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01.異世界転生したわよ!
しおりを挟む異世界転生したのよ。
どっか……えーっと、フォスター王国ってところにある侯爵家の長女。
私、今、三歳……いいえ、まだ二歳。来月、年が明ければ三歳になるわ。
よくある木登りからの頭落ちをして、一週間寝込んだ末に、トラックにひかれた事と物語を思い出しちゃった感じね。
物語……多分、ゲームだったと思う。
元ネタは知らないけど、私が覚えているのはゲームってこと。
そのゲームに出てくる国の名前と登場人物の名前が何人か一致しているだけだから、本当にそのゲームの中に転生したか確認するにはもう少し時が必要。
でも今のところカタイと踏んでいるわ。
私が悪役令嬢で、妹が主役―――ヒロインよ。
ゲームの名前は割愛するわ。知ってもあまり意味がないでしょ。
あ、覚えてないわけじゃないわよ。一応言っておくけど。
物語の始まりは、ヒロインが生まれるところから。
で、今のところゲームのオープニングと、私の状況がほぼ一致しているわ。
私目線からの話になるけど、一週間前、私はお兄様たちを探していたの。
三つ上の兄は王都にある幼年学校に通っていて、久しぶりに領地へ帰って来ていたの。年の近い子供なんて見ることがなくて嬉しかったし、お友達って言う男の子たちも来ていて、いつも一人だったから一緒に遊びたかったのよ。
だって子供だもの。そう言うものでしょう?
でも、その日もすぐに見失ってしまって、彼らを探すために木の根っこの部分に登ったの。
まだ二歳だから、そんなに高いところじゃなかったけど、子供って頭の方が重いのね。
バランスを崩して、頭から落ちちゃった……。
運の悪い事にちょうど、お母様がヒロインである妹を出産するあたりだったの。
私が木から落ちたと聞いて、びっくりしたお母様が産気づいちゃった。
で、早産な上、ちょっと時間が長くかかってしまって危険な状態になって。産婆さんが覚悟してくださいって言うんだけど、もう駄目だっていうその時光が満ちてお母様も大事なく、妹も無事生まれたの。
奇蹟だって産婆さんが言って、それが実は妹が愛し子で、精霊様のお陰だったっていうのが物語の始まり。
目覚めてすぐ、妹が生まれたことを聞いて、頭の中に素敵なお姉さんのナレーションが流れたわ。
ついでみたいに私のことも語られるんだけど、"麗しい愛し子の誕生と共に、母と妹を危険にあわせた上、妹をいじめ虐げる意地悪な姉も誕生"って。
まぁ、妹が愛し子だとか全然知らないでいじめて、最後にはざまぁされる悪役令嬢としてはそんな紹介がいいところよね……。
でもね。私思ったの。姉には姉の言い分があるって。
だってね、目覚めた後のお小言といったら!
お父様を始め、お兄様におじい様、おばあ様、伯父様、執事と侍女頭、それから庭師のおじさんにまで。
もともとあまり構われることがなかったのに、急にみんなして怒るし叩くんだもの。
びっくりしたわ。
だってまだ二歳よ。
記憶が戻ってなかったら何を言われてるかも分からなかったし、絶対、引きこもりかぐれていたと思うくらいひどかったわ。前世ならきっと通報してた!
ゲームじゃ、思いっきりひねくれちゃってたわね。そう言えば。
まあ、愛されているゆえのお説教だったんでしょうけど、怪我して目覚めたての子にすることじゃあないわね。
その上、その後はまた放置だったの。
フォローは全くなしよ。
大人たちの代わりに言い訳をすれば、お兄様の時は手とり足とり愛情込めて教育していたみたいなんだけど、お兄様って良くできた子だったみたいなのよね。神童って言うのか一言言えば十を知るって言うの? そんなだったから、子供はほっといても育つもんだって思ったらしく、私は放置だったみたい。
一応乳母はいたけど、妹が産まれるってことで半年前にお母様の側へ異動になったのよね。
それからは朝晩のお世話はしてもらっていたけどそれ以外は自由。
私からしたら、極端すぎると思うけど……放置でもそこそこは育ってたから、良いのかしら?
で、妹が生まれたわけじゃない。
まだ赤ちゃんでちょっと未熟だったから、お母様も侍女たちも、家中が妹にかかりきりになるのは当たり前なんだけど、ねぇ。
怪我して一週間寝てて、起きたら急に怒られて叩かれて、なのに妹はすごく大事にされていたら、記憶持ちでも疎外感で辛いのよ?
自分がそんな風にされた記憶もないし、情緒も育っていない子供がおかしくなるのって、しょうがないわよね。
ゲームでは大人の気を引こうと一生懸命妹を苛めてたってことになっていたけど、記憶がある今ではそんな面倒なことしないわよね。
親の愛は前世で十分貰ったし、これだけ放置してる親たちに今更愛をくださいって感じでもないし。
もう最初から他人みたいなものよ。
隣の家のおじさんたちって感じ。
だから、それなりに必要最小限のことをしてくれれば、それ以上はかえって申し訳なくなるからいらないなって。
今まで通り自由にしているのが一番楽しいのかもしれないって思ったの。
まぁ、そう思えるのも、記憶が戻ると同時にステータスが見られるようになったのも大きいかもしれないわね。
あれよあれ、ステータスオープン、って奴。
異世界転生したら、やってみたいことNO.1じゃない?
早速やったわ!
何も起きなかったらカッコ悪いと思ったから、夜皆が寝静まった頃、タンスの中に入ってこっそり言ったら出たのよ。あの画面が!
感動したわ。
でも、同じくらいがっかりしたわ。
職業欄がすでに、悪役令嬢だったんだもの。
二歳で悪役令嬢ってひどくない?
まだ悪が何かも分かってないのに。
妹いじめだって、あれは悪じゃないでしょう。親が悪い。親こそ悪よ。
でも、その下のステータスは気にいったの。
全属性Maxに、空間収納、空間移動、鑑定などなど、前世の私が知る殆どすべての魔法が最初から使える仕様になっていたのよ。
体力とか、魔力は少なかったけど、それは二歳だもの仕方がないわよね。
二歳で体力も魔力もMaxなんてそれこそ危ないわ。
体壊しちゃうもの。
せっかくだからとりあえずちょっと魔法を使ってみたの。
火の魔法よ。
ファイア! って言ってみたら、手から何か出たわ。
魔力が少ないせいかカスッて感じで、超しょぼい何かしか出なかった。
ううん。何か出たから良いのよね。
きっと練習が必要なのか、成長が必要なのよ。
ちょっと分からないけど、これは要チェック。
それから妹の誕生に力を貸したっていう精霊たちも見えるようになったの。
あっちは見られていることに気が付いていないみたいだったから、見えないふりしてるけど。
そうそう、あの子たちったら、私に意地悪するの!
私が歩いているところに水をまいたり、わざとバラに刺をはやしたり、取ろうと思った物を少し先に動かしたり、怪我とかはないけど、地味に削られる感じの嫌がらせを重ねてくるの。面白いでしょ?
そっかー、精霊はこうやって意地悪するんだって、勉強になったわ。
でもよくよく観察していると、あの子たち妹にとって必要な人には意地悪しないのよね。
そう、私以外には……
きっとゲームの私は精霊が見えない仕様だったから、地味なこの意地悪が自分の運の悪さだと思ったのね。
その憤りもあったんだと思うわ。
"私"が妹を苛めたのは……
妹とは何もかも違うもの。
まぁ、確かに、ゲームの中でなら、この家であの子の邪魔になるのって、私くらいだものね。
最初から排除の方向に動いてもしょうがないわ。
でも、すこし哀れに思ったのよ。
全部に恵まれた妹でも、本当のヒロインにするには精霊たちも頑張らなきゃならなのかと……
―――作者より―――
読んでくださりありがとうございます。
このやってられないを放置ですが、連載です。
なんか書き方忘れちゃって……ちょっとリハビリ。
一応テンプレ(?)です。
多分50話前後で、話数決定したらあらすじに追記します。
一日一話投稿予定。
ファンタジー大賞は記念エントリー。
多分いろいろ突っ込みどころありますが、
最後までよろしくお願いします。
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