98 / 108
第四章 水の楽園編
アクロ様の夫
しおりを挟む
「アース!」
開け放たれた出入り口から、アクロ様が駆け寄り抱きしめたのは私ではなく、侵入者の方だった。
抱き合う姿に、私もベルデも呆然とすることしか出来ない。
グランツ家の執事長は、カイト様と話しており会話の内容は聞こえてこなかった。
「アクロ久し振り。三百年くらいかな?」
「三百三十六年よ。今年で建国九百年目だもん」
気楽に話し合うくらい仲が良いの?アクロ様が慕う人に私は魔法を放ったの?!
また愚かな行いをしたのかと、身の縮む思いで息を止めた。
そんな私の身体をベルデが支えてくれて、気を持ち直すことが出来た。
「あ、アクロ様、この方はいったい……」
「私の夫よ」
アクロ様の弾けんばかりの笑顔はとてもではないが、嘘のようには見えない。
困惑を隠しきれず、交互に視線を向ける私にかまうことなく、その人の手を取りリビングへと行ってしまう。
カイト様も後を追いかけるので、私達も移動を決めた。
アクロ様の隣へ腰掛ける私と、その人の隣に腰掛けるカイト様。
リビング内で私だけが、状況に思考が追いつけないままでいる。
ベルデが出してくれた赤茶を一口飲み、ホッと息を吐いた。
「それで、彼女がアマネだね?」
「うん。ただ私達には精霊が見えないから、どうしようもなくて。学園長はエルフ族だから見えても…ね?」
「アクロ様、わ、私は人族です!」
「わかってる。でも、アースと私の子孫だもの。いつかは精霊が見える子が生まれるかもと、思ってたけど…」
「精霊が二人って聞いたよ」
その時、アースという人の肩に私の前に現れた精霊達が姿を見せる。
精霊達は私の方に不安げな視線を向けており、よく見ると微かに震えている。
私を恐れているんだ、とわかった。
「まずは精霊達が、安心してアマネと接することが出来るようにならないとね。精霊が頑張る訳じゃなく、悪しき心を持つアマネの頑張りで左右されることだから、勘違いしないように」
諭すように言う。
学園長やアクロ様にも言われたこと。精霊はモノじゃない。
「友達……?」
すると、精霊達が私の元へ恐る恐る近づいて来てくれた。綺麗な羽をパタパタさせて、動いては消える光る粉を出しながら。
「【ウォータ】」
昨日学園で、魔法を使った時のように手の平へ水球を作り出すと、その周りを精霊達がクルクル飛び回る。
手の平サイズの精霊達が可愛い。
「アマネは魔素制御がよく出来てると思うよ。アクロの教え?」
「そ、グランツ家に生まれた者は私が教えるの」
「それなら精霊魔術を教えても良いかな。かなり制御に苦しむらしいけど、アクロの教えがあれば出来ると思う」
精霊魔術って何!?精霊の力を使う魔法ってこと?どうやって……。
「あの私、アマネ・グランツと言います。適正魔法は水と風属性です」
「僕はアース・グランツ。今年で二千四百歳になる。適正魔法は、色々かな」
「アース様も長生きなんですね……」
お互いの自己紹介が終わると、タイミングを見計らってアクロ様がアース様に発言する。
学園の教師をしたらどうかな、と。
開け放たれた出入り口から、アクロ様が駆け寄り抱きしめたのは私ではなく、侵入者の方だった。
抱き合う姿に、私もベルデも呆然とすることしか出来ない。
グランツ家の執事長は、カイト様と話しており会話の内容は聞こえてこなかった。
「アクロ久し振り。三百年くらいかな?」
「三百三十六年よ。今年で建国九百年目だもん」
気楽に話し合うくらい仲が良いの?アクロ様が慕う人に私は魔法を放ったの?!
また愚かな行いをしたのかと、身の縮む思いで息を止めた。
そんな私の身体をベルデが支えてくれて、気を持ち直すことが出来た。
「あ、アクロ様、この方はいったい……」
「私の夫よ」
アクロ様の弾けんばかりの笑顔はとてもではないが、嘘のようには見えない。
困惑を隠しきれず、交互に視線を向ける私にかまうことなく、その人の手を取りリビングへと行ってしまう。
カイト様も後を追いかけるので、私達も移動を決めた。
アクロ様の隣へ腰掛ける私と、その人の隣に腰掛けるカイト様。
リビング内で私だけが、状況に思考が追いつけないままでいる。
ベルデが出してくれた赤茶を一口飲み、ホッと息を吐いた。
「それで、彼女がアマネだね?」
「うん。ただ私達には精霊が見えないから、どうしようもなくて。学園長はエルフ族だから見えても…ね?」
「アクロ様、わ、私は人族です!」
「わかってる。でも、アースと私の子孫だもの。いつかは精霊が見える子が生まれるかもと、思ってたけど…」
「精霊が二人って聞いたよ」
その時、アースという人の肩に私の前に現れた精霊達が姿を見せる。
精霊達は私の方に不安げな視線を向けており、よく見ると微かに震えている。
私を恐れているんだ、とわかった。
「まずは精霊達が、安心してアマネと接することが出来るようにならないとね。精霊が頑張る訳じゃなく、悪しき心を持つアマネの頑張りで左右されることだから、勘違いしないように」
諭すように言う。
学園長やアクロ様にも言われたこと。精霊はモノじゃない。
「友達……?」
すると、精霊達が私の元へ恐る恐る近づいて来てくれた。綺麗な羽をパタパタさせて、動いては消える光る粉を出しながら。
「【ウォータ】」
昨日学園で、魔法を使った時のように手の平へ水球を作り出すと、その周りを精霊達がクルクル飛び回る。
手の平サイズの精霊達が可愛い。
「アマネは魔素制御がよく出来てると思うよ。アクロの教え?」
「そ、グランツ家に生まれた者は私が教えるの」
「それなら精霊魔術を教えても良いかな。かなり制御に苦しむらしいけど、アクロの教えがあれば出来ると思う」
精霊魔術って何!?精霊の力を使う魔法ってこと?どうやって……。
「あの私、アマネ・グランツと言います。適正魔法は水と風属性です」
「僕はアース・グランツ。今年で二千四百歳になる。適正魔法は、色々かな」
「アース様も長生きなんですね……」
お互いの自己紹介が終わると、タイミングを見計らってアクロ様がアース様に発言する。
学園の教師をしたらどうかな、と。
0
あなたにおすすめの小説
3点スキルと食事転生。食いしん坊の幸福無双。〜メシ作るために、貰ったスキル、完全に戦闘狂向き〜
幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
伯爵家の当主と側室の子であるリアムは転生者である。
転生した時に、目立たないから大丈夫と貰ったスキルが、転生して直後、ひょんなことから1番知られてはいけない人にバレてしまう。
- 週間最高ランキング:総合297位
- ゲス要素があります。
- この話はフィクションです。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
英雄将軍の隠し子は、軍学校で『普通』に暮らしたい。~でも前世の戦術知識がチートすぎて、気付けば帝国の影の支配者になっていました~
ヒミヤデリュージョン
ファンタジー
帝国辺境でただ静かに生き延びたいだけの少年・ヴァン。
彼に正義感はない。あるのは、母が遺したノートに記された、物理法則を応用した「高圧魔力」の理論と、徹底した費用対効果至上主義だけだ。
敵国三千の精鋭が灰燼城に迫る絶望的状況。ヴァンは剣を振るわず、心理戦と補給線攪乱だけで、たった三日で敵軍を撤退させる。
この効率的すぎる勝利は帝国の中枢に届き、彼は最高峰の帝国軍事学院への招待状を手に入れる。
「英雄になりたいわけじゃない。ただ、母の死の真相と父の秘密を知るため、生き残らなきゃならないだけだ」
無口最強の仮面メイド・シンカク、命を取引に差し出した狼耳少女・アイリ。彼は常にコスパの高い道を選び、母の遺したノートの謎、そして生まれて一度も会ったことのない父・帝国大元帥のいる帝都の闇へと踏み込んでいく。
正義も英雄も、損をするなら意味がない。合理主義が英雄譚を侵食していく、反英雄ミリタリー学園ファンタジー。
辺境で静かに暮らしていた俺、実は竜王の末裔だったらしく気づけば国ができていた
平木明日香
ファンタジー
はるか五億四千万年前、この星は六柱の竜王によって治められていた。火・水・風・土・闇・光――それぞれの力が均衡を保ち、世界は一つの大きな生命のように静かに巡っていた。だが星の異変をきっかけに竜の力は揺らぎ、その欠片は“魂”となって新たな生命に宿る。やがて誕生した人類は文明を築き、竜の力を利用し、ついには六大陸そのものを巨大な封印装置へと変えて竜王を眠りにつかせた。
それから幾千年。
現代では六つの大国がそれぞれ封印を管理し、かろうじて世界の均衡を保っている。しかし各地で異常な魔獣が出現し、封印の揺らぎが噂されはじめていた。
そんな世界を気ままに旅する青年がいる。名はブラック・ドラグニル。三年前からハンターとして魔獣を討伐し、その肉を味わいながら各地を渡り歩く放浪者だ。規格外の実力を持ちながら名誉や地位には興味がなく、ただ「世界のうまいものを食べ尽くす」ことを楽しみに生きている。
ある日、光の王国ルミナリア近郊で王女ユリアナが大型魔獣に襲われる事件が起きる。死を覚悟した騎士団の前に現れたブラックは、その怪物をわずか数十秒で討ち倒す。彼にとっては雑魚同然だったが、その圧倒的な強さは王国中に知れ渡る。王女は自由に生きる彼の姿に心を奪われるが、ブラックは次の目的地へ向かう計画を練るばかり。
だが彼自身はまだ知らない。
自らが竜族の末裔であり、世界を再び“統合”へ導く鍵となる存在であることを。
竜の封印が揺らぐとき、自由を愛する青年は世界の命運を左右する選択を迫られる。
これは、竜の記憶と人の魂が交錯する壮大なファンタジー叙事譚である。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします
雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました!
(書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です)
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
追放された『ただの浄化係』、実は国中の魔石を満たしていた精霊姫でした〜今さら戻れと言われても、隣国のイケメン皇帝が離してくれません〜
ハリネズミの肉球
ファンタジー
「おい、城の噴水が止まったぞ!?」
「街の井戸も空っぽです!」
無能な王太子による身勝手な婚約破棄。
そして不毛の砂漠が広がる隣国への追放。だが、愚かな奴らは知らなかった。主人公・ルリアが国境を越えた瞬間、祖国中の「水の魔石」がただの石ころに変わることを!
ルリアは、触れるだけで無尽蔵に水魔力を作り出す『水精霊の愛し子』。
追放先の干ばつに苦しむ隣国で、彼女がその力を使えば……不毛の土地が瞬く間に黄金のオアシスへ大進化!?
優しいイケメン皇帝に溺愛されながら、ルリアは隣国を世界一の繁栄国家へと導いていく。
一方、水が完全に枯渇し大パニックに陥る祖国。
「ルリアを連れ戻せ!」と焦る王太子に待っていたのは、かつて見下していた隣国からの圧倒的な経済・水源制裁だった——!
今、最高にスカッとする大逆転劇が幕を開ける!
※本作品は、人工知能の生成する文章の力をお借りしつつも、最終的な仕上げにあたっては著者自身の手により丁寧な加筆・修正を施した作品です。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる