【完結】婚約者に忘れられていた私

稲垣桜

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11 釣りあげるぞ!

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 この日、タウナー伯爵夫妻を屋敷へと招いた。

 証拠が揃って、どうやって呼び出そうかと考えていた頃、お父様がとある商会で偶然タウナー伯爵に会ったらしく、その時に「久しぶりだな。今度我が家でワイン好き同士で集まるんだ」と、ワイン好きのタウナー伯爵を釣り上げたのです。
 これは大漁の前兆になるのかもしれないと、すぐにエドウィン様の勤務シフトを調べてもらい、確実にを狙って伯爵夫妻に招待の手紙を心を込めて書きました。


 その時に『数種類手に入ったので、ぜひご家族で』という一文を書いておいたのですが、あの家は酒好きで有名な一族だから、皆一度にはずだとお父様がおっしゃるので、期待が膨らみましたわね。

 エドウィンの二人のお兄さんにも実情を知ってもらい、あの男の駄目さ度合いを知ってもらわないとと、思わず計画を立てることが楽しく、最近では一番燃えた瞬間かもしれません。
 ただ、エドウィン様の耳に私の事を話すと計画が狂ってしまうので、お父様が色々と策を練って『驚かせたいから二人には内緒にしましょう』なんて言ったようです。


 そしてお父様やお母様にどんな風に話を進めるかをあらかじめ考え、せっかくの場なので、美味しいワインの1本くらいは飲んでもらおうかと思った。うん。思っただけですよ。




 今回の『ワイン会』は私は最初から仕事という事を伝えてあるので、二階の端の窓からタウナー伯爵家の馬車が到着するのを隠れて見ていました。
 顔は見えないけど足元は見えたので、男性が四人。そして女性が一人確認できましたわ。


「タウナー伯爵夫妻と、三兄弟で間違いないだろうな」

「そうですね。無事に進められそうで安心しました」


 私は一緒に来てくれたロドニー様と彼らの姿を確認して、そう話しました。

 ロドニー様はなんだか楽しそうな顔をして、始終笑顔を浮かべています。まあ、私も少し面白くなるだろうと思っていますが、一番の楽しみは婚約解消の書類を受け取ってすぐに王宮に帰って提出する瞬間なのです。

 殿下も速やかに受け付けることを約束してくれましたし、さっさと終わらせて帰れるものならすぐにでも帰りたいですね。

 そうですわ。ロドニー様もいらっしゃるのだから、やはり帰る一択しかないですわね。


 ふと隣に立つロドニー様を見上げると、ロドニー様も私の方を見ていて視線が合いましたわ。

 

 いや……夜会でのこと…思い出しちゃった。



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