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第四章 水の楽園編
新任教師
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教師……、アース様が?
私が疑問を口にする前にアース様が話す。
「僕が、教師?」
やっぱりアース様もそう思うんだ。
なんだろう、カイト様が苦笑いして赤茶を飲んでる。
アクロ様は満面の笑みで、アース様は嫌そう。
それからは大人の会話が始まった。私は休憩する為に、クッキーを食べては赤茶を飲みをしばらく、繰り返した。
聞こえてくるのは、「戦闘訓練」とか「心が折れる」、「気力が潰える」といった不穏な言葉。
アース様を侵入者と判断して放った魔法が、全て当たらないどころか消えるのを見ているからか、耳にした言葉に納得してしまった。
戦闘訓練どころではない、蹂躙になる気がしたからだ。
夕方、学園の授業を終えたミレお姉様が帰宅し、アクロ様と話し合うアース様と対面。
私のように魔法を放つのではなく、丁寧に話しかけていて、さすがお姉様だと思ったわ。
ミレお姉様曰く、アース様のことはすぐにわかったらしい。何故なら、噴水広場のアース像とそっくりだから。
それを聞いて、目から鱗が落ちた。
夕食を共にした後、アクロ様とアース様は学園へ向かわれた。これから学園長と話し合って、近い内に教師として教壇に立つのかな、そんな風に思っていた。
まさか、次の日に教師として入るなんて思ってなかった。
「高等部冒険科の教師及び生徒は、そのまま校庭に残りなさい」
次の日学園へ通い、校庭で行われた全校集会で学園長が最後にそう述べた。
教師と生徒が残されるのは、初めてのことで皆不安顔だった。
唯一、予想がついていた私に中等部からの友達で家同士でも仲の良い、ビアンカ・セルヴォが耳打ちして来た。
「アクロ様と隣の人が関係してるのかな?アマネは知ってるの?」
「うん、一応は」
ビアンカは私つきのメイド、ベルデの妹で私と同い年。中等部でも良く一緒にいた間柄で、悩みも打ち明けられる。
「本日から教師として着任される方々を紹介します」
朝礼台へと登る二人。
「男性の方がアース・グランツ様、女性の方はアース様の補佐をするアクロ・グランツ様です」
学園長はにこやかに紹介するけど、生徒の反応は良くない。アース様よりもアクロ様に視線が行ってる。
突然、新しい教師ですって紹介されても、知らない人より知ってるアクロ様に目が向くのは仕方ないけど、どうしてアース様に気づかないの?
「アース様とアクロ様には、戦闘訓練の授業をお願いしています。この授業に参加出来るかどうかで、あなた方の魔法習熟度は大きく変わります」
学園長の言葉に教師だけでなく生徒も戸惑ってしまう。
参加出来るかどうか。つまり、参加出来ない人もいる。いや、参加出来ない人の方が多いんじゃないかな。
結果は、私の思った通り。
でも、あんなの対応できる方がどうかしてると思う。私もその一人だけど……。
◆
「僕が、教師?」
一瞬、何を言われたのか理解が追いつかず、聞き返してしまった。
アクロの言い分もわかる。一人に集中的に教えるよりも学園に通ってるのだから、知り合いを増やしたり友達と切磋琢磨するのも大事なことは。
例え辛くとも経験は大事だ。
しかし、教師ね~。「戦闘訓練になる」と思ったことを言っても、それも経験と返される。
学園長に話を持ちかけると、すんなり通った。おかしい。危険だ、と止めて欲しかった。
トントン拍子で教師にされ、補佐としてアクロが加わることに。逆にしてくれない?
翌日、懐かしい学園の朝礼風景に目を細めていると、自分の話を早々に終えて学園長が紹介をし始める。
「本日から教師として着任される方々を紹介します」
朝礼台に登り、見下ろすとアマネ以外知らない顔がこちらを見ていた。アクロが隣に立つと、知らない顔が一斉にアクロの方へ向く。
「男性の方がアース・グランツ様、女性の方はアース様の補佐をするアクロ・グランツ様です」
学園長はにこやかに紹介するけど、生徒の反応は良くない。
アクロから視線が外れないんだ。僕は空気かな?
「アース様とアクロ様には、戦闘訓練の授業をお願いしています。この授業に参加出来るかどうかで、あなた方の魔法習熟度は大きく変わります」
と、学園長が爆弾発言をすると教師も生徒も戸惑った表情をする。
参加出来るかどうか、それが大事だ。全員に教えるのは二人では不可能。だから、篩にかける。
アマネだけでも参加してくれないと意味がない。
「手加減してね」
アクロは優しいな。
私が疑問を口にする前にアース様が話す。
「僕が、教師?」
やっぱりアース様もそう思うんだ。
なんだろう、カイト様が苦笑いして赤茶を飲んでる。
アクロ様は満面の笑みで、アース様は嫌そう。
それからは大人の会話が始まった。私は休憩する為に、クッキーを食べては赤茶を飲みをしばらく、繰り返した。
聞こえてくるのは、「戦闘訓練」とか「心が折れる」、「気力が潰える」といった不穏な言葉。
アース様を侵入者と判断して放った魔法が、全て当たらないどころか消えるのを見ているからか、耳にした言葉に納得してしまった。
戦闘訓練どころではない、蹂躙になる気がしたからだ。
夕方、学園の授業を終えたミレお姉様が帰宅し、アクロ様と話し合うアース様と対面。
私のように魔法を放つのではなく、丁寧に話しかけていて、さすがお姉様だと思ったわ。
ミレお姉様曰く、アース様のことはすぐにわかったらしい。何故なら、噴水広場のアース像とそっくりだから。
それを聞いて、目から鱗が落ちた。
夕食を共にした後、アクロ様とアース様は学園へ向かわれた。これから学園長と話し合って、近い内に教師として教壇に立つのかな、そんな風に思っていた。
まさか、次の日に教師として入るなんて思ってなかった。
「高等部冒険科の教師及び生徒は、そのまま校庭に残りなさい」
次の日学園へ通い、校庭で行われた全校集会で学園長が最後にそう述べた。
教師と生徒が残されるのは、初めてのことで皆不安顔だった。
唯一、予想がついていた私に中等部からの友達で家同士でも仲の良い、ビアンカ・セルヴォが耳打ちして来た。
「アクロ様と隣の人が関係してるのかな?アマネは知ってるの?」
「うん、一応は」
ビアンカは私つきのメイド、ベルデの妹で私と同い年。中等部でも良く一緒にいた間柄で、悩みも打ち明けられる。
「本日から教師として着任される方々を紹介します」
朝礼台へと登る二人。
「男性の方がアース・グランツ様、女性の方はアース様の補佐をするアクロ・グランツ様です」
学園長はにこやかに紹介するけど、生徒の反応は良くない。アース様よりもアクロ様に視線が行ってる。
突然、新しい教師ですって紹介されても、知らない人より知ってるアクロ様に目が向くのは仕方ないけど、どうしてアース様に気づかないの?
「アース様とアクロ様には、戦闘訓練の授業をお願いしています。この授業に参加出来るかどうかで、あなた方の魔法習熟度は大きく変わります」
学園長の言葉に教師だけでなく生徒も戸惑ってしまう。
参加出来るかどうか。つまり、参加出来ない人もいる。いや、参加出来ない人の方が多いんじゃないかな。
結果は、私の思った通り。
でも、あんなの対応できる方がどうかしてると思う。私もその一人だけど……。
◆
「僕が、教師?」
一瞬、何を言われたのか理解が追いつかず、聞き返してしまった。
アクロの言い分もわかる。一人に集中的に教えるよりも学園に通ってるのだから、知り合いを増やしたり友達と切磋琢磨するのも大事なことは。
例え辛くとも経験は大事だ。
しかし、教師ね~。「戦闘訓練になる」と思ったことを言っても、それも経験と返される。
学園長に話を持ちかけると、すんなり通った。おかしい。危険だ、と止めて欲しかった。
トントン拍子で教師にされ、補佐としてアクロが加わることに。逆にしてくれない?
翌日、懐かしい学園の朝礼風景に目を細めていると、自分の話を早々に終えて学園長が紹介をし始める。
「本日から教師として着任される方々を紹介します」
朝礼台に登り、見下ろすとアマネ以外知らない顔がこちらを見ていた。アクロが隣に立つと、知らない顔が一斉にアクロの方へ向く。
「男性の方がアース・グランツ様、女性の方はアース様の補佐をするアクロ・グランツ様です」
学園長はにこやかに紹介するけど、生徒の反応は良くない。
アクロから視線が外れないんだ。僕は空気かな?
「アース様とアクロ様には、戦闘訓練の授業をお願いしています。この授業に参加出来るかどうかで、あなた方の魔法習熟度は大きく変わります」
と、学園長が爆弾発言をすると教師も生徒も戸惑った表情をする。
参加出来るかどうか、それが大事だ。全員に教えるのは二人では不可能。だから、篩にかける。
アマネだけでも参加してくれないと意味がない。
「手加減してね」
アクロは優しいな。
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