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第三章 転生編
黒龍VSアース達②
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「タイヨウはそこで待ってろ」
首をコキコキと鳴らして身体強化を発動。黒龍の真下に滑り込み、その場で大地を蹴って顎めがけて蹴りをお見舞いした。
突然の蹴りによって開いた口を強制的に閉じられた黒龍は、今まさにブレスを放とうとした勢いを殺せず、口内で炎が爆発する。
ボゴオォォン!!
黒龍は自身の口から大量の血液を吐き出した。その血液は溶岩のようで、大地からは白い煙が立ち上る。
一目で気分が悪くなるが、ここは一応戦場だ。殺しはしないが加減の実験台にはなってもらおう。そう思った時、黒龍が闇をその身にまとった。
「離れろっ」
ルシオンとトルテも異常を察して、黒龍から距離を取る。だが、黒龍と近い位置でアース達の動きがピタリと止まる。
そんな中、まるで自身には意味がないかのように、黒龍だけが動きを止めずにいた。
細かな動きで翻弄するならば、動きを止めてしまえば良い。誰もがそう思い、死を覚悟した瞬間ーーアースの声が響いた。
「【ホーリー・オクタ・カノン】!」
八つの光り輝くビームが黒龍の全身に直撃する。黒龍はアースの攻撃を予想出来なかった。それもそうだろう、黒龍以外が停止した中で、動けるとは思っていなかったのだから。
確実に盗人達を倒せると判断しての奥の手が破られたのだ。黒龍の精神的ダメージは計り知れない。もちろん、光属性による肉体的ダメージも受けている。
これで落ち着いてくれ、というアースの思いは叶うことなく黒龍はギロリとこちらを睨む。
黒龍からの怒りと憎しみの視線がアースを包む。
その深さにさすがのアースも怯んでしまった。
「ガアァァ!」
ギラリと禍々しく光る自分と同じ大きさの爪が、アースの身を傷つけた。
初めて受けた攻撃は、胸から脇腹までパックリと開き血が吹き出す。自身に慌てて「【ホーリー・メガ・ヒール】」を唱えることで傷を癒したが、胸が早鐘を打つ。
これまで重症を負わなかったこともあり、アースに衝撃が走ったのだ。それは、ルシオンやトルテも同じで、驚愕を顔に貼り付けていた。
その一瞬が隙となり、ルシオンとトルテの二人は黒龍の別々の手によって、大地に叩きつけられる。
大地を二回程跳ねてようやく止まる。だが彼らの身体は瀕死状態に近く、アースはすぐさま回復に専念した。
圧倒的な攻撃力、気力、耐久力に、二人の冒険者が瀕死状態に追いやられるのを間近で目にしたタイヨウは、震える足を叩き自身を鼓舞して黒龍の前に立ちはだかった。
黒龍からすればドーム状の守りの中にいた小さき者。払うだけでその命を散らすことが出来る程、弱々しい存在。
その小さき者が今、黒龍の前に立ちはだかり、守られる存在から守ろうとする存在へとランクアップした。
黒龍は笑みを浮かべて思った。
面白い。
黒龍が落ち着きを取り戻しつつある光景に、火の大精霊タイキは目を輝かせた。あれ程、怒り狂っていた黒龍の戦意が消えかかっている。
『今しかない!』
タイキは、タイヨウと黒龍の前に姿を現した。
首をコキコキと鳴らして身体強化を発動。黒龍の真下に滑り込み、その場で大地を蹴って顎めがけて蹴りをお見舞いした。
突然の蹴りによって開いた口を強制的に閉じられた黒龍は、今まさにブレスを放とうとした勢いを殺せず、口内で炎が爆発する。
ボゴオォォン!!
黒龍は自身の口から大量の血液を吐き出した。その血液は溶岩のようで、大地からは白い煙が立ち上る。
一目で気分が悪くなるが、ここは一応戦場だ。殺しはしないが加減の実験台にはなってもらおう。そう思った時、黒龍が闇をその身にまとった。
「離れろっ」
ルシオンとトルテも異常を察して、黒龍から距離を取る。だが、黒龍と近い位置でアース達の動きがピタリと止まる。
そんな中、まるで自身には意味がないかのように、黒龍だけが動きを止めずにいた。
細かな動きで翻弄するならば、動きを止めてしまえば良い。誰もがそう思い、死を覚悟した瞬間ーーアースの声が響いた。
「【ホーリー・オクタ・カノン】!」
八つの光り輝くビームが黒龍の全身に直撃する。黒龍はアースの攻撃を予想出来なかった。それもそうだろう、黒龍以外が停止した中で、動けるとは思っていなかったのだから。
確実に盗人達を倒せると判断しての奥の手が破られたのだ。黒龍の精神的ダメージは計り知れない。もちろん、光属性による肉体的ダメージも受けている。
これで落ち着いてくれ、というアースの思いは叶うことなく黒龍はギロリとこちらを睨む。
黒龍からの怒りと憎しみの視線がアースを包む。
その深さにさすがのアースも怯んでしまった。
「ガアァァ!」
ギラリと禍々しく光る自分と同じ大きさの爪が、アースの身を傷つけた。
初めて受けた攻撃は、胸から脇腹までパックリと開き血が吹き出す。自身に慌てて「【ホーリー・メガ・ヒール】」を唱えることで傷を癒したが、胸が早鐘を打つ。
これまで重症を負わなかったこともあり、アースに衝撃が走ったのだ。それは、ルシオンやトルテも同じで、驚愕を顔に貼り付けていた。
その一瞬が隙となり、ルシオンとトルテの二人は黒龍の別々の手によって、大地に叩きつけられる。
大地を二回程跳ねてようやく止まる。だが彼らの身体は瀕死状態に近く、アースはすぐさま回復に専念した。
圧倒的な攻撃力、気力、耐久力に、二人の冒険者が瀕死状態に追いやられるのを間近で目にしたタイヨウは、震える足を叩き自身を鼓舞して黒龍の前に立ちはだかった。
黒龍からすればドーム状の守りの中にいた小さき者。払うだけでその命を散らすことが出来る程、弱々しい存在。
その小さき者が今、黒龍の前に立ちはだかり、守られる存在から守ろうとする存在へとランクアップした。
黒龍は笑みを浮かべて思った。
面白い。
黒龍が落ち着きを取り戻しつつある光景に、火の大精霊タイキは目を輝かせた。あれ程、怒り狂っていた黒龍の戦意が消えかかっている。
『今しかない!』
タイキは、タイヨウと黒龍の前に姿を現した。
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