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第55話 服屋

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 俺たちは、王都の大通りに面した服屋に来ていた。
 広いお洒落なお店に、お洒落な服が沢山ならんでいる。
 俺は、あまり服についての知識がないから、ルイズたちにお任せしよう。

「ミネルヴァは、やっぱり上品な服が似合うと思います」 

 ルイズが、楽しそうに色々な服を手に取る。

「それよりも、ボーイッシュな服が良いにゃ♪ 動きやすいし」
「いや、ここはエロ可愛い路線で行くべき」

 フローラもエルフリーデも、あっちこっちで服を選び出した。
 ところで、エロ可愛い路線って何?

 いかがわしい服とかじゃなよな?

 しばらくの間、ミネルヴァを試着室に入れて、着せ替えごっこみたいにして、色々な服を着せていた。

 ミネルヴァは、端麗な顔立ちをしているし、身体も均整が取れているので、どんな服でも似合う。

「やっぱりこっちの服が良いでしょうか?」
「にゃー、こっちも良いよ。取りあえず、着せてあげよう」
「私はこっちが似合うと思う」

 ルイズたちは、とっかえひっかえ、色々な服をミネルヴァに着せていく。
 ミネルヴァは、楽しそうに着せ替え人形みたいに、着替えさてもらっていた。
 楽しそうなら何よりだ。

「せっかくだから、全員分の服を買ったらどうだ?」

 と、俺が提案する。
  ルイズたちの顔が、パアっと明るくなった。

「ありがとうございます」
「にゃー♪」
「たくさん選ぶ」
「よく分からないけどやったなの♪」

 女性陣の笑顔が弾ける。
 喜んでくれて良かった。

 30分後。
 まだ、ミネルヴァの服だけを楽しそうに選んでいる。
 ……。
 ……。 
 もう少しだけ、時間が掛かりそうだな。
 悪いが、俺だけ椅子に座らせて貰おう。
 ……。
 ……。

 1時間後。

 ミネルヴァの服だけが、ようやく決まったようだ。
 まだ、他の女性陣の服は決まっていない。
 ……。

 ごめん。疲れた。 
 いや、正確に言うと疲れているのは、俺だけのようだ。

 ルイズ、フローラ、エルフリーデ、ミネルヴァは元気なままだ。

 楽しそうに、お喋りしながら、服を選んでいる。
 いつになったら決まるだろうか?
 ……。

 さらに1時間後。 
 ようやく全員の服が決まった。
 良かった。

「すいません、先生。お待たせしました。それで、そのう……」

 ルイズが、言いにくそうに俺の顔をうかがう。
   フローラ、エルフリーデも、遠慮がちに俺を見る。

「どうした?」

 まさか、もう少し服を選びたいから時間をくれ、とかじゃないよな?
 少々身構える俺にたいして、ルイズは、

「全員分の服を買うと、少し予算が高くなります。よろしいでしょうか? 具体的には、このくらいですが」

 と、俺に耳打ちした。
   妥当な金額だった。

「そのくらいなら大丈夫だ。買おう」
「ありがとうございます」

   ルイズが、嬉しそうに御礼をいう。

「気にしないでくれ。全員の力で得た報酬を使うだけなんだから」

 俺は、店員さんに代金を支払った。 

「師匠。ミネルヴァの服を見てあげて欲しい」
「カイン、どう? 可愛いでしょ?」

 エルフリーデとフローラが、ミネルヴァの後ろに立って言う。
 俺はミネルヴァに視線を投じた。

 ミネルヴァは、赤を基調として、紫のフリルがついた服を着ていた。 スカートにもフリルが着いている。

 可愛らしく、気品がある服装だった。
 貴族のお姫様みたいだ。

「カインお兄ちゃん、どう?」

 ミネルヴァが、少し恥ずかしそうに俺を見る。

「とても可愛いよ。お姫様みたいだ」
「ありがとうなの♪」

 ミネルヴァが、笑顔を咲かせた。
 
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