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第一部 罪人の涙
絶対王子 1
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「やっべ!」
目覚ましを乱暴に置き、毛布を蹴っ飛ばすと、急いで寝癖を整えてジャージに着替えた。ジャージ登校はバスケ部の、正確には自分の特権だった。つい口元がにやけたが、今はだらだらしている場合ではない。鞄を引っ掴み、台所に駆け込む。そこで、足が止まった。
「あっ……」
すぐに棚に向かい、ゼリー飲料の補給食を二、三個取り、さっさと出ていこうとする。
「ちょっと、おはようぐらい言いなさいよ」
どうして、目が合った時に言わないんだ。舌打ちを堪え、歩きながらおはようと言ってやった。時間は押している。こんなのに構ってる暇はない。元はといえば自分の寝坊のせいだったが、それすらもあの人が原因のように思えてきて、一刻も早く家を出たかった。
なのに、あの人はついてくる。
「あんた、学校でもそんなふうに言ってるの? 挨拶ぐらい顔を見て言いなさい」
「……」
「聞いてるの?」
今度ばかりは舌打ちを抑えられなかった。
「急いでんだよ。じゃあね」
ちょっと待ちなさい、こら! という声が聞こえた。無視して走り続けた。
家から学校までは約七キロ、駅だと三駅分くらいだ。歩けば一時間。自転車なら三十分。それを走る。こんな短い距離なのに電車を使うのはもったいないし、ちょうどいい朝のウォーミングアップにもなる。しかも、途中には絶対に避けられない激坂があり、おかげで足腰が格段に強くなった。その代わりに少しでも家を出るのが遅れると朝練にも遅刻してしまうが、逆にそれがいい。迫られている方が人間というのは伸びる生き物である。
いきなり飛ばしたのでばてるかと思ったが、体は激坂を越えるまでもってくれた。時間にもいくらか余裕ができたので、そこからはローペースを保持していく。すると、前方に同じ学校の制服を着た三つ編みの女子を見つけ、足音を忍ばせて近付いて行った。
「おはよう、深海さん」
「きゃっ」
ぽんと肩を叩くと、深海辜露は小さく飛び上がった。
「あ、月音くんかあ。びっくりしたあ」
「ごめんごめん。なんか久しぶりだったからさ。つい」
「月音くん、いつも朝早いもんね」
辜露は三つ編みをふわふわさせながら笑う。ふわふわというのもおかしな表現だが、彼女の髪は実際にふわふわしていて――もちろん、枝毛ではなく――、見た目の可愛さと相まって、月音はうさぎみたいだと思っていた。
「あれ、ジャージってことは、もしかして……」
「そう!」
腕を広げ、見せびらかすようにくるりとターンしてみせた。
「下りたんだ、許可! これで一日中汗臭い思いをしなくて済む!」
「よかったね! あと、夏の大会、おめでとう! 県四位とベストプレーヤー賞、だっけ」
「うん。中学の時からの目標だったからさ、すごい嬉しくて、ちょっと油断するとすぐににやけちゃうんだ」
ほら、と口元をひん曲げて目を三日月状にすると、辜露はぷふっ、と噴き出した。少し傷ついた顔をしてみると、慌てて手と首を振ってくる。
「ごめん、ごめんね。違うの、おかしいんじゃなくて」
「悲惨?」
「全然。いつもと雰囲気が違って新鮮だったの」
「それってやっぱり、悲惨?」
「もー、違うってば!」
あははと笑いが弾ける。笑いながら、頭の片隅でどうしてだろうと思った。辜露とは登校中にたまに会うだけの仲で、相手のことはよく知らないし、クラスも違う。たまたま落としたハンカチを拾っただけの縁が、こんなにも続き、こんなにも楽しく感じられる。辜露もきっとそう思っているに違いない。奇妙な関係だったが、居心地は最高だった。
「あ、いっけない、あと十分だ」
「えっ! ごめんね、引き留めちゃって。朝練頑張って」
月音は頷いたが、あることを思いついて辜露を眺めた。身長は月音と同じくらい、荷物は指定のバッグだけ。月音も背負った鞄一つだけだから、いけると思った時にはもう動いていた。
「ねえ、もう少し二人でいたいな」
「わっ、きゃっ!」
走り出す勢いを利用して一気に辜露を持ち上げる。お姫様抱っこをしながら残りの数百メートルを駆け抜けた。
校門に着くと、さすがに息が切れた。膝に手をついて呼吸を整えてから、背中をさすってくれた辜露に礼を言った。
「それにしても、深海さん軽いね。ちゃんと食べてる?」
「食べてるよ、三食きっちり。月音くんが力持ちだからそう思うの」
「鍛えてますから」
力こぶを作り、またひとしきり笑ってからそれじゃあねと手を振った。
「ありがとう。すごく楽しかった。またやりたい」
「ぼくも!」
まだ少し息がはあはあとしていたが、足取りは軽かった。このまま羽でも生えて飛び上がっていけそうだ――。
「おはようございます!」
「月音ギリギリ―」
「先輩達もう行っちゃったよ」
「ごめんごめん」
先輩の中には月音の活躍を快く思わない人もいる。だからか、同じ一年のみんなはわざわざ月音を待っててくれて、常に月音が一人にならないようにしてくれていた。そんなに気にすることでもないと思うが、そんな仲間達の気遣いにはとても感謝していた。
でも、実際はどうなんだろうなと思う。
月音を嫌っているのは、レギュラーを奪われた二年や三年だけではないはずだ。
「月音、また寝坊?」
「うん。今日は危なかった」
電車使えばいいのにとかみんなが口々に言うのを流していたが、その声だけは耳にこびりついて剥がすことができなかった。
「あたしはお母さんに起こしてもらってるよ。県が決まってからもっと早くなったじゃん? それまでも目覚まし五個総動員してたからさ、これはもう人力に頼るしかないと思って。つくねっちも頼んでみれば?」
「そうだね。そうしてみようかな」
うち、そんなに目覚ましないし。みんなが爆笑する。
その瞬間、月音は理解した。
辜露との時間が楽しいのは、仲がいいからじゃない。寧ろ反対だ。そこまで仲が良くないから、深い話にならない。家族の、母親の話にならない。
部活は好きだが、どこか窮屈で仕方がないのだった。
夕方。完全下校時刻を過ぎ、一部の部活動の生徒が急いで校門を出ていく中、月音は今朝と同じようにジャージで走り出した。
部活の後のランニングは辛い。行きの激坂登りが今度は下りになって、疲れた足にさらにダメージを与える。ここでだらだらすると足以外にも無駄な負荷がかかるので、なるべくテンポよく走らなければいけない。月音は生徒達の間を縫いながら、快調に、かつ事故を起こさないように飛ばしていった。
平坦に入ると、さびれた商店街を抜ける。アーケードのない、店のほとんどが住宅に変わっている通りだ。残っている店もたいていはシャッターが下りていて、この時間だともう全部閉じている。人も車も少ないので気に入っていた。
この日は少し違った。
漏れている明かりを見つけ、月音はなんとなく足を緩めた。確か、あそこは骨董品店だ。寄り道をする気はないが、空いている店を見るのは初めてで、走りながらちらっと覗いてみようかと思った。
そこで、扉が開いた。思わず声を上げていた。
出てきたのは、前生徒会副会長高城硝子だった。
硝子は月音の声に気付いたらしい。一緒に出てきた少女はシャッターを閉めてさっさと中に引っ込んだが、硝子は立ち止まって軽く頭を下げてきた。
「こんばんは、七崎さん」
「……」
一瞬で通り過ぎる。
途端に罪悪感が湧いてきて、息が乱れた。あっという間にペースが崩れて、赤信号に引っかかると、胸元を抑えてしゃがみ込んでしまった。
前はスポーツ以外で誰かを意識することなんてなかった。入学式や新入生歓迎会でてきぱきと働く生徒会を、硝子を、むしろすごいと思っていた。
でも、仕方がないじゃないか。
「ぼくの……せいじゃ、ない」
広報に生徒会の紹介が乗って、それを見たあの人は言ったのだ。
「すごいわね、高城さんて。PTAの集まりの時も聞いたけど、お家が華道をやっていて、頭もいいんでしょ。見るからにお嬢様って感じ」
「……なにそれ」
「何が?」
「当てつけてんの?」
「はあ? いいねって言ってるだけじゃない。女の子らしくて」
くっそ! と側にあった電柱を殴った。
月音が硝子を嫌うのはもはや必然だった。
だが、それは逆恨みみたいなもので。
信号が青になるが、走り出すことはできなかった。月音は暫くしゃがみ込んでいた。
後ろから足音が近づいてくる。
心配されるだろうか。いや、最近はそんな人はめったにいない。いたとしても一部の老人やおばさんくらいだろうが、この足音はもっと若者のような気がした。だとすれば、話しかけてこないに決まっている。それでもかけてきたら、それはおそらく――
「あ、あのっ、大丈夫ですかっ!?」
――変質者。
月音はクラウチングの要領で飛び出した。幸い信号はまだ青だった。一度止まったせいで体が少しぎくしゃくとしたが、月音は県下のトップ選手だ。変質者は男だったが、不意を打たれて月音に追いつけるはずがない。
と、思ったが。
「は、はやっ!? えっ、なんで!?」
「うえっ!?」
追いかけてきた。
しかも、かなり速い。
こんな時はどうするべきか。まずは助けを呼ぶ。却下だ。誰かが気付いても、その時には月音はもう数十メートル先だ。間に合わない。それなら。
十字路を真っ直ぐ行くと見せかけ、ばっ、と右にターンする。変質者はフェイントに見事に引っかかったようだ。足音が遠ざかったのを感じると、あとは死に物狂いで駅まで走っていった。
駅に着き、ホームの柱にもたれかかると、大量の汗が噴き出して髪や顎の先から滴ってくる。だいぶ涼しくなってきたが、この時期はまだ暑さが消え切っていない。熱気と合体した汗臭さはこれでもかというぐらいに本領発揮してきて、たちまち白い目を向けられた。その中に、どうやら咲坂の生徒はいないらしい。一気に緊張感から解放されて、そのままずるずると座り込みそうになった。
今日はこのまま電車で帰ろう。さすがに変質者もこんな所で近付いて来る訳がないし、たとえ電車にまで乗ってきたとしても、降りる時にはもう体調は回復しているだろうから、今度は余裕で撒ける自信があった。
ついつい笑顔になりながらタオルで汗を拭いていると、思考も落ち着いてきて、ここである疑問にたどり着く。
あれは、本当に変質者だったのだろうか。
ついパニックになって逃げてきたが、若者にだって親切な人間はいないことはないのだ。よくよく思い返せば、変態的発言もしていない。――していないからといって、変質者じゃないとは断定できないが。それに、だいたい変質者が声を掛けてくる理由が分からなかった。
七崎月音は、女の子らしさとは全く無縁なバスケオタクなのだから。
そこまで考えた時、肩に手が置かれた。はあはあという荒い息遣い。
「やっと、追い、ついた」
「ッ!」
はねのけるように振り向いて、初めて彼を見る。
彼、いや少年は苦しそうに肩を上下させていた。滝のような汗が制服に染みを作っていて、俯いた顔は真っ赤だ。制服は咲坂学園中等部。なんと後輩だった。
指定のバッグの他にサッカー部がよく使っているリュックサックを背負っている。月音と同じ頃に学校を出て、それでたまたま人のいない交差点にしゃがんでいるのを見つけたのかもしれない。声を掛けたのは、同じ学校の生徒だったからか。
そこまで理解すると、もう怖くはなかった。
置き場を失ってふらふらしている手を掴み、肩を組むように脇から支えてやる。
「ごめんね。ちょっと気が動転しちゃって。大丈夫?」
「は、はい……。すいません。なんか、逆転、しちゃって」
「気にしないで。ていうか、ぼくのせいだし」
少年は激しく首を振る。そこに電車がやって来て、ホームはあっという間にすっからかんになった。空いたベンチに連れて行き、荷物を下ろして座らせる。さすが、厳しいことで有名なサッカー部員なだけあって、喋れるようになるまでそうかからなかった。
「……あの、もう大丈夫です。すいませんっした。具合が悪かったのは、先輩の方だったのに」
「いやいや、謝るのは本当にこっちだって。勝手に変質者なんて決めつけちゃってさ。ごめんね。あと、ありがとう、心配してくれて」
少年はまたぶんぶん首を振って、恐縮したようにぺこぺこした。それどころか、感極まって目が潤んでいた。
「せ、先輩はやっぱり女バスの王子の七崎先輩なんですよねっ? うわあ、オレ、まさか先輩とこうして話せるなんて、なんかもう、ありがとうございますっ!」
「あ、ははは……どうも」
現在、高等部の校舎の外壁にはバスケ部の活躍を伝える垂れ幕が下がっている。おかげで月音は今ちょっとした有名人だ。最近はもうじろじろ見られることはなくなったが、久しぶりに、しかも面と向かって言われると少し気恥ずかしかった。
「ん……? 王子?」
「あっ」
両手で口をふさぎ、視線をうろうろとさまよわせる。なんとまあ、分かりやすい子だった。
「なにそれ?」
「え、あ、やー、その、なんでもありませんです、はい」
「教えてくれないと、ぼく、気になって気になってバスケに集中できなくなるかもしれないなあ」
「言いますごめんなさい。追、……知り合いの先輩から聞いたんです。男子よりもすっごくかっこいいって、今、高等部の女子の間で人気なんだって」
「誰が?」
「えっ、七崎先輩です」
黙り込んだ月音に、慌てて説明を加える。
「あ、あの、もちろんバスケをしている姿がかっこいいとかで、ちょっと大きいファンクラブができてるだけだそうですよ? で、そのクラブの人達が王子って呼んでいて」
「……」
「追、教えてくれた先輩は違いますっ。周りに流されない、しっかりしている素敵な方で、でも王子コールはそれに対抗せんばかりに全学年で猛威を振るっているのだとかで、オレそのうちもしかして女の人に負けちゃう? とか、もう気が気じゃなくて、あああああ! いまのなし、なしです! 忘れてください!」
「……んっ?」
ふと気が付くと、少年はまたもや赤い顔をして荒い呼吸を繰り返していた。
「どうしたの? また走った?」
「き、聞いてなかったんですか? あ、いえ、大丈夫ですっ。むしろ助かったというか……。あ、いえ、なんでもありません。すいませんっした。えへへ」
あまりにもほっとした様子で頭を掻くものだから、おかしくてつい噴き出してしまった。
「そういえば、きみ、名前は?」
「あっ、中等部三年の番田奏良です。サッカー部です」
それを聞いた途端、月音は全てに納得がいって噴き出すどころか爆笑した。
「ぶふっ、はっ、はははははっ! なんだ、きみ、『優しすぎの君』だったんだ!」
『優しすぎの君』とは、県の中学校サッカー大会で咲坂をいきなり敗北へと導いた選手である。
それは七月、ちょうど夏休みが始まる頃の出来事だった。県ベスト8入りを目指していた――トップを目指さない、その時点で咲坂が強くないことはまるわかりなのだが――、咲坂の初戦での悲劇だった。
試合終了まで残りわずか、同点のまま膠着状態が続いていた中、ついに敵のエースが動き出す。咲坂のディフェンダー達も粘り、そのままペナルティーエリアへと流れ込んだのだが、そこで味方のカットしたボールが高く上がった。双方の選手が同時にジャンプし、ヘディングを狙うも、その際無理をして跳んだためにお互いの頭がぶつかりそうになったのだ。
そこで一人の選手が間に入った。
彼は味方選手の方にタックルをかまし、何とか衝突を防いだ。ところが、その拍子にタックルされた選手の頭がボールを直撃、飛んで行ったボールは敵選手の足元に落ちて、そしてシュート――。
そこで、試合は終了した。
そして数日後の終業式、相手校からの感謝状が届いたことにより全校に知れ渡ることとなった……。
「うわはっ、ぶっ、がっはははははは!! ひっ、ひぃ、ひぃ、くっ、うぷぷぷぷっ……!」
「ひ、ひどいっ、ひどすぎるっ! そんなに笑わなくてもいいじゃないですかあっ!」
ていうか、本当に王子なんですか!? 笑い方がものすごいっ! と叫んでいるが、笑いの発作が止まらないので何の反応も返せない。ようやく収まると、奏良は恨めしそうに涙目を向けていた。
「ごめんごめん、泣くな泣くな」
「泣いてませんっ!」
「鼻水出てるよ」
「出てま……ずびび」
ティッシュを差し出すと、案外素直に受け取ってくれた。なんだか大きな子犬を相手にしている気分になって、思わずにこにことしてしまった。
それから、やって来た電車に乗った。座ろうかと訊くと、奏良は首を振った。電車が動き出して暫く経ってから、月音はさっきから気になっていたことを尋ねてみた。
「でもさ、なんで助けたの?」
「へ?」
「例の試合だよ。スポーツをしている以上、怪我は付き物なんだからさ。相手が反則しかけてきてたわけでもなかったんでしょ? もしかしたら、当たらなかったかもしれない。よく動いたよね」
「あ、はい。オレもそう思います」
「だから、なんで?」
「うーん。あんまりよく覚えてないんですけど、たぶん、長年の習慣が……」
「は?」
「はっ! じゃなくて、反射的に、です! そうです!」
怪しさ満載だった。
だが、まあ、無理に聞き出すようなことでもない。初めて会ったんだし、いきなり詮索しては失礼だ。そう、仲良くなればまた聞けるチャンスはあるだろうし、そのうち深い話にだって……。
月音は愕然とした。
ぼくは、この子になら家の話をしてもいいと思ってるのか。
「――ぱい、先輩?」
我に返る。奏良は心配そうに月音の顔の前で手を振っていた。何故か親指だけ折っている。
「……四」
「正解っ」
あんまり嬉しそうに笑うものだから、月音は恥ずかしくなって奏良の頭を叩いた。
二人は同じ駅で降りた。改札を出て、手を振って別れた。
小さな駅だったから、帰るには必ず踏切を渡らねばならない。月音は引っかかるまいとダッシュしたが、間に合わなかった。足踏みをしながら電車の通り過ぎるのを待っていると、自分たちが乗ってきたのと逆の電車がのろのろと現れた。
三号車の三つ目のドアの所に、彼はいた。
「えっ……」
まさか月音の声が聞こえた訳ではないだろう。だが、一瞬、確かに目が合った。ぎくりとした表情はあっという間に遠くへ行ってしまった。
電車はいなくなり、月音は再び走り出す。
走りながら、考えた。考えたと言いながら、答えはもう出ていた。そもそもだ。彼は電車通学をしていないから、あの暗い商店街でうずくまる月音を見つけたのだ。
『優しすぎの君』。
優しくて優しくて、反吐が出そう。
呼吸がまた乱れる。思い通りにいかなくて、悔しくて堪らなかった。
……うたいましょう ユメのように
……おどりましょう ユメのように
目覚ましを乱暴に置き、毛布を蹴っ飛ばすと、急いで寝癖を整えてジャージに着替えた。ジャージ登校はバスケ部の、正確には自分の特権だった。つい口元がにやけたが、今はだらだらしている場合ではない。鞄を引っ掴み、台所に駆け込む。そこで、足が止まった。
「あっ……」
すぐに棚に向かい、ゼリー飲料の補給食を二、三個取り、さっさと出ていこうとする。
「ちょっと、おはようぐらい言いなさいよ」
どうして、目が合った時に言わないんだ。舌打ちを堪え、歩きながらおはようと言ってやった。時間は押している。こんなのに構ってる暇はない。元はといえば自分の寝坊のせいだったが、それすらもあの人が原因のように思えてきて、一刻も早く家を出たかった。
なのに、あの人はついてくる。
「あんた、学校でもそんなふうに言ってるの? 挨拶ぐらい顔を見て言いなさい」
「……」
「聞いてるの?」
今度ばかりは舌打ちを抑えられなかった。
「急いでんだよ。じゃあね」
ちょっと待ちなさい、こら! という声が聞こえた。無視して走り続けた。
家から学校までは約七キロ、駅だと三駅分くらいだ。歩けば一時間。自転車なら三十分。それを走る。こんな短い距離なのに電車を使うのはもったいないし、ちょうどいい朝のウォーミングアップにもなる。しかも、途中には絶対に避けられない激坂があり、おかげで足腰が格段に強くなった。その代わりに少しでも家を出るのが遅れると朝練にも遅刻してしまうが、逆にそれがいい。迫られている方が人間というのは伸びる生き物である。
いきなり飛ばしたのでばてるかと思ったが、体は激坂を越えるまでもってくれた。時間にもいくらか余裕ができたので、そこからはローペースを保持していく。すると、前方に同じ学校の制服を着た三つ編みの女子を見つけ、足音を忍ばせて近付いて行った。
「おはよう、深海さん」
「きゃっ」
ぽんと肩を叩くと、深海辜露は小さく飛び上がった。
「あ、月音くんかあ。びっくりしたあ」
「ごめんごめん。なんか久しぶりだったからさ。つい」
「月音くん、いつも朝早いもんね」
辜露は三つ編みをふわふわさせながら笑う。ふわふわというのもおかしな表現だが、彼女の髪は実際にふわふわしていて――もちろん、枝毛ではなく――、見た目の可愛さと相まって、月音はうさぎみたいだと思っていた。
「あれ、ジャージってことは、もしかして……」
「そう!」
腕を広げ、見せびらかすようにくるりとターンしてみせた。
「下りたんだ、許可! これで一日中汗臭い思いをしなくて済む!」
「よかったね! あと、夏の大会、おめでとう! 県四位とベストプレーヤー賞、だっけ」
「うん。中学の時からの目標だったからさ、すごい嬉しくて、ちょっと油断するとすぐににやけちゃうんだ」
ほら、と口元をひん曲げて目を三日月状にすると、辜露はぷふっ、と噴き出した。少し傷ついた顔をしてみると、慌てて手と首を振ってくる。
「ごめん、ごめんね。違うの、おかしいんじゃなくて」
「悲惨?」
「全然。いつもと雰囲気が違って新鮮だったの」
「それってやっぱり、悲惨?」
「もー、違うってば!」
あははと笑いが弾ける。笑いながら、頭の片隅でどうしてだろうと思った。辜露とは登校中にたまに会うだけの仲で、相手のことはよく知らないし、クラスも違う。たまたま落としたハンカチを拾っただけの縁が、こんなにも続き、こんなにも楽しく感じられる。辜露もきっとそう思っているに違いない。奇妙な関係だったが、居心地は最高だった。
「あ、いっけない、あと十分だ」
「えっ! ごめんね、引き留めちゃって。朝練頑張って」
月音は頷いたが、あることを思いついて辜露を眺めた。身長は月音と同じくらい、荷物は指定のバッグだけ。月音も背負った鞄一つだけだから、いけると思った時にはもう動いていた。
「ねえ、もう少し二人でいたいな」
「わっ、きゃっ!」
走り出す勢いを利用して一気に辜露を持ち上げる。お姫様抱っこをしながら残りの数百メートルを駆け抜けた。
校門に着くと、さすがに息が切れた。膝に手をついて呼吸を整えてから、背中をさすってくれた辜露に礼を言った。
「それにしても、深海さん軽いね。ちゃんと食べてる?」
「食べてるよ、三食きっちり。月音くんが力持ちだからそう思うの」
「鍛えてますから」
力こぶを作り、またひとしきり笑ってからそれじゃあねと手を振った。
「ありがとう。すごく楽しかった。またやりたい」
「ぼくも!」
まだ少し息がはあはあとしていたが、足取りは軽かった。このまま羽でも生えて飛び上がっていけそうだ――。
「おはようございます!」
「月音ギリギリ―」
「先輩達もう行っちゃったよ」
「ごめんごめん」
先輩の中には月音の活躍を快く思わない人もいる。だからか、同じ一年のみんなはわざわざ月音を待っててくれて、常に月音が一人にならないようにしてくれていた。そんなに気にすることでもないと思うが、そんな仲間達の気遣いにはとても感謝していた。
でも、実際はどうなんだろうなと思う。
月音を嫌っているのは、レギュラーを奪われた二年や三年だけではないはずだ。
「月音、また寝坊?」
「うん。今日は危なかった」
電車使えばいいのにとかみんなが口々に言うのを流していたが、その声だけは耳にこびりついて剥がすことができなかった。
「あたしはお母さんに起こしてもらってるよ。県が決まってからもっと早くなったじゃん? それまでも目覚まし五個総動員してたからさ、これはもう人力に頼るしかないと思って。つくねっちも頼んでみれば?」
「そうだね。そうしてみようかな」
うち、そんなに目覚ましないし。みんなが爆笑する。
その瞬間、月音は理解した。
辜露との時間が楽しいのは、仲がいいからじゃない。寧ろ反対だ。そこまで仲が良くないから、深い話にならない。家族の、母親の話にならない。
部活は好きだが、どこか窮屈で仕方がないのだった。
夕方。完全下校時刻を過ぎ、一部の部活動の生徒が急いで校門を出ていく中、月音は今朝と同じようにジャージで走り出した。
部活の後のランニングは辛い。行きの激坂登りが今度は下りになって、疲れた足にさらにダメージを与える。ここでだらだらすると足以外にも無駄な負荷がかかるので、なるべくテンポよく走らなければいけない。月音は生徒達の間を縫いながら、快調に、かつ事故を起こさないように飛ばしていった。
平坦に入ると、さびれた商店街を抜ける。アーケードのない、店のほとんどが住宅に変わっている通りだ。残っている店もたいていはシャッターが下りていて、この時間だともう全部閉じている。人も車も少ないので気に入っていた。
この日は少し違った。
漏れている明かりを見つけ、月音はなんとなく足を緩めた。確か、あそこは骨董品店だ。寄り道をする気はないが、空いている店を見るのは初めてで、走りながらちらっと覗いてみようかと思った。
そこで、扉が開いた。思わず声を上げていた。
出てきたのは、前生徒会副会長高城硝子だった。
硝子は月音の声に気付いたらしい。一緒に出てきた少女はシャッターを閉めてさっさと中に引っ込んだが、硝子は立ち止まって軽く頭を下げてきた。
「こんばんは、七崎さん」
「……」
一瞬で通り過ぎる。
途端に罪悪感が湧いてきて、息が乱れた。あっという間にペースが崩れて、赤信号に引っかかると、胸元を抑えてしゃがみ込んでしまった。
前はスポーツ以外で誰かを意識することなんてなかった。入学式や新入生歓迎会でてきぱきと働く生徒会を、硝子を、むしろすごいと思っていた。
でも、仕方がないじゃないか。
「ぼくの……せいじゃ、ない」
広報に生徒会の紹介が乗って、それを見たあの人は言ったのだ。
「すごいわね、高城さんて。PTAの集まりの時も聞いたけど、お家が華道をやっていて、頭もいいんでしょ。見るからにお嬢様って感じ」
「……なにそれ」
「何が?」
「当てつけてんの?」
「はあ? いいねって言ってるだけじゃない。女の子らしくて」
くっそ! と側にあった電柱を殴った。
月音が硝子を嫌うのはもはや必然だった。
だが、それは逆恨みみたいなもので。
信号が青になるが、走り出すことはできなかった。月音は暫くしゃがみ込んでいた。
後ろから足音が近づいてくる。
心配されるだろうか。いや、最近はそんな人はめったにいない。いたとしても一部の老人やおばさんくらいだろうが、この足音はもっと若者のような気がした。だとすれば、話しかけてこないに決まっている。それでもかけてきたら、それはおそらく――
「あ、あのっ、大丈夫ですかっ!?」
――変質者。
月音はクラウチングの要領で飛び出した。幸い信号はまだ青だった。一度止まったせいで体が少しぎくしゃくとしたが、月音は県下のトップ選手だ。変質者は男だったが、不意を打たれて月音に追いつけるはずがない。
と、思ったが。
「は、はやっ!? えっ、なんで!?」
「うえっ!?」
追いかけてきた。
しかも、かなり速い。
こんな時はどうするべきか。まずは助けを呼ぶ。却下だ。誰かが気付いても、その時には月音はもう数十メートル先だ。間に合わない。それなら。
十字路を真っ直ぐ行くと見せかけ、ばっ、と右にターンする。変質者はフェイントに見事に引っかかったようだ。足音が遠ざかったのを感じると、あとは死に物狂いで駅まで走っていった。
駅に着き、ホームの柱にもたれかかると、大量の汗が噴き出して髪や顎の先から滴ってくる。だいぶ涼しくなってきたが、この時期はまだ暑さが消え切っていない。熱気と合体した汗臭さはこれでもかというぐらいに本領発揮してきて、たちまち白い目を向けられた。その中に、どうやら咲坂の生徒はいないらしい。一気に緊張感から解放されて、そのままずるずると座り込みそうになった。
今日はこのまま電車で帰ろう。さすがに変質者もこんな所で近付いて来る訳がないし、たとえ電車にまで乗ってきたとしても、降りる時にはもう体調は回復しているだろうから、今度は余裕で撒ける自信があった。
ついつい笑顔になりながらタオルで汗を拭いていると、思考も落ち着いてきて、ここである疑問にたどり着く。
あれは、本当に変質者だったのだろうか。
ついパニックになって逃げてきたが、若者にだって親切な人間はいないことはないのだ。よくよく思い返せば、変態的発言もしていない。――していないからといって、変質者じゃないとは断定できないが。それに、だいたい変質者が声を掛けてくる理由が分からなかった。
七崎月音は、女の子らしさとは全く無縁なバスケオタクなのだから。
そこまで考えた時、肩に手が置かれた。はあはあという荒い息遣い。
「やっと、追い、ついた」
「ッ!」
はねのけるように振り向いて、初めて彼を見る。
彼、いや少年は苦しそうに肩を上下させていた。滝のような汗が制服に染みを作っていて、俯いた顔は真っ赤だ。制服は咲坂学園中等部。なんと後輩だった。
指定のバッグの他にサッカー部がよく使っているリュックサックを背負っている。月音と同じ頃に学校を出て、それでたまたま人のいない交差点にしゃがんでいるのを見つけたのかもしれない。声を掛けたのは、同じ学校の生徒だったからか。
そこまで理解すると、もう怖くはなかった。
置き場を失ってふらふらしている手を掴み、肩を組むように脇から支えてやる。
「ごめんね。ちょっと気が動転しちゃって。大丈夫?」
「は、はい……。すいません。なんか、逆転、しちゃって」
「気にしないで。ていうか、ぼくのせいだし」
少年は激しく首を振る。そこに電車がやって来て、ホームはあっという間にすっからかんになった。空いたベンチに連れて行き、荷物を下ろして座らせる。さすが、厳しいことで有名なサッカー部員なだけあって、喋れるようになるまでそうかからなかった。
「……あの、もう大丈夫です。すいませんっした。具合が悪かったのは、先輩の方だったのに」
「いやいや、謝るのは本当にこっちだって。勝手に変質者なんて決めつけちゃってさ。ごめんね。あと、ありがとう、心配してくれて」
少年はまたぶんぶん首を振って、恐縮したようにぺこぺこした。それどころか、感極まって目が潤んでいた。
「せ、先輩はやっぱり女バスの王子の七崎先輩なんですよねっ? うわあ、オレ、まさか先輩とこうして話せるなんて、なんかもう、ありがとうございますっ!」
「あ、ははは……どうも」
現在、高等部の校舎の外壁にはバスケ部の活躍を伝える垂れ幕が下がっている。おかげで月音は今ちょっとした有名人だ。最近はもうじろじろ見られることはなくなったが、久しぶりに、しかも面と向かって言われると少し気恥ずかしかった。
「ん……? 王子?」
「あっ」
両手で口をふさぎ、視線をうろうろとさまよわせる。なんとまあ、分かりやすい子だった。
「なにそれ?」
「え、あ、やー、その、なんでもありませんです、はい」
「教えてくれないと、ぼく、気になって気になってバスケに集中できなくなるかもしれないなあ」
「言いますごめんなさい。追、……知り合いの先輩から聞いたんです。男子よりもすっごくかっこいいって、今、高等部の女子の間で人気なんだって」
「誰が?」
「えっ、七崎先輩です」
黙り込んだ月音に、慌てて説明を加える。
「あ、あの、もちろんバスケをしている姿がかっこいいとかで、ちょっと大きいファンクラブができてるだけだそうですよ? で、そのクラブの人達が王子って呼んでいて」
「……」
「追、教えてくれた先輩は違いますっ。周りに流されない、しっかりしている素敵な方で、でも王子コールはそれに対抗せんばかりに全学年で猛威を振るっているのだとかで、オレそのうちもしかして女の人に負けちゃう? とか、もう気が気じゃなくて、あああああ! いまのなし、なしです! 忘れてください!」
「……んっ?」
ふと気が付くと、少年はまたもや赤い顔をして荒い呼吸を繰り返していた。
「どうしたの? また走った?」
「き、聞いてなかったんですか? あ、いえ、大丈夫ですっ。むしろ助かったというか……。あ、いえ、なんでもありません。すいませんっした。えへへ」
あまりにもほっとした様子で頭を掻くものだから、おかしくてつい噴き出してしまった。
「そういえば、きみ、名前は?」
「あっ、中等部三年の番田奏良です。サッカー部です」
それを聞いた途端、月音は全てに納得がいって噴き出すどころか爆笑した。
「ぶふっ、はっ、はははははっ! なんだ、きみ、『優しすぎの君』だったんだ!」
『優しすぎの君』とは、県の中学校サッカー大会で咲坂をいきなり敗北へと導いた選手である。
それは七月、ちょうど夏休みが始まる頃の出来事だった。県ベスト8入りを目指していた――トップを目指さない、その時点で咲坂が強くないことはまるわかりなのだが――、咲坂の初戦での悲劇だった。
試合終了まで残りわずか、同点のまま膠着状態が続いていた中、ついに敵のエースが動き出す。咲坂のディフェンダー達も粘り、そのままペナルティーエリアへと流れ込んだのだが、そこで味方のカットしたボールが高く上がった。双方の選手が同時にジャンプし、ヘディングを狙うも、その際無理をして跳んだためにお互いの頭がぶつかりそうになったのだ。
そこで一人の選手が間に入った。
彼は味方選手の方にタックルをかまし、何とか衝突を防いだ。ところが、その拍子にタックルされた選手の頭がボールを直撃、飛んで行ったボールは敵選手の足元に落ちて、そしてシュート――。
そこで、試合は終了した。
そして数日後の終業式、相手校からの感謝状が届いたことにより全校に知れ渡ることとなった……。
「うわはっ、ぶっ、がっはははははは!! ひっ、ひぃ、ひぃ、くっ、うぷぷぷぷっ……!」
「ひ、ひどいっ、ひどすぎるっ! そんなに笑わなくてもいいじゃないですかあっ!」
ていうか、本当に王子なんですか!? 笑い方がものすごいっ! と叫んでいるが、笑いの発作が止まらないので何の反応も返せない。ようやく収まると、奏良は恨めしそうに涙目を向けていた。
「ごめんごめん、泣くな泣くな」
「泣いてませんっ!」
「鼻水出てるよ」
「出てま……ずびび」
ティッシュを差し出すと、案外素直に受け取ってくれた。なんだか大きな子犬を相手にしている気分になって、思わずにこにことしてしまった。
それから、やって来た電車に乗った。座ろうかと訊くと、奏良は首を振った。電車が動き出して暫く経ってから、月音はさっきから気になっていたことを尋ねてみた。
「でもさ、なんで助けたの?」
「へ?」
「例の試合だよ。スポーツをしている以上、怪我は付き物なんだからさ。相手が反則しかけてきてたわけでもなかったんでしょ? もしかしたら、当たらなかったかもしれない。よく動いたよね」
「あ、はい。オレもそう思います」
「だから、なんで?」
「うーん。あんまりよく覚えてないんですけど、たぶん、長年の習慣が……」
「は?」
「はっ! じゃなくて、反射的に、です! そうです!」
怪しさ満載だった。
だが、まあ、無理に聞き出すようなことでもない。初めて会ったんだし、いきなり詮索しては失礼だ。そう、仲良くなればまた聞けるチャンスはあるだろうし、そのうち深い話にだって……。
月音は愕然とした。
ぼくは、この子になら家の話をしてもいいと思ってるのか。
「――ぱい、先輩?」
我に返る。奏良は心配そうに月音の顔の前で手を振っていた。何故か親指だけ折っている。
「……四」
「正解っ」
あんまり嬉しそうに笑うものだから、月音は恥ずかしくなって奏良の頭を叩いた。
二人は同じ駅で降りた。改札を出て、手を振って別れた。
小さな駅だったから、帰るには必ず踏切を渡らねばならない。月音は引っかかるまいとダッシュしたが、間に合わなかった。足踏みをしながら電車の通り過ぎるのを待っていると、自分たちが乗ってきたのと逆の電車がのろのろと現れた。
三号車の三つ目のドアの所に、彼はいた。
「えっ……」
まさか月音の声が聞こえた訳ではないだろう。だが、一瞬、確かに目が合った。ぎくりとした表情はあっという間に遠くへ行ってしまった。
電車はいなくなり、月音は再び走り出す。
走りながら、考えた。考えたと言いながら、答えはもう出ていた。そもそもだ。彼は電車通学をしていないから、あの暗い商店街でうずくまる月音を見つけたのだ。
『優しすぎの君』。
優しくて優しくて、反吐が出そう。
呼吸がまた乱れる。思い通りにいかなくて、悔しくて堪らなかった。
……うたいましょう ユメのように
……おどりましょう ユメのように
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