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魔族の目的

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「綺麗な方ですね」
「美人だね♪」
「ん。ロリな美人。私の好み」
「可愛いの♪」

 一人、不穏当な発言をするヤツがいた気がするが、気にしないでおこう。

 みんなの言うとおり、アーリヤ王女殿下は、美人だ。

 灰色の髪と碧眼を持ち、愛らしい美しさを持つ、美少女である。
 17歳だが、外見が12歳前後に見えるのは、ドワーフの種族的な特性による。
 ドワーフは、男性はヒゲに覆われた筋肉隆々の人が標準的だ。

 だが、女性は、成人しても、少女のような外見のまま不老なのだ。

 ドワーフの平均寿命は300歳であり、外見が、12歳前後なのに、100歳を超えている女性は多い。

「魔族は、やはりアーリヤ殿下を狙ったのでしょうか?」

 ルイズが、形の良い眉をひそめた。

「おそらくは。しかし、誘拐が目的だとしたら、妙な話だ。わざわざ、アメストリア鉱山の内部に残って、出入り口を塞いだんだからな」
「ん。単純に誘拐が目的なら、お姫様をさらった後は、すぐに逃げるのが普通」
「確かにそうなの。変なの」

 エルフリーデとミネルヴァが、疑問符を頭の上に浮かべる。

「お姫様を誘拐した魔族から、要求とかは、にゃかったの?」

 フローラが、問う。

「まったくないらしい」

 そこが益々妙だ。
 要求がないなら、なぜアーリヤ殿下を誘拐したのだろうか?

 しかも、アメストリア鉱山に魔族は籠城している。

 自分で自分を閉じ込めるようなマネをしているのが奇妙極まりない。

「いや、そこは考えてもしょうがない。とにかく、アーリヤ殿下と閉じ込められた30人のドワーフの人達を助ける事に全力を注ごう」
「はい」
「了解」
「ん」
「分かったの♪」

 希少種の美少女たちが、答えてくれる。   

「ところで……」

 と、俺はミネルヴァに視線を投じた。

「ミネルヴァは、戦闘は大丈夫か?」

 俺はミネルヴァの闘う姿を見ていない。
 ミネルヴァが、強いのは理解している。
 内蔵している魔力総量が、俺の2倍以上あるし、身体能力が高いのも知っている。
 C級クラスの魔物が相手なら、単騎でも勝てると思う。
 だが、魔族との戦闘となると話が違ってくる。

「大丈夫なの♪ 天竜族は強いの♪」

 ミネルヴァが自信に満ちて言う。

「リッチーには負けたけど、大概の魔物には勝てる自信があるの」

  紫色の髪の天竜族の美少女が主張する。
 確かにそうだろう。
 俺は暫し、無言で考えた。

「分かった。同行してくれ。でも、無理しない範囲でな」

 ミネルヴァに関しては最初は様子見から始めよう。

「了解なの♪」

 ミネルヴァが、元気よく答える。

 その後、アメストリア鉱山での戦いにむけて、全員で話し合った。
  話し合いをしながら、アーリヤ殿下と、30人のドワーフたちの無事を祈った。

 できれば全員、助けたい、そう強く思った。


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