溺れる人形

黒羽オウリ

文字の大きさ
6 / 19

その3

しおりを挟む
 胎のナカに熱い飛沫を吐き出し、ヴェルタのモノが抜け出ていく。快楽という責め苦から解放され、カマルは大きく息をついた。叫びっぱなしの喉がかすれ、コホコホと乾いた咳が零れる。
「……」
 一度、カマルから身体を離したヴェルタが、ベッドサイドの水差しからコップに水をそそぎ、それを飲んでいる。コップの中で揺れる水に、カマルの喉が無意識に上下した。
 その様子にふっと笑うヴェルタ。そしてヴェルタは水を口に含むと、ソファに戻ってきてカマルに口づけた。重ねられた口から流れ込んでくる水。少しぬるくなったそれにカマルが眉を寄せていると、ヴェルタは言った。
「飲め」
 カマルはそれを仕方なく飲み下す。求めていた水の感触に、身体が歓喜を覚える。しかし同時に、ヴェルタに与えられたものを受け入れるしかない状況に、心が痛んだ。目を伏せるカマル。そんなカマルを見下ろし、ヴェルタが言う。
「まだナカではイケなかったか……」
 勃ち上がったままのカマル自身。熱を与えられるだけ与えられたまま、果てることもできず、生殺しのまま震える象徴。それがヴェルタの目に晒されている。
「このままでは可哀想だな」
 ヴェルタはそう言ったが、真に同情したわけなどあるはずもない。ヴェルタが、恥辱と疲労にグッタリとしているカマルの中心に手を触れた。
「っ……」
 敏感な部分を緩く握られ、カマルの身体が強ばる。
「一度イカせてやろう」
 ヴェルタはそのまま激しく手を上下させた。カマルとて健康な男性だ。己の手で自身を慰めたことがないわけではない。だが、そういうときには優しく扱うものだと教わっていたし、自身にとってちょうどいい刺激になるよう調整できる。しかし今は違った。決して強い力ではないものの、竿を激しく掻かれ、息つく間もなく追い上げられていく。
「ぅ……あっ、ああっ」
 裏筋を掻かれ、カリ首の段差をなぞられ、最も敏感な先端を手のひらでグリグリと擦られる。カマルは、こみ上げるものをどうにかこらえようとした。上手く動かない首を振り、少しでも快楽を逃がそうとする。しかしそんな抵抗は、風に飛ばされる塵のようなものだ。あっという間に追い詰められ、カマルの先端から勢いよく白濁が放たれた。己の放ったものが腹から胸までも汚す。
「はは、だいぶ溜まっていたようだな」
 嗤うヴェルタ。溜まっていたのは事実だ。実際に戦争が始まってから今日まで、性的なことに気持ちを向ける余裕などなかったのだから。とはいえ、まさか虜囚として敵の手に墜ち、挙げ句に無理矢理射精させられるとは思ってもいなかった。果てた後の脱力感だけでなく、想像を超えた屈辱にカマルは胸を喘がせる。
「はぁ……っあ、はあ……」
 そんなカマルを見下ろしていたヴェルタが唇の端をつり上げた。
「その表情、なかなかそそるな……」
 そうしてヴェルタは、再びカマル自身を擦りはじめた。達したばかりで敏感になっている場所をさらに責められ、カマルの背中が反る。
「あっ、まっ……うぅっ」
 カマルの先端から零れた白濁を塗り込むように竿を擦り上げられ、くちゅくちゅと湿った音が立った。無理矢理に与えられる、強すぎる快感。一度は萎えかけていた自身が、あっという間に芯をもち、勃ちあがる。竿を掻かれ、先端を擦られ、暴力のような快感がつらくて、やめてほしいと思う一方で、欲を吐き出してしまいたいという欲求がせり上がってくる。
「うっ……うあっ……」
 もう出る……。そう思ったときだ、不意にヴェルタの手と身体がカマルから離れた。
「ぇ……ぁっ……」
 ギリギリのところで、いきなり放り出され、カマルは見開いた目を泳がせる。
「あ……っふ」
 身体が動かなくてよかったと、カマルは思った。もしも身体が自由だったら、きっと無意識に己を擦りたてて慰めていただろう。しかし身体の中では熱が解放を求めて暴れている。カマルの目が、思わず縋るようにヴェルタを見た。しかしヴェルタは、これ見よがしにゆっくりと水を飲んでいる。
「ん? なんだ?」
 わざとらしくたずねるヴェルタ。カマルはゆるく首をふる。どうにもできない熱を抱え、唇を噛むカマルをよそに、ヴェルタはゆったりと一休みをする。そうしてしばらくすると、ようやく、もう一度カマルに覆いかぶさってきた。
「……」
 屈辱と、この熱を解放してもらえるという期待に目を伏せるカマル。ヴェルタの骨張った大きな手がカマル自身にかかる。そうして再び与えられる刺激。
「っああああ……」
 強く擦り上げられ、カマルの口から堪えきれぬ嬌声が上がった。腰が跳ね、息があがる。少しだけ収まりかけていた熱が再び燃え上がり、解放に向かって走り出す。
 しかし……。
「ぁ……っ……ぅく」
 もう少しで達する。そう思った瞬間、ヴェルタの手は無情にも離れていってしまった。動揺に瞳を揺らすカマルの視線の先でヴェルタが残忍に笑う。そうしてカマルは、ヴェルタの意図をようやく理解した。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

敗戦国の王子を犯して拐う

月歌(ツキウタ)
BL
祖国の王に家族を殺された男は一人隣国に逃れた。時が満ち、男は隣国の兵となり祖国に攻め込む。そして男は陥落した城に辿り着く。

灰かぶりの少年

うどん
BL
大きなお屋敷に仕える一人の少年。 とても美しい美貌の持ち主だが忌み嫌われ毎日被虐的な扱いをされるのであった・・・。

魔王に飼われる勇者

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 敵の屋敷に攻め込んだ勇者が逆に捕まって淫紋を刻まれて飼われる話です。

月弥総合病院

御月様(旧名 僕君☽☽‪︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。 また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。 (小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!

朔望大学医学部付属病院/ White Dictator

御月様(旧名 僕君☽☽‪︎)
キャラ文芸
White Dictator______通称:『白衣の独裁者』 <ホワイト・ディクテイター> ⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯ 圧倒的な「実力」と「技術」で捩じ伏せ・現場を支配する凄腕たち。 ___ ごく僅かな一瞬の隙も逃さない神手の集まり。

お兄ちゃんができた!!

くものらくえん
BL
ある日お兄ちゃんができた悠は、そのかっこよさに胸を撃ち抜かれた。 お兄ちゃんは律といい、悠を過剰にかわいがる。 「悠くんはえらい子だね。」 「よしよ〜し。悠くん、いい子いい子♡」 「ふふ、かわいいね。」 律のお兄ちゃんな甘さに逃げたり、逃げられなかったりするあまあま義兄弟ラブコメ♡ 「お兄ちゃん以外、見ないでね…♡」 ヤンデレ一途兄 律×人見知り純粋弟 悠の純愛ヤンデレラブ。

完成した犬は新たな地獄が待つ飼育部屋へと連れ戻される

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

処理中です...