。お前はそれでいいのか?」

「ええ、もちろんです」


 そして私はちょっとした復讐をするために、お父様に婚約を解消するためのを整えてもらうことにした。私の事を忘れていたんだから、少しくらい虐めてもいいと思うんだよね。

 別に、市井で流行っている恋愛小説みたいに、公の場で婚約解消を大々的に発表することもしないし、身内だけで集まって伝えようと思っているのだが、必要ならロドニー様にお声をかけて証言してもらうこともアリかしらね。

 そう話して、証拠がしっかりと揃った頃合いにガーラント家にタウナー伯爵夫妻をお呼びして話をして、それからエドウィン様も参加して、そしてすべてを終わらせる。

 さすがに我が家に来たことがあるんだから、何か思い出したりする?それなら少しは見直すけど。ほんの少しね?だけど、思い出さなかったら面白いのになぁ。





 その日から数日後。

 さすが王太子殿下。さすがベイモント侯爵家。

 相手の令嬢のことはもちろん、エドウィン様との出会いから国境での事までが事細かに調べつくされている報告書が私の手元に届けられた。


「アシュリー、気の済むまでやってくるといい」

「はい。ありがとうございます」


 王太子殿下は楽しそうな笑みを浮かべたまま、ロドニー様にも話し合いの当日には、一緒に行くようにと命令をして、そのことが申し訳なく思いながらも、ごねたり、嘘を吐かれたりしたときには証言してもらおうと考えた。


 でも、未だにロドニー様のお顔をまともに見れないのですが、どうしましょう。




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

[完結]いらない子と思われていた令嬢は・・・・・・

青空一夏
恋愛
私は両親の目には映らない。それは妹が生まれてから、ずっとだ。弟が生まれてからは、もう私は存在しない。 婚約者は妹を選び、両親は当然のようにそれを喜ぶ。 「取られる方が悪いんじゃないの? 魅力がないほうが負け」 妹の言葉を肯定する家族達。 そうですか・・・・・・私は邪魔者ですよね、だから私はいなくなります。 ※以前投稿していたものを引き下げ、大幅に改稿したものになります。

夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。

Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。 そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。 そんな夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。 これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。 (1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)

断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた

兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。

婚約破棄されないまま正妃になってしまった令嬢

alunam
恋愛
 婚約破棄はされなかった……そんな必要は無かったから。 既に愛情の無くなった結婚をしても相手は王太子。困る事は無かったから……  愛されない正妃なぞ珍しくもない、愛される側妃がいるから……  そして寵愛を受けた側妃が世継ぎを産み、正妃の座に成り代わろうとするのも珍しい事ではない……それが今、この時に訪れただけ……    これは婚約破棄される事のなかった愛されない正妃。元・辺境伯爵シェリオン家令嬢『フィアル・シェリオン』の知らない所で、周りの奴等が勝手に王家の連中に「ざまぁ!」する話。 ※あらすじですらシリアスが保たない程度の内容、プロット消失からの練り直し試作品、荒唐無稽でもハッピーエンドならいいんじゃい!的なガバガバ設定 それでもよろしければご一読お願い致します。更によろしければ感想・アドバイスなんかも是非是非。全十三話+オマケ一話、一日二回更新でっす!

夫のかつての婚約者が現れて、離縁を求めて来ました──。

Nao*
恋愛
結婚し一年が経った頃……私、エリザベスの元を一人の女性が訪ねて来る。 彼女は夫ダミアンの元婚約者で、ミラージュと名乗った。 そして彼女は戸惑う私に対し、夫と別れるよう要求する。 この事を夫に話せば、彼女とはもう終わって居る……俺の妻はこの先もお前だけだと言ってくれるが、私の心は大きく乱れたままだった。 その後、この件で自身の身を案じた私は護衛を付ける事にするが……これによって夫と彼女、それぞれの思いを知る事となり──? (1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります)

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

(完結)貴方から解放してくださいー私はもう疲れました(全4話)

青空一夏
恋愛
私はローワン伯爵家の一人娘クララ。私には大好きな男性がいるの。それはイーサン・ドミニク。侯爵家の子息である彼と私は相思相愛だと信じていた。 だって、私のお誕生日には私の瞳色のジャボ(今のネクタイのようなもの)をして参加してくれて、別れ際にキスまでしてくれたから。 けれど、翌日「僕の手紙を君の親友ダーシィに渡してくれないか?」と、唐突に言われた。意味がわからない。愛されていると信じていたからだ。 「なぜですか?」 「うん、実のところ私が本当に愛しているのはダーシィなんだ」 イーサン様は私の心をかき乱す。なぜ、私はこれほどにふりまわすの? これは大好きな男性に心をかき乱された女性が悩んで・・・・・・結果、幸せになったお話しです。(元さやではない) 因果応報的ざまぁ。主人公がなにかを仕掛けるわけではありません。中世ヨーロッパ風世界で、現代的表現や機器がでてくるかもしれない異世界のお話しです。ご都合主義です。タグ修正、追加の可能性あり。

(完)そんなに妹が大事なの?と彼に言おうとしたら・・・

青空一夏
恋愛
デートのたびに、病弱な妹を優先する彼に文句を言おうとしたけれど・・・

処理中です...