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第三章 転生編
報告と呼び出し
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私の名は、アランチョーネ。隣の大陸にある小国ビヤンコ出身で、現在王国の近衛騎士として第一王子ルシオン様の護衛任務をしています。
アルバ魔法学園国防科Sクラスを卒業。適正魔法は土属性だけですが、剣の腕と記憶力を評価されたそうです。
近衛騎士団は国王や王族の護衛、アルバ王国が関わることで活動します。騎士はマントの色で判断出来、近衛騎士団は一番上の白のマントです。第一騎士団は青、第二騎士団は緑、第三騎士団は赤で問題児の集まりと聞きます。
今日の報告は、ルシオン様のお願いで向かった噴水広場での出来ごとです。
近衛騎士団長の元で、ルシオン様の表情や言動を細かに報告しました。
「その、トルテという者は把握しているか?」
「はっ。第二騎士団所属で、現在は衛兵として夜間の巡回任務をしている、グラウの弟になります。トルテ少年は、学園の国防科Aクラスに所属し希少な四属性魔法を扱える他、Aクラス内で成績トップを維持しています」
「このことは陛下に報告する。アランチョーネ退出していいぞ」
「失礼しました」
騎士団長の部屋を離れ、自室へと向かうその足取りは少し重く感じた。
◆
昼を少し過ぎた頃、呼び出しを受けたトルテは王城にいた。彼は昨日のことで呼ばれたのだろうと考えた。それは当たっており、騎士団長から報告された国王陛下はルシオンに話を聞いた。しかし、頑なに口を閉ざしていた為、トルテを呼ぶこととなったのだ。
場所は、謁見の間ではなく応接室で、入口から遠い位置に国王陛下、その隣にルシオンが座る。
「よい。早速だが南西区に住む平民トルテに聞く。昨日、初対面であるにもかかわらず何故、ルシオン・フォン・アルバ第一王子と握手を交わした。偽りなく答えよ」
「はっ。失礼ながら申し上げますが、私はルシオン様と握手を交わしてはおりません」
国王陛下側にいた宰相が声を荒らげる。
「嘘を申すなっ。貴様が、ルシオン殿下と握手を交わしているのを周囲の者が見ておる!」
「ルシオン、お前はどうだ。このトルテと握手を交わしたのだろう?」
「いえ、俺は平民のトルテと握手を交わした訳ではありません」
その発言に宰相は「やれやれ」とため息を吐く。
「殿下、騎士団長から報告は受けております。あまり陛下をからかうのは止めた方がよろしいかと」
「そうか、宰相という地位にいながらも、わからないのか。なら、宰相殿でもわかるように言い直そう」
ギロッと睨みつける宰相を無視して、ルシオンは言い放った。
「俺達は、前世の友と再開の握手を交わしたんだ。今世を生きていたトルテとルシオンではない。彼は、五百年前の友であるテルト・セルヴォだ」
アルバ魔法学園国防科Sクラスを卒業。適正魔法は土属性だけですが、剣の腕と記憶力を評価されたそうです。
近衛騎士団は国王や王族の護衛、アルバ王国が関わることで活動します。騎士はマントの色で判断出来、近衛騎士団は一番上の白のマントです。第一騎士団は青、第二騎士団は緑、第三騎士団は赤で問題児の集まりと聞きます。
今日の報告は、ルシオン様のお願いで向かった噴水広場での出来ごとです。
近衛騎士団長の元で、ルシオン様の表情や言動を細かに報告しました。
「その、トルテという者は把握しているか?」
「はっ。第二騎士団所属で、現在は衛兵として夜間の巡回任務をしている、グラウの弟になります。トルテ少年は、学園の国防科Aクラスに所属し希少な四属性魔法を扱える他、Aクラス内で成績トップを維持しています」
「このことは陛下に報告する。アランチョーネ退出していいぞ」
「失礼しました」
騎士団長の部屋を離れ、自室へと向かうその足取りは少し重く感じた。
◆
昼を少し過ぎた頃、呼び出しを受けたトルテは王城にいた。彼は昨日のことで呼ばれたのだろうと考えた。それは当たっており、騎士団長から報告された国王陛下はルシオンに話を聞いた。しかし、頑なに口を閉ざしていた為、トルテを呼ぶこととなったのだ。
場所は、謁見の間ではなく応接室で、入口から遠い位置に国王陛下、その隣にルシオンが座る。
「よい。早速だが南西区に住む平民トルテに聞く。昨日、初対面であるにもかかわらず何故、ルシオン・フォン・アルバ第一王子と握手を交わした。偽りなく答えよ」
「はっ。失礼ながら申し上げますが、私はルシオン様と握手を交わしてはおりません」
国王陛下側にいた宰相が声を荒らげる。
「嘘を申すなっ。貴様が、ルシオン殿下と握手を交わしているのを周囲の者が見ておる!」
「ルシオン、お前はどうだ。このトルテと握手を交わしたのだろう?」
「いえ、俺は平民のトルテと握手を交わした訳ではありません」
その発言に宰相は「やれやれ」とため息を吐く。
「殿下、騎士団長から報告は受けております。あまり陛下をからかうのは止めた方がよろしいかと」
「そうか、宰相という地位にいながらも、わからないのか。なら、宰相殿でもわかるように言い直そう」
ギロッと睨みつける宰相を無視して、ルシオンは言い放った。
「俺達は、前世の友と再開の握手を交わしたんだ。今世を生きていたトルテとルシオンではない。彼は、五百年前の友であるテルト・セルヴォだ」
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