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第三章 転生編
ドラゴン
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「面倒なことってどういうことなんだ?」
西の山まで三分の一程走った休憩時に、トルテとルシオンは真剣な表情で僕の返答を待っていた。
「僕が神界から降りて来た二つ目の理由を覚えてる?あの時僕は、テイマースキル…条件が揃えば魔物を従わせられるスキルを一人の少年に与えて降りて来たんだ。名前はタイヨウで、二人と同じ転生者なんだ。別の星からの転生者で、テイマースキルを求めた時に彼は、”ドラゴン”を真っ先に必要としていた」
ハッと何かを察してルシオンが口を開く。
「まさか、ワイバーンが群れた原因はドラゴン……?」
「その可能性はあると思う。それともう一つあって、五百年前に開いた、各属性の大精霊が集まる報告会で火の大精霊タイキが、こう言ってたんだ。『報告ってもなぁ~。まぁ、黒龍が生まれたことぐらいか。五百年くらい経ったら何か起こるんじゃね?』で、今年はちょうど五百年目になる」
トルテとルシオンは、雷に撃たれたかのような表情で固まっていた。タイヨウが無謀な賭けに挑むとは思えない。なので、彼のスキル目当てで起こったことだと判断した。
しかし、タイヨウはアルバ王国の裏側の大陸にいるハズで、こんな近くに…それも西の山にいるとは考えにくい。理由があって移動して来たのなら、合流して早々にテイムしなければ、最悪アルバ王国が巻き込まれてしまう。
そこまで話すと意を決した二人は、スッと立ち上がり催促するように言う。
「アース行こう。王国を巻き込みたくない」
「無茶はしない。まずはタイヨウとの合流だ」
僕らはまた、駆け出した。
◆
その頃、何も知らないタイヨウは……。
キングスライムに乗って、西の山を滑り落ちていた。ワイバーンの群れから離れるために、急斜面を落ちる選択をしたタイヨウだったが、これが間違いだと落ちてる最中に気づいた。
キングさんに乗せてもらって、斜面を跳ねながら降りる方が良かったなぁ。そう後悔しても後の祭り。今は、死なないように必死にしがみつくことしか出来ないタイヨウだった。
西の山の最も高い場所で、四千メートル程あり、これを雪山のように滑り落ちている。
キングスライムのキングさんにしがみついてる為、下は見えない。吹き上げる風に飛ばされないよう、恐怖を募らせてその身を預けている彼には深く同情する。
◆
「ミストクっ。ホントにこっちで合ってんだろぉーな!」
ミストクと呼ばれた魔法使いの女性は、目を閉じて魔法を発動する。【探知魔法】そう呟き、前方にいるハズの対象を探す。
「見つけたです。この先の斜面をスライムで降りているです」
「はぁ?!あんた今、斜面って言った?どうやって降りんのよっ」
ミストクの言葉に、同じく魔法使いのショメルが声を荒らげて抗議する。ミストクは探知魔法を解き、彼女の言葉に対して手の平を向けて制した。
「私に考えがあるです」
彼らはまた、歩き出した。
西の山まで三分の一程走った休憩時に、トルテとルシオンは真剣な表情で僕の返答を待っていた。
「僕が神界から降りて来た二つ目の理由を覚えてる?あの時僕は、テイマースキル…条件が揃えば魔物を従わせられるスキルを一人の少年に与えて降りて来たんだ。名前はタイヨウで、二人と同じ転生者なんだ。別の星からの転生者で、テイマースキルを求めた時に彼は、”ドラゴン”を真っ先に必要としていた」
ハッと何かを察してルシオンが口を開く。
「まさか、ワイバーンが群れた原因はドラゴン……?」
「その可能性はあると思う。それともう一つあって、五百年前に開いた、各属性の大精霊が集まる報告会で火の大精霊タイキが、こう言ってたんだ。『報告ってもなぁ~。まぁ、黒龍が生まれたことぐらいか。五百年くらい経ったら何か起こるんじゃね?』で、今年はちょうど五百年目になる」
トルテとルシオンは、雷に撃たれたかのような表情で固まっていた。タイヨウが無謀な賭けに挑むとは思えない。なので、彼のスキル目当てで起こったことだと判断した。
しかし、タイヨウはアルバ王国の裏側の大陸にいるハズで、こんな近くに…それも西の山にいるとは考えにくい。理由があって移動して来たのなら、合流して早々にテイムしなければ、最悪アルバ王国が巻き込まれてしまう。
そこまで話すと意を決した二人は、スッと立ち上がり催促するように言う。
「アース行こう。王国を巻き込みたくない」
「無茶はしない。まずはタイヨウとの合流だ」
僕らはまた、駆け出した。
◆
その頃、何も知らないタイヨウは……。
キングスライムに乗って、西の山を滑り落ちていた。ワイバーンの群れから離れるために、急斜面を落ちる選択をしたタイヨウだったが、これが間違いだと落ちてる最中に気づいた。
キングさんに乗せてもらって、斜面を跳ねながら降りる方が良かったなぁ。そう後悔しても後の祭り。今は、死なないように必死にしがみつくことしか出来ないタイヨウだった。
西の山の最も高い場所で、四千メートル程あり、これを雪山のように滑り落ちている。
キングスライムのキングさんにしがみついてる為、下は見えない。吹き上げる風に飛ばされないよう、恐怖を募らせてその身を預けている彼には深く同情する。
◆
「ミストクっ。ホントにこっちで合ってんだろぉーな!」
ミストクと呼ばれた魔法使いの女性は、目を閉じて魔法を発動する。【探知魔法】そう呟き、前方にいるハズの対象を探す。
「見つけたです。この先の斜面をスライムで降りているです」
「はぁ?!あんた今、斜面って言った?どうやって降りんのよっ」
ミストクの言葉に、同じく魔法使いのショメルが声を荒らげて抗議する。ミストクは探知魔法を解き、彼女の言葉に対して手の平を向けて制した。
「私に考えがあるです」
彼らはまた、歩き出した。
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