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「若奥様。ご当主夫妻が戻られるそうですよ」
マーサが部屋でくつろいで長椅子に横になっているリディアに声をかけた。
マックスと私の結婚式が終わってから、お二人の息子のリオも連れて領地へと行っていた義両親がようやく帰ってくる。
領地経営のこともあったけれど、ラブラブの二人なのでさぞかし楽しんで来たのだろう。
公爵家に住むようになって五カ月が過ぎたけど、その間に義両親に会うのは何回目かしら?もうそんなレベルだ。
お義父様はマックスが年齢を重ねたらこんな感じだろうという容姿なのだが、その美貌は世の奥様方からも人気が高く後妻の座を狙う人が多かったとか。
確かにまだ30代に見間違えるほど若々しく、お義父様に捕まったお義母様とは並んでもちゃんと夫婦に見える。
そう、夫婦に見えるというのはお二人が再婚だからだ。
お義母はマックスの姉のマリエラ様のご友人で、10年前に奥様を亡くされて独り身だった公爵様からの猛アタックの末に再婚され、とても仲睦まじい(見ていて恥ずかしいほどの)ご夫婦なのよね。
公爵家の古参の侍女にも聞いたけど、結婚の報告があるまでお付き合いをしていたことを誰も知らなかったそうだ。まあ娘の友人ともなるとあまり大っぴらにしたくない気持ちもわかる。
お二人が結婚した翌年には息子のリオ君が生まれ、さらに仲良さに拍車がかかっているとのこと。正直、私が見てもそう思う。私とマックスよりも新婚感満載の気がするのよね。
そのお義母様は、緩いウェーブがかかった明るいブラウンの髪に澄んだグリーンの瞳が綺麗な、心を持っていかれそうなほどの笑顔を浮かべるとても可愛らしい方で「ああ、これならお義父様も落ちるはずだわ」というのが私の第一心象。
お義姉様はお義母様とは系統が違うというか、どちらかというと少々キツ目な印象があるが怜悧な美貌とその優秀な頭脳で人気がある方で、社交界では正反対の容姿をもつ二人の姿は、世の令息達の羨望の的となっていたらしい。なんでも、隠れファンクラブなるものも存在していたようで、結婚が決まった時には社交界がしばらく暗かったとか。
かくいう私もお義母様にはとても好意を抱いている。マックスとの(契約)結婚が決まったときも、実の母かと思うほど涙を流して喜んでくれたのだ。まあ、それはマックスがなかなか結婚しなかったからなのだろう。
息子にも自分たちのように愛する人と幸せになってほしいと考えているのだろうが、こればっかりは相手が私でごめんなさいとしか言えない…
そしてこの日、領地へと視察を兼ねて旅行へ出掛けていた義両親が戻るという連絡を受け、出迎える準備に本館へと出向いた。
留守の間は気を使う必要もなかったけれど、これからは離れに住んでいるとはいえ本館はすぐ隣なのだから、下手なことはできない。色々と気を使わなければ。
本館の侍女頭に出迎える準備を万全にするように伝え、到着する日の予定を立てる。疲れているだろうから、戻った日は特にすることはないだろうが、翌日にはお茶に誘われる可能性が高い。
義母からは友人みたいに接してねと言われているが、流石にそういう訳にも…と、ある種、悩みの種になりつつある。
マーサが部屋でくつろいで長椅子に横になっているリディアに声をかけた。
マックスと私の結婚式が終わってから、お二人の息子のリオも連れて領地へと行っていた義両親がようやく帰ってくる。
領地経営のこともあったけれど、ラブラブの二人なのでさぞかし楽しんで来たのだろう。
公爵家に住むようになって五カ月が過ぎたけど、その間に義両親に会うのは何回目かしら?もうそんなレベルだ。
お義父様はマックスが年齢を重ねたらこんな感じだろうという容姿なのだが、その美貌は世の奥様方からも人気が高く後妻の座を狙う人が多かったとか。
確かにまだ30代に見間違えるほど若々しく、お義父様に捕まったお義母様とは並んでもちゃんと夫婦に見える。
そう、夫婦に見えるというのはお二人が再婚だからだ。
お義母はマックスの姉のマリエラ様のご友人で、10年前に奥様を亡くされて独り身だった公爵様からの猛アタックの末に再婚され、とても仲睦まじい(見ていて恥ずかしいほどの)ご夫婦なのよね。
公爵家の古参の侍女にも聞いたけど、結婚の報告があるまでお付き合いをしていたことを誰も知らなかったそうだ。まあ娘の友人ともなるとあまり大っぴらにしたくない気持ちもわかる。
お二人が結婚した翌年には息子のリオ君が生まれ、さらに仲良さに拍車がかかっているとのこと。正直、私が見てもそう思う。私とマックスよりも新婚感満載の気がするのよね。
そのお義母様は、緩いウェーブがかかった明るいブラウンの髪に澄んだグリーンの瞳が綺麗な、心を持っていかれそうなほどの笑顔を浮かべるとても可愛らしい方で「ああ、これならお義父様も落ちるはずだわ」というのが私の第一心象。
お義姉様はお義母様とは系統が違うというか、どちらかというと少々キツ目な印象があるが怜悧な美貌とその優秀な頭脳で人気がある方で、社交界では正反対の容姿をもつ二人の姿は、世の令息達の羨望の的となっていたらしい。なんでも、隠れファンクラブなるものも存在していたようで、結婚が決まった時には社交界がしばらく暗かったとか。
かくいう私もお義母様にはとても好意を抱いている。マックスとの(契約)結婚が決まったときも、実の母かと思うほど涙を流して喜んでくれたのだ。まあ、それはマックスがなかなか結婚しなかったからなのだろう。
息子にも自分たちのように愛する人と幸せになってほしいと考えているのだろうが、こればっかりは相手が私でごめんなさいとしか言えない…
そしてこの日、領地へと視察を兼ねて旅行へ出掛けていた義両親が戻るという連絡を受け、出迎える準備に本館へと出向いた。
留守の間は気を使う必要もなかったけれど、これからは離れに住んでいるとはいえ本館はすぐ隣なのだから、下手なことはできない。色々と気を使わなければ。
本館の侍女頭に出迎える準備を万全にするように伝え、到着する日の予定を立てる。疲れているだろうから、戻った日は特にすることはないだろうが、翌日にはお茶に誘われる可能性が高い。
義母からは友人みたいに接してねと言われているが、流石にそういう訳にも…と、ある種、悩みの種になりつつある。
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