117 / 171
会長チェスターの場合(1)
しおりを挟む
撮影は順調だ。だが、しかし……
ウェディングドレスを着たビッグスターが俺の目の前に立っている。彼女は俺を見つめて頬を赤らめたり、目を逸らしたり、こちらの調子が狂ってまうほど妙な様子だ。キャロラインが俺の代役を演じて、告白シーンを撮影してからというもの、ビッグスターは俺に疑似恋愛感情を持ってしまったのではないかと俺はふと怖くなる。
俺は首から汗が滲むのを感じた。苛立ちと恐怖だ。
――まずい。俺はこの状況に苛立ってしまっている。
俺もビッグスターも役者だ。役者はある種の疑似恋愛感情を持たなければラブシーンを演じられない。それは分かる。でも、彼女の場合はちょっと違う。誰にも何も感じないはずだった。俺の事前リサーチではそうだった。だから、俺は主役同士として彼女と組むことを了承したのだ。誰にも何も感じない氷の感情を持つ美しい女優のはずだった。
彼女は世界中で集客が望める一番の女優であり、彼女のドラマで見ない人がこの世にいるとは思えないぐらいのネームバリューのある女優だった。
俺はそもそも女性が苦手なのに、彼女は俺に見惚れたような視線を送ってきていて、今日はことさら肌の露出の多い純白のウェディングドレスを身に纏っている。なんと背中は腰まで丸見えで、大きな胸は極限ギリギリまで見えている。肩から指先は何も布が覆っていない。正直、俺からすると、一番女性で苦手な衣装だ。長い足がドレスの下に隠れているのは助かるけれど。目のやり場に本当に困る。
「会長?大丈夫?」
ウェディングドレスを着たビッグスターが俺の目の前に立っている。彼女は俺を見つめて頬を赤らめたり、目を逸らしたり、こちらの調子が狂ってまうほど妙な様子だ。キャロラインが俺の代役を演じて、告白シーンを撮影してからというもの、ビッグスターは俺に疑似恋愛感情を持ってしまったのではないかと俺はふと怖くなる。
俺は首から汗が滲むのを感じた。苛立ちと恐怖だ。
――まずい。俺はこの状況に苛立ってしまっている。
俺もビッグスターも役者だ。役者はある種の疑似恋愛感情を持たなければラブシーンを演じられない。それは分かる。でも、彼女の場合はちょっと違う。誰にも何も感じないはずだった。俺の事前リサーチではそうだった。だから、俺は主役同士として彼女と組むことを了承したのだ。誰にも何も感じない氷の感情を持つ美しい女優のはずだった。
彼女は世界中で集客が望める一番の女優であり、彼女のドラマで見ない人がこの世にいるとは思えないぐらいのネームバリューのある女優だった。
俺はそもそも女性が苦手なのに、彼女は俺に見惚れたような視線を送ってきていて、今日はことさら肌の露出の多い純白のウェディングドレスを身に纏っている。なんと背中は腰まで丸見えで、大きな胸は極限ギリギリまで見えている。肩から指先は何も布が覆っていない。正直、俺からすると、一番女性で苦手な衣装だ。長い足がドレスの下に隠れているのは助かるけれど。目のやり場に本当に困る。
「会長?大丈夫?」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
911
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる