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第7話 もう少し外に出かけてみよう
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「ニコ、勇者リオンから話しは聞いたんだね」
ケイトがテーブルに来た。
勇者って……いるんだ本当に。
でも、少し長い金髪の美男子が勇者って納得できる。
「あなたが戦闘のサポートしたから勝てたって聞いたよ」
「……大袈裟な気がするのですが」
「群れとしては近年では最大クラスだったらしいよ」
そうだったんだ……よく助かったな。僕。
「記憶が曖昧なんだけどその討伐で僕は怪我をしたのかな?」
怪我をした理由っぽいけど。どうなんだろう。
「なんかその後に一人で出かけて怪我をしたって聞いたよ。心配したけど街の外の病院だったから看病にも行けなかった……ごめんね」
あ、違ったんだ。単独事故。その方が都合が良いか。
「いや。こちらこそごめんね。もう大丈夫だから」
笑顔で心配してくれた事を感謝しておく。
「そう!それならいいけど。ご飯食べたらおとう……マスターから報酬受け取ってね!」
他の客に呼ばれてケイトはが去っていく。
報酬を食堂で受け取るって……ご飯もまだ来ないのでもしかしてと思い、人の集まっている所に行ってみる。
壁には「仕事依頼」とか「仲間募集」などの貼り紙がしてあった……羊皮紙、始めて見たな。
カウンターでは料理以外の説明をしていた。
そうなるとこの世界ではギルドではなく、酒場や食堂で依頼を仲介したり仲間や情報を集める仕組みだと判断できる。
貼り紙や漏れ聞こえてくる客の話しから「冒険者」なんてワードは出て来ないから職業は「戦士」とか「魔法使い」みたいだ。自分は何だったんだろう?何か手がかりを探さないといけないな。
「おまちどうさま!」
情報をまとめていたらマスターが料理を持って現れた。
ドンッ!ドンッ!!とスープやサラダ、肉などが並んだ。予想通りどれも大盛りだった・・・入るかなぁ。
「それとリオンからの追加報酬」
またドンッ!と麻袋が置かれた。これ相当入っているよね!
まだ通貨や相場感覚が無いから分からないけれど重そうなのでかなり高額だと分かる。
「多い、と思っているだろうけれど相応の額だと思うから気にせず受け取っておくといい」
正当報酬ですか。
「ありがとうございます。せっかくなので受け取ります」
振り返ったけれどリオンはもういなかった。今度あったらお礼を言おう。
「うん。ではしっかり食べてって!」
「はい!いただきます」
無理かと思った量だったけれど美味しすぎて残さず食べてしまった。
食堂から出る間際にケイトから「心配だから毎日食べに来なさい!」って言われた。
断れそうもないので「わかった」と応えて「マスターにとっても美味しかったと伝えてね!」と手を振ってお店を出た。
美味しかったから毎日一食は食べに来ようと思う。
それにしても満腹過ぎてこのまま家に帰ったら寝てしまうだろう。
そうだ城壁まで行ってみよう!
城壁は前世の建物と比較すれば低いのだろうけど10mを超える長大な灰色の塗り壁は圧巻だ。
上は歩哨が行き交えるくらいの幅がありそうだ。
一般人でも登れるのかな?
壁には外階段が設置されているのが見えたので近づく。
階段の横には看板らしきものがあり、有事でなければ観光などで誰でも登ってよいと書いてあった。
登っていくと壁の半分くらいまでの高さまでだったけれど、街の先の方まで見通せた。
先の方にはお城が見える。王様とか領主様とかがいるのかな。
お城を中心に整然と並んだ街並みから外側に向かうにつれて雑然としている。壁を突破されて侵入された際の防波堤なのが分かる。
壁に囲まれているけれど青空に統一された赤茶色の屋根が並ぶ光景は素晴らしく綺麗に見えた。
特に争いの音も無く、子供たちの遊んでいる声が聞こえてくる。平和なんだろうな。
この街に転生して住めた事が本当に良かった、と思えた。
壁の外への冒険は不安だけれど、今度の街中冒険は買い物でもしてみようかな!
「よう、ニコ! 戻っていたのか!なんで教えてくれないんだよ。水臭い!」
……階段を下りたら声をかけられた。今度は革鎧を着た大柄な兵士だ。
剣と盾を背負っている。
悪い事はしていないのに萎縮してしまう。それでも、
「どうも……」
兵士さんに返すと笑顔で近づいてきた。
「かなりヤバかったって聞いてるよ。隊長が会いたがってたから今度詰め所まで会いに来てやってくれないか」
クイっと親指で差された方向には門があり、建物が見えた。
「体調が戻ってからでいいからな!」
と、背中をボンボン叩きなが笑いながら去っていった。
今すぐ来いと言われなかったのが幸いだ。隊長なんてまたイカツい人なんでしょう!?
しばらく行かないでもいいですよね?
もう、誰かに会うのも不安なので家に戻る事にした。
家の前まで戻ってきた。
あ、パン屋さんがこっち見てるから寄ろう。
忙しいみたいなのに「これ持ってけ」と沢山のパンを頂いた。全て焼き立てだ。
ペコリとお辞儀をして去る。
今夜は自分でもシチューを作ろうかな。
でもまだお昼過ぎ。リビングのテーブルに着いて冒険を振り返る。
道すがらも色々な人から声をかけられた。性別や職業関係無く。
どの人とも親しげだし「いつもありがとう」とか「またよろしくね」と声をかけられていた。
社交的で何かをしていたのか知らない自分。ちょっと怖いけれど良い事をしていたんだと思う。
この家には物が少なくてヒントが無さ過ぎる。女神様案件かな……。
さて、レベルが上がれば何かしらヒントにつながるスキルが手に入るかもしれない。
ドリルを進めますか。
ケイトがテーブルに来た。
勇者って……いるんだ本当に。
でも、少し長い金髪の美男子が勇者って納得できる。
「あなたが戦闘のサポートしたから勝てたって聞いたよ」
「……大袈裟な気がするのですが」
「群れとしては近年では最大クラスだったらしいよ」
そうだったんだ……よく助かったな。僕。
「記憶が曖昧なんだけどその討伐で僕は怪我をしたのかな?」
怪我をした理由っぽいけど。どうなんだろう。
「なんかその後に一人で出かけて怪我をしたって聞いたよ。心配したけど街の外の病院だったから看病にも行けなかった……ごめんね」
あ、違ったんだ。単独事故。その方が都合が良いか。
「いや。こちらこそごめんね。もう大丈夫だから」
笑顔で心配してくれた事を感謝しておく。
「そう!それならいいけど。ご飯食べたらおとう……マスターから報酬受け取ってね!」
他の客に呼ばれてケイトはが去っていく。
報酬を食堂で受け取るって……ご飯もまだ来ないのでもしかしてと思い、人の集まっている所に行ってみる。
壁には「仕事依頼」とか「仲間募集」などの貼り紙がしてあった……羊皮紙、始めて見たな。
カウンターでは料理以外の説明をしていた。
そうなるとこの世界ではギルドではなく、酒場や食堂で依頼を仲介したり仲間や情報を集める仕組みだと判断できる。
貼り紙や漏れ聞こえてくる客の話しから「冒険者」なんてワードは出て来ないから職業は「戦士」とか「魔法使い」みたいだ。自分は何だったんだろう?何か手がかりを探さないといけないな。
「おまちどうさま!」
情報をまとめていたらマスターが料理を持って現れた。
ドンッ!ドンッ!!とスープやサラダ、肉などが並んだ。予想通りどれも大盛りだった・・・入るかなぁ。
「それとリオンからの追加報酬」
またドンッ!と麻袋が置かれた。これ相当入っているよね!
まだ通貨や相場感覚が無いから分からないけれど重そうなのでかなり高額だと分かる。
「多い、と思っているだろうけれど相応の額だと思うから気にせず受け取っておくといい」
正当報酬ですか。
「ありがとうございます。せっかくなので受け取ります」
振り返ったけれどリオンはもういなかった。今度あったらお礼を言おう。
「うん。ではしっかり食べてって!」
「はい!いただきます」
無理かと思った量だったけれど美味しすぎて残さず食べてしまった。
食堂から出る間際にケイトから「心配だから毎日食べに来なさい!」って言われた。
断れそうもないので「わかった」と応えて「マスターにとっても美味しかったと伝えてね!」と手を振ってお店を出た。
美味しかったから毎日一食は食べに来ようと思う。
それにしても満腹過ぎてこのまま家に帰ったら寝てしまうだろう。
そうだ城壁まで行ってみよう!
城壁は前世の建物と比較すれば低いのだろうけど10mを超える長大な灰色の塗り壁は圧巻だ。
上は歩哨が行き交えるくらいの幅がありそうだ。
一般人でも登れるのかな?
壁には外階段が設置されているのが見えたので近づく。
階段の横には看板らしきものがあり、有事でなければ観光などで誰でも登ってよいと書いてあった。
登っていくと壁の半分くらいまでの高さまでだったけれど、街の先の方まで見通せた。
先の方にはお城が見える。王様とか領主様とかがいるのかな。
お城を中心に整然と並んだ街並みから外側に向かうにつれて雑然としている。壁を突破されて侵入された際の防波堤なのが分かる。
壁に囲まれているけれど青空に統一された赤茶色の屋根が並ぶ光景は素晴らしく綺麗に見えた。
特に争いの音も無く、子供たちの遊んでいる声が聞こえてくる。平和なんだろうな。
この街に転生して住めた事が本当に良かった、と思えた。
壁の外への冒険は不安だけれど、今度の街中冒険は買い物でもしてみようかな!
「よう、ニコ! 戻っていたのか!なんで教えてくれないんだよ。水臭い!」
……階段を下りたら声をかけられた。今度は革鎧を着た大柄な兵士だ。
剣と盾を背負っている。
悪い事はしていないのに萎縮してしまう。それでも、
「どうも……」
兵士さんに返すと笑顔で近づいてきた。
「かなりヤバかったって聞いてるよ。隊長が会いたがってたから今度詰め所まで会いに来てやってくれないか」
クイっと親指で差された方向には門があり、建物が見えた。
「体調が戻ってからでいいからな!」
と、背中をボンボン叩きなが笑いながら去っていった。
今すぐ来いと言われなかったのが幸いだ。隊長なんてまたイカツい人なんでしょう!?
しばらく行かないでもいいですよね?
もう、誰かに会うのも不安なので家に戻る事にした。
家の前まで戻ってきた。
あ、パン屋さんがこっち見てるから寄ろう。
忙しいみたいなのに「これ持ってけ」と沢山のパンを頂いた。全て焼き立てだ。
ペコリとお辞儀をして去る。
今夜は自分でもシチューを作ろうかな。
でもまだお昼過ぎ。リビングのテーブルに着いて冒険を振り返る。
道すがらも色々な人から声をかけられた。性別や職業関係無く。
どの人とも親しげだし「いつもありがとう」とか「またよろしくね」と声をかけられていた。
社交的で何かをしていたのか知らない自分。ちょっと怖いけれど良い事をしていたんだと思う。
この家には物が少なくてヒントが無さ過ぎる。女神様案件かな……。
さて、レベルが上がれば何かしらヒントにつながるスキルが手に入るかもしれない。
ドリルを進めますか。
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