16 / 25
身の危険②
しおりを挟む
「おい、どこ行った!」
「こ、ここー…。」
「声出し続けろー!辛くなったら2、5、2の合図出せー。」
「に…、に、ごー、にぃ!」
「いや声出せない時に何か叩いたりしてくれれば…、いや待て叩くな!余計崩れる!」
「どっちでもいいから…!た、助けてー!」
「分かったから、何でもいいから話続けろー!」
文字通り、声のする方へ物をかき分けながら新島さんの姿を探す。どうやら複数の山が崩れてしまったようで、箱詰めになった何がしかのおまけやら古い雑誌やら、大量にぶちまけられた物たちで床が埋め尽くされている。
「雑多に寄せすぎだろ!何の統一性もない…!」
「ぐるじぃ…。」
「とにかく頭の周りを保護して、無理に動くなよ!」
「うぅ、助けてー…!」
「待ってろ…、くっそ…!いた!おらぁ!」
フィギュアの箱をかき分けた時、新島さんの手が見えた。それを見逃さず、思いっきり引きずり出す。大量のぬいぐるみとともにもみくちゃにされた新島さんが雪崩れてきた。
「ぶへぇ!…助かったぁ。」
「…どうなってんだこれ。はぁ…。怪我無いか?痛いところとか。」
「だ、大丈夫…。」
「ちょっとちょっと、大丈夫!?どうしたの?いったい何が!?」
「どうしたのはこっちだバカ!どうやったらこんなに物詰め込めるんだよ!」
「あ!このフィギュア探してたんだ!もう二度と会えないと思ってた、奇跡!」
「話を聞け!」
「何?天才的な頭脳から導き出せる驚きの収納術について?」
「天才的な頭脳なら断捨離術を導き出せよ!」
「あ、こっちに探してたやつあった!このぬいぐるみUFOキャッチャー限定の奴なんだよ、いいでしょー?」
「…。」
「あー!こっちは揃えきれなかったと思ってたシリーズの最後のグッズ!コンプリートしてたんだ、さっすが僕!!」
やっと脱出できた新島さんは、ぐったりと俺にもたれかかったままだ。こんな状況でも、ナインはいつもの調子で無くしていたと思っていたものが発見できたと喜んでいる。ふざけんな、こっちの迷惑も考えろ!新島さんが危なかったただろうが!周りを見ろ周りを!
「ナイン!ゴミ袋持ってこい!!」
「えぇ~!?」
俺たちを存在を忘れたようにはしゃぎ始めたナインに、ふつふつと怒りがこみ上げる。前々から片づけるように言っていたっていうのに、この様子ではそれを実行するつもりすらなさそうだな…!こうなったら…!
「ここにあるもん全部俺が片づけてやる!!」
「えー!やめてよぉ!健人の片づけって片っ端から捨てる方法じゃないか!」
「だから自分でやるように言ってたんだろうが!できないってんだったら俺がやってやるよ…!」
「嫌ぁ~!!助けて新島さん!」
「…え?えぇー…まぁ、ナイン君の物ですし、本人がこのままでいいって言うんだったら、そこまで…。」
「アンタ今まさに埋まって危ない目にあってただろ!ナインも現状しっかり見ろ!」
「「うぅ…。」」
「わ、悪かったよ。でも、これから気を付けるし…。」
「私も何ともないですし…。」
「俺は、今!危ないから!どうにかしたいんだよ!」
「うぅ~!」
「ぐ、郡司さん、ほどほどにしましょうよ。私たち、片づけをするためにここに来たわけじゃないですし!」
「…まぁ。」
「ね、ナイン君も本当に必要なものかどうか見てみようよ。このあたりをスッキリさせるだけでもさ!私も手伝うし!」
「に、新島さん…!」
新島さんの指摘はもっともだ。…何より一番危険な目にあった人間にそう言われると、これ以上強くは言えなくなってしまう。新島さんの救いの手とも言える一言に、感極まって涙でも流しそうなナインにため息が禁じ得ないが、とりあえず、俺たちがこの中を安全に行き来できるだけの片づけで勘弁してやるか。今回はな。
「こ、ここー…。」
「声出し続けろー!辛くなったら2、5、2の合図出せー。」
「に…、に、ごー、にぃ!」
「いや声出せない時に何か叩いたりしてくれれば…、いや待て叩くな!余計崩れる!」
「どっちでもいいから…!た、助けてー!」
「分かったから、何でもいいから話続けろー!」
文字通り、声のする方へ物をかき分けながら新島さんの姿を探す。どうやら複数の山が崩れてしまったようで、箱詰めになった何がしかのおまけやら古い雑誌やら、大量にぶちまけられた物たちで床が埋め尽くされている。
「雑多に寄せすぎだろ!何の統一性もない…!」
「ぐるじぃ…。」
「とにかく頭の周りを保護して、無理に動くなよ!」
「うぅ、助けてー…!」
「待ってろ…、くっそ…!いた!おらぁ!」
フィギュアの箱をかき分けた時、新島さんの手が見えた。それを見逃さず、思いっきり引きずり出す。大量のぬいぐるみとともにもみくちゃにされた新島さんが雪崩れてきた。
「ぶへぇ!…助かったぁ。」
「…どうなってんだこれ。はぁ…。怪我無いか?痛いところとか。」
「だ、大丈夫…。」
「ちょっとちょっと、大丈夫!?どうしたの?いったい何が!?」
「どうしたのはこっちだバカ!どうやったらこんなに物詰め込めるんだよ!」
「あ!このフィギュア探してたんだ!もう二度と会えないと思ってた、奇跡!」
「話を聞け!」
「何?天才的な頭脳から導き出せる驚きの収納術について?」
「天才的な頭脳なら断捨離術を導き出せよ!」
「あ、こっちに探してたやつあった!このぬいぐるみUFOキャッチャー限定の奴なんだよ、いいでしょー?」
「…。」
「あー!こっちは揃えきれなかったと思ってたシリーズの最後のグッズ!コンプリートしてたんだ、さっすが僕!!」
やっと脱出できた新島さんは、ぐったりと俺にもたれかかったままだ。こんな状況でも、ナインはいつもの調子で無くしていたと思っていたものが発見できたと喜んでいる。ふざけんな、こっちの迷惑も考えろ!新島さんが危なかったただろうが!周りを見ろ周りを!
「ナイン!ゴミ袋持ってこい!!」
「えぇ~!?」
俺たちを存在を忘れたようにはしゃぎ始めたナインに、ふつふつと怒りがこみ上げる。前々から片づけるように言っていたっていうのに、この様子ではそれを実行するつもりすらなさそうだな…!こうなったら…!
「ここにあるもん全部俺が片づけてやる!!」
「えー!やめてよぉ!健人の片づけって片っ端から捨てる方法じゃないか!」
「だから自分でやるように言ってたんだろうが!できないってんだったら俺がやってやるよ…!」
「嫌ぁ~!!助けて新島さん!」
「…え?えぇー…まぁ、ナイン君の物ですし、本人がこのままでいいって言うんだったら、そこまで…。」
「アンタ今まさに埋まって危ない目にあってただろ!ナインも現状しっかり見ろ!」
「「うぅ…。」」
「わ、悪かったよ。でも、これから気を付けるし…。」
「私も何ともないですし…。」
「俺は、今!危ないから!どうにかしたいんだよ!」
「うぅ~!」
「ぐ、郡司さん、ほどほどにしましょうよ。私たち、片づけをするためにここに来たわけじゃないですし!」
「…まぁ。」
「ね、ナイン君も本当に必要なものかどうか見てみようよ。このあたりをスッキリさせるだけでもさ!私も手伝うし!」
「に、新島さん…!」
新島さんの指摘はもっともだ。…何より一番危険な目にあった人間にそう言われると、これ以上強くは言えなくなってしまう。新島さんの救いの手とも言える一言に、感極まって涙でも流しそうなナインにため息が禁じ得ないが、とりあえず、俺たちがこの中を安全に行き来できるだけの片づけで勘弁してやるか。今回はな。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
おばさんは、ひっそり暮らしたい
波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。
猫屋敷 むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で――
私の願いは一瞬にして踏みにじられました。
母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、
婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。
「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」
まさか――あの優しい彼が?
そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。
子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。
でも、私には、味方など誰もいませんでした。
ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。
白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。
「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」
やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。
それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、
冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。
没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。
これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。
※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ
※わんこが繋ぐ恋物語です
※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ
【完結】番である私の旦那様
桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族!
黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。
バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。
オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。
気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。
でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!)
大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです!
神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。
前半は転移する前の私生活から始まります。
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる