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「そうか、知らなかったのか」
カークが両手で頭を抱えた。
「カーラは何も教えて行かなかったのか?」
「あまり父のことは聞いたことなかった、と思う」
「そうだな。あの契約は秘匿事項が多すぎる。もしかしたらカーラも内容は正確に知らなかったのかもしれない」
「どう言うこと?」
「オンリンナ家が異世界転生者の血統と言うことは、王家と契約した転生者以外には秘密とされている。カーラが結婚した時、まだカーラは目覚めていなかった。王家とオンリンナ家の関係を知らなかったと思う。そして、当主の席も空だったから、契約の内容は王家が決めたんだ。そうなると、正確に契約内容を知っていたのは王家と、侯爵だけだ」
カークが、また一人で納得している。
「私は契約を知っていたから、何故侯爵が、妻子と共にオンリンナ家に入れたのか不思議だった。侯爵への契約の中に、婚姻期間に実子並びに養子を得てはならないとあったから。君たちが契約内容を知らなかったせいで、侯爵は簡単にオンリンナ家に戻ってこられたんだな」
「それって、キーラが受け入れたから、帰ってきたってこと?」
「そう言うことになる。」
なんか、頭が痛くなってきた。
「話が大分それてしまった。とにかく、侯爵に子供がいれば契約不履行ですぐ切ることが出来た。だが、初めに調べた時からずっと、侯爵には愛人やそれに類する女性の影も、もちろん子供もいなかった」
「隠していたとか」
「それはない。父が侯爵に直接会って、人となりを見ている。商人らしい野心、少し軽いところがあるが、根は正直者で小心者だとの見解だった。引き続きの調査でも、悪いところは出てこなかったし、評判も上々だった」
「一応、いい人だったのね。じゃあ、どっから義母とリーナが出てきたの?」
「それが分からない。調査中、としか言えない」
カークが肩をすくめた。
「カーラが亡くなるちょっと前の調査でも侯爵の周りはきれいだったから、見逃してしまったのだろう。カーラが亡くなったあたりは、少し政情も荒れていて、体勢を整え直している最中だった。ようやく安定したときに、侯爵が妻と養女を迎え、オンリンナ家に入り込んだと連絡がきた」
「入り込んだって」
「そうだろう? 本来なら、侯爵に妻と子供が出来たこと、カーラが亡くなったこと、どちらも契約終了だった。それを知らせず押しかけた上、君を屋根裏部屋に押し込んだんだろう? あげくにご飯も時々だし、定食屋で働かせて!」
……一体、どこまで知っているんだろう。
やっぱりストーカー、絶対少し入っている、と思う。
「その話はいいです。次に行ってください」
「あぁ、すまない。……カーラが亡くなった時点で、王家が介入することもできたが。急に今まで影も形も無かったはずのリーナと言う女が現れたことで、予言に信憑性が出てきてしまった。だが、君は目覚めず、侯爵やリーナの目的もはっきりしなかったから、予言に乗ってみることにしたんだ」
「それは、予言通りの行動をする、と言うことですか?」
「そうだ。予言に名のある者はもともと私の側近になる予定だったから、始めるのは簡単だった。予言を知らない彼らとリーナの関係が予言通りに動くのかを確かめようと思ったのだ」
「それで、キーラを助けなかったんですか」
まぁ、納得できるような、出来ないような。
カークが、ため息をつく。
「私だって、すぐに君を助けたかった。だが、これから何があるのか分からないままにしておけない。だから耐えた。本当は、デリックが君を殴った瞬間、あいつを殺したかったのに」
カークが両手で頭を抱えた。
「カーラは何も教えて行かなかったのか?」
「あまり父のことは聞いたことなかった、と思う」
「そうだな。あの契約は秘匿事項が多すぎる。もしかしたらカーラも内容は正確に知らなかったのかもしれない」
「どう言うこと?」
「オンリンナ家が異世界転生者の血統と言うことは、王家と契約した転生者以外には秘密とされている。カーラが結婚した時、まだカーラは目覚めていなかった。王家とオンリンナ家の関係を知らなかったと思う。そして、当主の席も空だったから、契約の内容は王家が決めたんだ。そうなると、正確に契約内容を知っていたのは王家と、侯爵だけだ」
カークが、また一人で納得している。
「私は契約を知っていたから、何故侯爵が、妻子と共にオンリンナ家に入れたのか不思議だった。侯爵への契約の中に、婚姻期間に実子並びに養子を得てはならないとあったから。君たちが契約内容を知らなかったせいで、侯爵は簡単にオンリンナ家に戻ってこられたんだな」
「それって、キーラが受け入れたから、帰ってきたってこと?」
「そう言うことになる。」
なんか、頭が痛くなってきた。
「話が大分それてしまった。とにかく、侯爵に子供がいれば契約不履行ですぐ切ることが出来た。だが、初めに調べた時からずっと、侯爵には愛人やそれに類する女性の影も、もちろん子供もいなかった」
「隠していたとか」
「それはない。父が侯爵に直接会って、人となりを見ている。商人らしい野心、少し軽いところがあるが、根は正直者で小心者だとの見解だった。引き続きの調査でも、悪いところは出てこなかったし、評判も上々だった」
「一応、いい人だったのね。じゃあ、どっから義母とリーナが出てきたの?」
「それが分からない。調査中、としか言えない」
カークが肩をすくめた。
「カーラが亡くなるちょっと前の調査でも侯爵の周りはきれいだったから、見逃してしまったのだろう。カーラが亡くなったあたりは、少し政情も荒れていて、体勢を整え直している最中だった。ようやく安定したときに、侯爵が妻と養女を迎え、オンリンナ家に入り込んだと連絡がきた」
「入り込んだって」
「そうだろう? 本来なら、侯爵に妻と子供が出来たこと、カーラが亡くなったこと、どちらも契約終了だった。それを知らせず押しかけた上、君を屋根裏部屋に押し込んだんだろう? あげくにご飯も時々だし、定食屋で働かせて!」
……一体、どこまで知っているんだろう。
やっぱりストーカー、絶対少し入っている、と思う。
「その話はいいです。次に行ってください」
「あぁ、すまない。……カーラが亡くなった時点で、王家が介入することもできたが。急に今まで影も形も無かったはずのリーナと言う女が現れたことで、予言に信憑性が出てきてしまった。だが、君は目覚めず、侯爵やリーナの目的もはっきりしなかったから、予言に乗ってみることにしたんだ」
「それは、予言通りの行動をする、と言うことですか?」
「そうだ。予言に名のある者はもともと私の側近になる予定だったから、始めるのは簡単だった。予言を知らない彼らとリーナの関係が予言通りに動くのかを確かめようと思ったのだ」
「それで、キーラを助けなかったんですか」
まぁ、納得できるような、出来ないような。
カークが、ため息をつく。
「私だって、すぐに君を助けたかった。だが、これから何があるのか分からないままにしておけない。だから耐えた。本当は、デリックが君を殴った瞬間、あいつを殺したかったのに」
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