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ミネルヴァの想い

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【ミネルヴァの視点】
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 ミネルヴァは、大衆食堂で、モリモリとご飯を食べていた。

(とっても美味しいの♪)

 と、笑顔で思う。

 カインお兄ちゃんと出会ってから、食べるご飯は、どれも全部美味しいの。
 モグモグ、ぱくぱく、ごくん。 
 ああ、美味しい、幸福なの♪

「ミネルヴァ、誰も取らないから、ゆっくり食べろ」

 カインお兄ちゃんが、優しい微笑を私にむける。
 そして、ハンカチで私の口元を拭いてくれた。

「分かったの♪ ゆっくり食べるの♪」

 私は元気よく答える。
 でも、私は馬鹿だから、ついバクバクと急いで食べてしまうの。

 そして、ハっと気付いて、カインお兄ちゃんの顔を見る。

 怒られるかな? と思ったの。

 でも、カインお兄ちゃんは、優しい微笑を浮かべたままだったの。  その時、キュンっと胸と、お腹の奥がうずいた。

 ……?

 なんなの?
 変な感じなの……。
 ドキドキする。

 頬が、熱くなる。
 ご飯を食べ過ぎたのかな? 

 ううん。ありえないの。
 私は誇り高き天竜族なの。

 ご飯なんて、山ほど食べれるの。
 天竜族に満腹なんてありえない。

 それが、密かな誇りなの。 
 あれ?

 思考がそれた気がするの。
 また、カインお兄ちゃんをチラリと見る。
 カインお兄ちゃんの綺麗な顔が、私の瞳に映り込む。

 温和で、少し女の子っぽい顔立ちをしてる。
 そして、すごく優しそうな空気をまとっている。

 ううん。カインお兄ちゃんだけじゃないの。
 ルイズお姉ちゃん、 
 フローラお姉ちゃん、
 エルフリーデお姉ちゃん、
 みんな優しいの。

「ミネルヴァ、他に食べたいものはありますか?」

  ルイズお姉ちゃんが、優しい声で話しかけてくれたの。

「にゃー♪ 私は、パンとチーズと、肉団子が入ったスパゲッティを追加で欲しいにゃー♪」
「フローラは、ミネルヴァの後に注文しなさい。お姉さんでしょう?」
「ふにゃ~」
 
  フローラお姉ちゃんが、叱られて、落ち込んだの。
 そして、猫の耳を伏せた。

 可愛いの。
 フローラお姉ちゃんを見てると、抱きしめてあげたくなるの。

「大丈夫。フローラの精神年齢が、低い事は理解してる。私は怒らない」 

 エルフリーデお姉ちゃんが、フローラお姉ちゃんの頭を撫でる。

「ありがとう、エルフリーデ……。にゃ? なんだか馬鹿にされてるような気がするよ?」
「大丈夫。馬鹿にしていない。愛でている」
「それなら嬉しいにゃ♪」

 フローラお姉ちゃんが喜んでいるの。
 私はクスクスと笑ってしまう。

「ミネルヴァの食べたいモノは何ですか?」

 ルイズお姉ちゃんが、綺麗な声を出して、聞いてくれたの。

「なんでも良いから、お肉が食べたいの」 

 ルイズお姉ちゃんがすぐに注文をしてくれた。 
  でも、不思議なの。

 ルイズお姉ちゃん。
 フローラお姉ちゃん。
 エルフリーデお姉ちゃん。

 この3人のお姉ちゃん達の顔を見ても、キュンっとしたり、ドキドキしたりしないの。

 ためしにカインお兄ちゃんの顔をチラリと見るの。

 あっ。
 ダメなの。

 カインお兄ちゃんと視線が合うと、胸がポカポカするの。

 なぜだか、ウキウキするの。
 幸福な気持ちになるの。

 幸せなだと感じた事は、今までの人生でもあったけど、この感覚は、今までになかったの。

 とても、不思議なの。
 少し、考えてみるの。

 カインお兄ちゃんについて、じっくりと考えるの。
 まず、カインお兄ちゃんは『仲間』なの。
 そして、『お友達』。

 それと、私を救ってくれた『恩人』なの。
 ……。

 そうか、分かったの!

 だから、カインお兄ちゃんを見るとドキドキして、ポカポカして、ウキウキするの!

 正解が分かったの♪
 私は、いつの間にかお利口さんに進化していたの。
 答えが出たから、自分へのご褒美に、たくさんご飯を食べるの♪

 まずは、スパゲッティを食べるの
 ぱくぱく、もぐもぐ。

 ごっくん。
 美味しいの♪
 そして、パンとチーズと、お肉も食べるの。

 ムシャムシャ、ぱくぱく。
 ごくん。
 どれも、美味しいの♪

 ふぅ~、美味しかったの。
 でも、満腹はしないの。

 したら、天竜族の名折れなの。
 ……。
 ……。

 あれ?
 食べるのを中断した途端に、気付いてしまったの。
 カインお兄ちゃんは、『仲間』、『お友達』、『恩人』なの。

 でも、ルイズお姉ちゃんたちも、同じく、『仲間』であり、『お友達』であり、
『恩人』なの。

 あれあれ?

 どうして、カインお兄ちゃんだけ違うの?

 なんで、カインお兄ちゃんのお顔だけ見る時だけ、ポカポカしたり、ウキウキするの? 

 ……。
 ……。
 ……。

 困ったの。
 全然、分からないの。

「ほら、また口にソースがついてるぞ」

 カインお兄ちゃんが、またハンカチで私の口のまわりを拭いてくれたの。
 丁寧に、優しく拭いてくれるの。
 そして、少しだけカインお兄ちゃんの指が私の唇に触れたの。

 あっ。
 頬が熱くなるの。
 心臓が、バクバクするの。

 カインお兄ちゃんの指先が、少しだけ唇に触れただけなのに……。
   その時、私の中で、何かがパチンと弾けた。

 そして、なぜか決意と覚悟が、かたまったの。
 カインお兄ちゃんの為に死のう。
 そして、カインお兄ちゃんに恩返しをするの。

 私を闇から救いだしてくれた恩人に、恩義を返すの。
 天竜族は、誇り高き種族なの。
 恩義は必ず返すのが、天竜族の証なの。

 どうして、カインお兄ちゃんの顔を見ると、ドキドキしたり、ポカポカしたりするかは分からないの。

 そして、多分、今は分からなくて良いの。
 でも、使命は今、見つかったの。
 これから、ずっとカインお兄ちゃんの側にいる。

 そして、カインお兄ちゃんの命令に従い、カインお兄ちゃんを護るの。 うん。
 決意したら、気が楽になったの。

 ポカポカとか、ドキドキの原因は分からないけど、やる事が決まったから、すっきりしたの♪

 私は満足したの♪

 さあ、ドンドン食べるの♪
 たくさん食べて、力をつけて、カインお兄ちゃんの為に働くの♪ 

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