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第10話 模倣(コピー)で得た能力を試す。
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俺たちは森から出て、草原地帯に戻った。
「エルフリーデの最初の課題は、魔力のコントロールだな。魔法の威力が強いのは良いが、味方にまで被害が及ぶとマズイ。俺と一緒にしっかりと訓練しよう」
「了解。師匠に従う」
エルフリーデが素直に頷く。
「ルイズとフローラは、あとで俺と軽く試合をしよう」
いわば模擬戦だ。お互い本気ではなく、加減して闘う。
これをすると実践的な力がつく。
「はい」
「分かったにゃ~♪」
ルイズとフローラが答える。
「あの……先生」
ルイズが、おずおずと片手を少し上げる。
「なに?」
「先生はどのくらい強くなったのでしょうか?」
「興味がある! カインも模倣《コピー》で私たちの能力を得たから、強くなってるんだよね?」
「師匠の強さを見たい」
三人の美少女たちが、興味津々といった色を浮かべる。
「そうだな。少し試してみるか」
俺の力もテストしないといけない。
まずは魔法からだ。
精霊族のエルフリーデの能力を模倣《コピー》したので、俺も魔力を大気中から集めて利用する事ができるようになった筈だ。
(慎重にやらないと……)
エルフリーデは初級魔法の『火球』であれだけの威力を出した。
俺は用心して、ルイズたち離れるように言った。
そして、右手を空にかざした。
天空に向かって魔法を撃ち放てば被害は減る。
俺は目を閉じて、意識を集中した。
模倣《コピー》で得た能力は、俺の肉体に刻まれて、ずっと昔からその能力を持っていたような感覚で使用できる。
俺は精霊族の魔力吸収の能力を発動させた。
俺の背中にエルフリーデと同じように魔力で形成された羽根が生えた。
半透明で、青く光る美しい昆虫のような羽だ。
俺が男のせいなのか、少し雄々しいデザインの羽根だった。
大気中の魔力が、羽根をとおして、俺の肉体に集まってくる。
《これは凄い》
圧倒的な魔力量が、俺の肉体に吸収されていく。
魔力は万物に宿る。
当然、大気にも満ちている。
ほとんどの種族は自分の体内に蓄積された魔力でしか、魔法を発動できないが、精霊族は大気中の魔力を利用できる。
これは大きな違いだ。
いわば自然エネルギーを利用できるのだ。
(まずい、魔力を集めすぎた)
俺は魔力の吸収をやめた。
想像以上に魔力吸収の速度が速かった。こんなに大量に魔力を吸収するつもりはなかったのに。
俺は天空にむけて初級魔法『電撃《サンダー》』を無詠唱で放った。 次の刹那、轟音が弾けた。
耳をつんざくような稲妻の音が響く。
ルイズたちが、思わず耳を塞いだ。
青く光る巨大な稲妻が、天空に向かって打ち上がる。
凄まじい威力だった。
これは初級魔法のレベルではない。
明らかに上級魔法か、それ以上の威力だ。
やがて、電撃がおさまった。
稲妻による轟音が消え、青い閃光も消え去る。
「凄い威力です……」
ルイズが、驚愕の声を出す。
「天が割れるかと思ったにゃー」
フローラが空を見上げながら言う。
「ん。師匠。お見事」
エルフリーデが、親指を立てる。
「ありがとう。自分で魔法を撃ってみて、エルフリーデや俺がなぜあれ程の威力の魔法が出せるのかが分かった」
「ぜひ、教えて下さい」
ルイズが、興味津々の色を浮かべる。
「大気中の魔力……つまり自然から魔力を集めるという事は自然のエネルギーを利用する事に等しい。火山噴火、地震、津波、台風。どれも、人間とは比較にならない位に圧倒的に強い」
「確かにエルフリーデの『火球』は災害クラスでした」
ルイズの黄金の瞳に緊張の色がゆれる。
「俺の『模倣《コピー》』はオリジナルの4割くらいの威力しか模倣《コピー》できないが、それでも自然を利用するんだ。4割でも強いのは当然だ」
「にゃるほど。自然災害……、例えば台風とか、火山噴火は大きくても小さくても凄いもんね」
フローラが納得する。
「納得。分かり易い」
エルフリーデが、無表情で頷く。
「強い魔力を使えるのは良い事だ。あとは威力のコントロールさえ出来れば良い。幸い魔法の出力を上げるのは大変だけど、弱めるのは簡単だ。訓練すれば、すぐに俺もエルフリーデも、強弱をコントロール出来るようになる」
「ん。コントロールの訓練を頑張る」
エルフリーデが、両手の拳を握る。
「ルイズとフローラは、さっきも言った通り、俺と模擬試合を繰り返して、能力に慣れよう。俺も二人の能力を使えばもっと正確に分析できるしな」
「了解です」
「分かった♪」
ルイズとフローラが答える。
さて、稽古開始だ。
「エルフリーデの最初の課題は、魔力のコントロールだな。魔法の威力が強いのは良いが、味方にまで被害が及ぶとマズイ。俺と一緒にしっかりと訓練しよう」
「了解。師匠に従う」
エルフリーデが素直に頷く。
「ルイズとフローラは、あとで俺と軽く試合をしよう」
いわば模擬戦だ。お互い本気ではなく、加減して闘う。
これをすると実践的な力がつく。
「はい」
「分かったにゃ~♪」
ルイズとフローラが答える。
「あの……先生」
ルイズが、おずおずと片手を少し上げる。
「なに?」
「先生はどのくらい強くなったのでしょうか?」
「興味がある! カインも模倣《コピー》で私たちの能力を得たから、強くなってるんだよね?」
「師匠の強さを見たい」
三人の美少女たちが、興味津々といった色を浮かべる。
「そうだな。少し試してみるか」
俺の力もテストしないといけない。
まずは魔法からだ。
精霊族のエルフリーデの能力を模倣《コピー》したので、俺も魔力を大気中から集めて利用する事ができるようになった筈だ。
(慎重にやらないと……)
エルフリーデは初級魔法の『火球』であれだけの威力を出した。
俺は用心して、ルイズたち離れるように言った。
そして、右手を空にかざした。
天空に向かって魔法を撃ち放てば被害は減る。
俺は目を閉じて、意識を集中した。
模倣《コピー》で得た能力は、俺の肉体に刻まれて、ずっと昔からその能力を持っていたような感覚で使用できる。
俺は精霊族の魔力吸収の能力を発動させた。
俺の背中にエルフリーデと同じように魔力で形成された羽根が生えた。
半透明で、青く光る美しい昆虫のような羽だ。
俺が男のせいなのか、少し雄々しいデザインの羽根だった。
大気中の魔力が、羽根をとおして、俺の肉体に集まってくる。
《これは凄い》
圧倒的な魔力量が、俺の肉体に吸収されていく。
魔力は万物に宿る。
当然、大気にも満ちている。
ほとんどの種族は自分の体内に蓄積された魔力でしか、魔法を発動できないが、精霊族は大気中の魔力を利用できる。
これは大きな違いだ。
いわば自然エネルギーを利用できるのだ。
(まずい、魔力を集めすぎた)
俺は魔力の吸収をやめた。
想像以上に魔力吸収の速度が速かった。こんなに大量に魔力を吸収するつもりはなかったのに。
俺は天空にむけて初級魔法『電撃《サンダー》』を無詠唱で放った。 次の刹那、轟音が弾けた。
耳をつんざくような稲妻の音が響く。
ルイズたちが、思わず耳を塞いだ。
青く光る巨大な稲妻が、天空に向かって打ち上がる。
凄まじい威力だった。
これは初級魔法のレベルではない。
明らかに上級魔法か、それ以上の威力だ。
やがて、電撃がおさまった。
稲妻による轟音が消え、青い閃光も消え去る。
「凄い威力です……」
ルイズが、驚愕の声を出す。
「天が割れるかと思ったにゃー」
フローラが空を見上げながら言う。
「ん。師匠。お見事」
エルフリーデが、親指を立てる。
「ありがとう。自分で魔法を撃ってみて、エルフリーデや俺がなぜあれ程の威力の魔法が出せるのかが分かった」
「ぜひ、教えて下さい」
ルイズが、興味津々の色を浮かべる。
「大気中の魔力……つまり自然から魔力を集めるという事は自然のエネルギーを利用する事に等しい。火山噴火、地震、津波、台風。どれも、人間とは比較にならない位に圧倒的に強い」
「確かにエルフリーデの『火球』は災害クラスでした」
ルイズの黄金の瞳に緊張の色がゆれる。
「俺の『模倣《コピー》』はオリジナルの4割くらいの威力しか模倣《コピー》できないが、それでも自然を利用するんだ。4割でも強いのは当然だ」
「にゃるほど。自然災害……、例えば台風とか、火山噴火は大きくても小さくても凄いもんね」
フローラが納得する。
「納得。分かり易い」
エルフリーデが、無表情で頷く。
「強い魔力を使えるのは良い事だ。あとは威力のコントロールさえ出来れば良い。幸い魔法の出力を上げるのは大変だけど、弱めるのは簡単だ。訓練すれば、すぐに俺もエルフリーデも、強弱をコントロール出来るようになる」
「ん。コントロールの訓練を頑張る」
エルフリーデが、両手の拳を握る。
「ルイズとフローラは、さっきも言った通り、俺と模擬試合を繰り返して、能力に慣れよう。俺も二人の能力を使えばもっと正確に分析できるしな」
「了解です」
「分かった♪」
ルイズとフローラが答える。
さて、稽古開始だ。
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