12 / 32
ミト_02
2.暴行の手当て
しおりを挟む
夜凍はミトの血塗れになったTシャツとズボンを脱がせる。それから仰向けに寝かせたミトの全身を丁寧に確認した。
ミトの目に流れ込んだ血を拭う夜凍。
「ちょっとまぶしいぞ」
そう断って、夜凍はペンライトでミトの瞳孔反応を確認する。
「……問題なさそうだな」
それから夜凍はミトの頭や顔に触れた。切れている場所、こぶになっている場所。夜凍が鼻の近くを軽押すと、ミトがぎゅっと顔をしかめた。
「鼻骨が心配だな……。後でレントゲンだ」
次に夜凍はミトの腹部を確認した。赤くなっているところ、青くなっているところ。腹部を慎重に押していくと、あるところでミトが小さくうめき声を上げた。
「……ちょっと待っていろ」
小さく舌打ちをした夜凍が立ち上がり、超音波検査機を押してくる。
「吐き気や目まいはないか?」
「……大丈夫です」
「殴られたり蹴られたりした直後みたいな、酷い痛みは?」
「……そこまではないです」
ミトにたずねながら、夜凍はミトの腹部にプロープを当てた。冷たいジェルが腹の上に広がっていく感触に、ミトが小さく身体を震わせる。
その様子を見た夜凍がチラリとミトを見て言った。
「安心しろ、あいつはもう追い出された」
「……はい」
夜凍はしばらくの間、プロープの角度を変えたり、超音波の波長を変えたりしながら慎重にミトの腹部を確認していた。やがて一通り確認が済んだのか、検査機を片付ける。
「内臓も問題はなさそうだ。経過観察は必要だが、とりあえずは大丈夫だろう」
それから夜凍はミトの手足にも順に触れていった。特に腕には、反射的に頭や顔を庇ったせいか、アザや擦り傷だけでなく、いくつかの裂傷もできていた。傷の近くに触れると、ミトは痛がる様子を見せたが、骨や関節に問題がある様子ではなさそうだった。
最後に夜凍はミトを横向きにさせて、背中を確認する。ミトの背中には、ベルトで打たれ、赤黒く腫れ上がった後がいくつもあった。
「こっちもひどいな……後で冷やしておこう」
一通りの確認を終えると、夜凍はワゴンから消毒液とガーゼを取り出した。
「あとは外傷の処置だ。痛むが我慢しろ」
ミトの顔の傷口を消毒液で拭う。切れた唇、まぶたの裂傷。その度にミトは顔を歪める。
「っ……」
「動くな」
夜凍は淡々と処置を続ける。
額の裂傷と、腕の裂傷のうち一つは、縫合が必要だった。
針が皮膚を貫く痛みにミトは歯を食いしばる。
ミトの身体についた傷が、絆創膏や包帯で覆われていく。
全ての処置が終わると、夜凍はミトに医療用ガウンを着せかけた。
「あとはレントゲンを撮ったら、終わりだ。その後は病室で休め。明日、全身スキャンをする」
「……はい」
かすれた声で答えるミト。
夜凍がミトの頭に手を置く。
「……よく耐えた」
その言葉に、ミトは再び涙を流した。それは、安堵の涙だった。
ミトの目に流れ込んだ血を拭う夜凍。
「ちょっとまぶしいぞ」
そう断って、夜凍はペンライトでミトの瞳孔反応を確認する。
「……問題なさそうだな」
それから夜凍はミトの頭や顔に触れた。切れている場所、こぶになっている場所。夜凍が鼻の近くを軽押すと、ミトがぎゅっと顔をしかめた。
「鼻骨が心配だな……。後でレントゲンだ」
次に夜凍はミトの腹部を確認した。赤くなっているところ、青くなっているところ。腹部を慎重に押していくと、あるところでミトが小さくうめき声を上げた。
「……ちょっと待っていろ」
小さく舌打ちをした夜凍が立ち上がり、超音波検査機を押してくる。
「吐き気や目まいはないか?」
「……大丈夫です」
「殴られたり蹴られたりした直後みたいな、酷い痛みは?」
「……そこまではないです」
ミトにたずねながら、夜凍はミトの腹部にプロープを当てた。冷たいジェルが腹の上に広がっていく感触に、ミトが小さく身体を震わせる。
その様子を見た夜凍がチラリとミトを見て言った。
「安心しろ、あいつはもう追い出された」
「……はい」
夜凍はしばらくの間、プロープの角度を変えたり、超音波の波長を変えたりしながら慎重にミトの腹部を確認していた。やがて一通り確認が済んだのか、検査機を片付ける。
「内臓も問題はなさそうだ。経過観察は必要だが、とりあえずは大丈夫だろう」
それから夜凍はミトの手足にも順に触れていった。特に腕には、反射的に頭や顔を庇ったせいか、アザや擦り傷だけでなく、いくつかの裂傷もできていた。傷の近くに触れると、ミトは痛がる様子を見せたが、骨や関節に問題がある様子ではなさそうだった。
最後に夜凍はミトを横向きにさせて、背中を確認する。ミトの背中には、ベルトで打たれ、赤黒く腫れ上がった後がいくつもあった。
「こっちもひどいな……後で冷やしておこう」
一通りの確認を終えると、夜凍はワゴンから消毒液とガーゼを取り出した。
「あとは外傷の処置だ。痛むが我慢しろ」
ミトの顔の傷口を消毒液で拭う。切れた唇、まぶたの裂傷。その度にミトは顔を歪める。
「っ……」
「動くな」
夜凍は淡々と処置を続ける。
額の裂傷と、腕の裂傷のうち一つは、縫合が必要だった。
針が皮膚を貫く痛みにミトは歯を食いしばる。
ミトの身体についた傷が、絆創膏や包帯で覆われていく。
全ての処置が終わると、夜凍はミトに医療用ガウンを着せかけた。
「あとはレントゲンを撮ったら、終わりだ。その後は病室で休め。明日、全身スキャンをする」
「……はい」
かすれた声で答えるミト。
夜凍がミトの頭に手を置く。
「……よく耐えた」
その言葉に、ミトは再び涙を流した。それは、安堵の涙だった。
0
あなたにおすすめの小説
守り守られ
ほたる
BL
主治医 望月診療所の双子医師
患者 瀬咲朔
腸疾患・排泄障害・下肢不自由
看護師
ベテラン山添さん
準主人公 成海真幌 腸疾患・排泄障害・てんかん
木島 尚久 真幌の恋人同棲中
ふたなり治験棟 企画12月31公開
ほたる
BL
ふたなりとして生を受けた柊は、16歳の年に国の義務により、ふたなり治験棟に入所する事になる。
男として育ってきた為、子供を孕み産むふたなりに成り下がりたくないと抗うが…?!
月弥総合病院
僕君・御月様
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
朔の生きる道
ほたる
BL
ヤンキーくんは排泄障害より
主人公は瀬咲 朔。
おなじみの排泄障害や腸疾患にプラスして、四肢障害やてんかん等の疾病を患っている。
特別支援学校 中等部で共に学ぶユニークな仲間たちとの青春と医療ケアのお話。
俺以外美形なバンドメンバー、なぜか全員俺のことが好き
toki
BL
美形揃いのバンドメンバーの中で唯一平凡な主人公・神崎。しかし突然メンバー全員から告白されてしまった!
※美形×平凡、総受けものです。激重美形バンドマン3人に平凡くんが愛されまくるお話。
pixiv/ムーンライトノベルズでも同タイトルで投稿しています。
もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿
感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_
Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109
素敵な表紙お借りしました!
https://www.pixiv.net/artworks/100148872
双葉病院小児病棟
moa
キャラ文芸
ここは双葉病院小児病棟。
病気と闘う子供たち、その病気を治すお医者さんたちの物語。
この双葉病院小児病棟には重い病気から身近な病気、たくさんの幅広い病気の子供たちが入院してきます。
すぐに治って退院していく子もいればそうでない子もいる。
メンタル面のケアも大事になってくる。
当病院は親の付き添いありでの入院は禁止とされています。
親がいると子供たちは甘えてしまうため、あえて離して治療するという方針。
【集中して治療をして早く治す】
それがこの病院のモットーです。
※この物語はフィクションです。
実際の病院、治療とは異なることもあると思いますが暖かい目で見ていただけると幸いです。
冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される
マンスーン
BL
王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。
泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる