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第三章 転生編
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アルバ王国は、建国五百年目を迎えた大国で、この星の最初の人族国家である。
アルシオン・フォン・アルバ初代国王は、優しく誠実で六属性に適正を持っている。更に四百九十六年前に起きた魔物大量発生事件の際に、魔物を一掃した巨大魔法陣展開に関わっており、今なお語り継がれる伝説となっている。
巨大魔法陣展開については、当時それを間近で見ていたアクロ・グランツ様が詳細を把握している為、アルバ魔法学園の教科書にも記載された。
『巨大魔法陣には三人関わっているわ。一人目はアルシオンで、六属性の魔法陣。二人目は、アルシオンの執事テルトで、四属性の魔法陣。最後の一人はアースで、六属性色の帯のような光を収束させていたの。普通の広範囲魔法なら魔物だけでなく、辺り一面魔法の餌食になる。だけど夢を見ているようで、魔物だけを殲滅していたわ。アースが使ったのは魔法じゃない何かよ』
教科書にもそう記載されている。
この事件以降、大きな事件などは起こっていない。五百年も経つのだから何かはあるだろうと、思っていたけど……。
「どうして俺はまた王国にいるんだろう」
そう、またなんだ。
前の、アルシオンの人生は終わっている。お爺さんになったし、アースのいる神界で自分が死んだ後を少しの間見ていた。
おかしい。何かある。そう思わずにはいられない。何故ならこの世界の神様はアースだからだ。
『またね!』
と、消え行く俺達に彼は手を振りながら言った。
「またね……か」
恐らく、こうなることを知っていた、もしくは仕向けたか。どちらにせよ俺は生を受けた。しかも、同じ王族で同じ六属性適正。
不安しかない。
その一言に尽きる。
記憶が蘇ったのは今朝で、目が覚めたら俺になっていた。この身体の持ち主は風邪で寝込んでいたらしく、確認に来た老執事が驚いていたのを覚えている。かなりの高熱で生死を彷徨っていたとか。
俺の名は、ルシオン・フォン・アルバ第一王子。王族で六属性だから名前を似せたという理由だ。安直な考えだと思う。
「ルシオン様、少し見たら城に戻りますからね?」
「あ、あぁ」
考えごとをしていると、護衛の近衛騎士に釘を刺された。
「像のモデルになったアース様って、今は何をしてるんだろう」
「ルシオン様、アース様は人族ですよ?さすがに五百年も生きているとは思えません」
「でも、食の棚の人達は長生きって聞くよ?五百年生きてる人がいるらしいよ」
「ぐっ」
言葉に詰まる近衛騎士は、どう返そうかと悩んでいる様子だった。が、彼にとっては運が良く、馬車が停止して目的地へと到着した。
普段の噴水広場には場違いの豪華な馬車が止まったことで、辺りはざわめいた。
馬車から降りて来た人物を見た人々は、目を丸くする。
「へぇ、綺麗だね」
周りのことなどお構いなしに、ルシオンの口からそんな言葉が呟かれた。
陽の光に輝く青の鉱石、アース鉱石で作られたアース像を見上げるルシオン。彼の表情は何故か、懐かしい人を見るようであった。
「トルテー、帰るぞー」
誰かが呼ぶ声を聞いた。
「トルテ?」
ルシオンは耳に入った言葉がした方向へ、顔を向けた。
また、自分の名を呼ばれた本人もルシオンの方を見る。
「トルテ…?トルテ…転生…!もしやテルトか!」
困惑顔のトルテ近衛騎士の制止を振り切って近づいたルシオンは、彼に確認するように尋ねた。
「アースが我々に最後に言った言葉は?」
「またね…です。アルシオン様」
彼は驚いた顔で答えながら、固い握手を交わした。
アルシオン・フォン・アルバ初代国王は、優しく誠実で六属性に適正を持っている。更に四百九十六年前に起きた魔物大量発生事件の際に、魔物を一掃した巨大魔法陣展開に関わっており、今なお語り継がれる伝説となっている。
巨大魔法陣展開については、当時それを間近で見ていたアクロ・グランツ様が詳細を把握している為、アルバ魔法学園の教科書にも記載された。
『巨大魔法陣には三人関わっているわ。一人目はアルシオンで、六属性の魔法陣。二人目は、アルシオンの執事テルトで、四属性の魔法陣。最後の一人はアースで、六属性色の帯のような光を収束させていたの。普通の広範囲魔法なら魔物だけでなく、辺り一面魔法の餌食になる。だけど夢を見ているようで、魔物だけを殲滅していたわ。アースが使ったのは魔法じゃない何かよ』
教科書にもそう記載されている。
この事件以降、大きな事件などは起こっていない。五百年も経つのだから何かはあるだろうと、思っていたけど……。
「どうして俺はまた王国にいるんだろう」
そう、またなんだ。
前の、アルシオンの人生は終わっている。お爺さんになったし、アースのいる神界で自分が死んだ後を少しの間見ていた。
おかしい。何かある。そう思わずにはいられない。何故ならこの世界の神様はアースだからだ。
『またね!』
と、消え行く俺達に彼は手を振りながら言った。
「またね……か」
恐らく、こうなることを知っていた、もしくは仕向けたか。どちらにせよ俺は生を受けた。しかも、同じ王族で同じ六属性適正。
不安しかない。
その一言に尽きる。
記憶が蘇ったのは今朝で、目が覚めたら俺になっていた。この身体の持ち主は風邪で寝込んでいたらしく、確認に来た老執事が驚いていたのを覚えている。かなりの高熱で生死を彷徨っていたとか。
俺の名は、ルシオン・フォン・アルバ第一王子。王族で六属性だから名前を似せたという理由だ。安直な考えだと思う。
「ルシオン様、少し見たら城に戻りますからね?」
「あ、あぁ」
考えごとをしていると、護衛の近衛騎士に釘を刺された。
「像のモデルになったアース様って、今は何をしてるんだろう」
「ルシオン様、アース様は人族ですよ?さすがに五百年も生きているとは思えません」
「でも、食の棚の人達は長生きって聞くよ?五百年生きてる人がいるらしいよ」
「ぐっ」
言葉に詰まる近衛騎士は、どう返そうかと悩んでいる様子だった。が、彼にとっては運が良く、馬車が停止して目的地へと到着した。
普段の噴水広場には場違いの豪華な馬車が止まったことで、辺りはざわめいた。
馬車から降りて来た人物を見た人々は、目を丸くする。
「へぇ、綺麗だね」
周りのことなどお構いなしに、ルシオンの口からそんな言葉が呟かれた。
陽の光に輝く青の鉱石、アース鉱石で作られたアース像を見上げるルシオン。彼の表情は何故か、懐かしい人を見るようであった。
「トルテー、帰るぞー」
誰かが呼ぶ声を聞いた。
「トルテ?」
ルシオンは耳に入った言葉がした方向へ、顔を向けた。
また、自分の名を呼ばれた本人もルシオンの方を見る。
「トルテ…?トルテ…転生…!もしやテルトか!」
困惑顔のトルテ近衛騎士の制止を振り切って近づいたルシオンは、彼に確認するように尋ねた。
「アースが我々に最後に言った言葉は?」
「またね…です。アルシオン様」
彼は驚いた顔で答えながら、固い握手を交わした。
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