【BL】男なのになぜかNo.1ホストに懐かれて困ってます

猫足

文字の大きさ
20 / 26

約束を君と2

しおりを挟む


スバルは真剣な表情で断言した。


「だからね、そのへんのキャバクラの女の子にはそうそう負けないと思ってるわけ。」
「んん?」


言いたいことがよくわからない。
キャバクラの女の子に張り合おうという考えがそもそもおかしいのではないか?


スバルは言いたいことがうまく俺に伝わらないことにイライラしているようだ。そのあまりの理不尽さに俺もイライラしてくる。


「だから!優也はさ、僕と一緒にいて楽しくないの?」


こんなに話題がズレまくっているのに、そう聞かれると答えに困ってしまう。心情的には、楽しくない、と即答して狼狽させてやりたいところなのだが、事実こうして何度もふたりで会っているのだから、少なからず楽しいという思いはあるのかもしれない。スバルと一緒にいると、くだらないことで爆笑とか、けっこうしてるし。


「楽しくない……と言ったら嘘になるな」
「だろ?僕は楽しいよ。すっごく、すっごく楽しい!」


ね!と力強く同意を求められるが、すっごくを重ねて使うほどではないので、そこは頑として頷かなかった。


「だからさ、キャバクラに行くより、僕と一緒に過ごした方が絶対いいと思わないわけ?」
「……はい?」
「僕は思うよ。そのほうが有意義じゃないか。そう思ったから、腹が立って、あんな態度とっちゃったんだ。でもいま振り返ってみると、無茶苦茶だよな。結局ただのヤキモチなんだ。ごめん」
「はあ」



スバルの言葉は本当に無茶苦茶で、気の抜けた返事しかできなかった。
気がつけば駅の改札の前でいつまでもぐだぐだと話し込んでしまっている。



「ところでさ、優也はどうして今日、僕を誘ってくれたの?」
「っ、お前が連絡のひとつもよこさないからだろ!」


ところでじゃねえ!こっちはさっきの話もまだ理解し切ってないっつーのに!


という苛立ちを込めて言い返したところで、はたと気がついた。俺はスバルからの連絡を待っていたのだろうか?
同じタイミングで同じことを思ったらしいスバルの、唇の端が両方大きく持ち上がる。にんまり、という表現がぴったりの顔だ。


「……ふうん、そっかそっか。そういうことか。いやあ、嬉しいなあ」
「いや、言い方を間違えた。お前は誤解している」
「なんでもいいよ。こうして誘ってくれたんだからそれで。」
「話を最後まで聞け!」


そうだ。あの日も電話で、こいつは俺の話を最後まで聞かなかった。かぶせるように一方的に発言して電話を切って、それから一度も連絡をよこさなかった。


「お前あの日も俺の話が途中なのに切っただろ。腹立つんだよ、そーゆうの」
「怒らないでよ。あの日聞かなかった話はいまちゃんと聞くから。話してみて」
「だから!!……俺はあの日、ちゃんと言おうとしたんだ。俺は哀子としか喋ってないから、ほかの女の子のことはよく見てないって……」


言いながら凍りつく。これではまるで弁解だ。あの日、俺は、なんでそんな話をスバルにしようとした?どの女の子と話したっていいはずだ、それはスバルに対する裏切りでもなんでもないし、当然の、俺の自由なのだから。


それなのに、なぜ説明を。


「哀子って、愛衣ちゃんだよね?」
「……そう。あいつ、本名は哀子っていうんだ。俺の幼なじみで」
「ふうん、そっか」


スバルはうなずいて、黙りこんでしまった。俺は動揺しっぱなしで、気遣ってやる余裕もない。
しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

「これからも応援してます」と言おう思ったら誘拐された

あまさき
BL
国民的アイドル×リアコファン社会人 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 学生時代からずっと大好きな国民的アイドルのシャロンくん。デビューから一度たりともファンと直接交流してこなかった彼が、初めて握手会を開くことになったらしい。一名様限定の激レアチケットを手に入れてしまった僕は、感動の対面に胸を躍らせていると… 「あぁ、ずっと会いたかった俺の天使」 気付けば、僕の世界は180°変わってしまっていた。 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 初めましてです。お手柔らかにお願いします。

ある日、人気俳優の弟になりました。2

雪 いつき
BL
母の再婚を期に、立花優斗は人気若手俳優、橘直柾の弟になった。穏やかで真面目で王子様のような人……と噂の直柾は「俺の命は、君のものだよ」と蕩けるような笑顔で言い出し、大学の先輩である隆晴も優斗を好きだと言い出して……。 平凡に生きたい(のに無理だった)19歳大学生と、24歳人気若手俳優、21歳文武両道大学生の、更に溺愛生活が始まる――。

アイドルくん、俺の前では生活能力ゼロの甘えん坊でした。~俺の住み込みバイト先は後輩の高校生アイドルくんでした。

天音ねる(旧:えんとっぷ)
BL
家計を助けるため、住み込み家政婦バイトを始めた高校生・桜井智也。豪邸の家主は、寝癖頭によれよれTシャツの青年…と思いきや、その正体は学校の後輩でキラキラ王子様アイドル・橘圭吾だった!? 学校では完璧、家では生活能力ゼロ。そんな圭吾のギャップに振り回されながらも、世話を焼く日々にやりがいを感じる智也。 ステージの上では完璧な王子様なのに、家ではカップ麺すら作れない究極のポンコツ男子。 智也の作る温かい手料理に胃袋を掴まれた圭吾は、次第に心を許し、子犬のように懐いてくる。 「先輩、お腹すいた」「どこにも行かないで」 無防備な素顔と時折見せる寂しげな表情に、智也の心は絆されていく。 住む世界が違うはずの二人。秘密の契約から始まる、甘くて美味しい青春ラブストーリー!

最弱白魔導士(♂)ですが最強魔王の奥様になりました。

はやしかわともえ
BL
のんびり書いていきます。 2023.04.03 閲覧、お気に入り、栞、ありがとうございます。m(_ _)m お待たせしています。 お待ちくださると幸いです。 2023.04.15 閲覧、栞、お気に入りありがとうございます。 m(_ _)m 更新頻度が遅く、申し訳ないです。 今月中には完結できたらと思っています。 2023.04.17 完結しました。 閲覧、栞、お気に入りありがとうございます! すずり様にてこの物語の短編を0円配信しています。よろしければご覧下さい。

猫カフェの溺愛契約〜獣人の甘い約束〜

なの
BL
人見知りの悠月――ゆづきにとって、叔父が営む保護猫カフェ「ニャンコの隠れ家」だけが心の居場所だった。 そんな悠月には昔から猫の言葉がわかる――という特殊な能力があった。 しかし経営難で閉店の危機に……
愛する猫たちとの別れが迫る中、運命を変える男が現れた。 猫のような美しい瞳を持つ謎の客・玲音――れお。 
彼が差し出したのは「店を救う代わりに、お前と契約したい」という甘い誘惑。 契約のはずが、いつしか年の差を超えた溺愛に包まれて――
甘々すぎる生活に、だんだんと心が溶けていく悠月。 だけど玲音には秘密があった。
満月の夜に現れる獣の姿。猫たちだけが知る彼の正体、そして命をかけた契約の真実 「君を守るためなら、俺は何でもする」 これは愛なのか契約だけなのか……
すべてを賭けた禁断の恋の行方は? 猫たちが見守る小さなカフェで紡がれる、奇跡のハッピーエンド。

ある日、人気俳優の弟になりました。

雪 いつき
BL
母の再婚を期に、立花優斗は人気若手俳優、橘直柾の弟になった。顔良し性格良し真面目で穏やかで王子様のような人。そんな評判だったはずが……。 「俺の命は、君のものだよ」 初顔合わせの日、兄になる人はそう言って綺麗に笑った。とんでもない人が兄になってしまった……と思ったら、何故か大学の先輩も優斗を可愛いと言い出して……? 平凡に生きたい19歳大学生と、24歳人気若手俳優、21歳文武両道大学生の三角関係のお話。

ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる

cheeery
BL
告白23連敗中の高校二年生・浅海凪。失恋のショックと友人たちの悪ノリから、クラス一のモテ男で親友、久遠碧斗に勢いで「付き合うか」と言ってしまう。冗談で済むと思いきや、碧斗は「いいよ」とあっさり承諾し本気で付き合うことになってしまった。 「付き合おうって言ったのは凪だよね」 あの流れで本気だとは思わないだろおおお。 凪はなんとか碧斗に愛想を尽かされようと、嫌われよう大作戦を実行するが……?

ウサギ獣人を毛嫌いしているオオカミ獣人後輩に、嘘をついたウサギ獣人オレ。大学で逃げ出して後悔したのに、大人になって再会するなんて!?

灯璃
BL
ごく普通に大学に通う、宇佐木 寧(ねい)には、ひょんな事から懐いてくれる後輩がいた。 オオカミ獣人でアルファの、狼谷 凛旺(りおう)だ。 ーここは、普通に獣人が現代社会で暮らす世界ー 獣人の中でも、肉食と草食で格差があり、さらに男女以外の第二の性別、アルファ、ベータ、オメガがあった。オメガは男でもアルファの子が産めるのだが、そこそこ差別されていたのでベータだと言った方が楽だった。 そんな中で、肉食のオオカミ獣人の狼谷が、草食オメガのオレに懐いているのは、単にオレたちのオタク趣味が合ったからだった。 だが、こいつは、ウサギ獣人を毛嫌いしていて、よりにもよって、オレはウサギ獣人のオメガだった。 話が合うこいつと話をするのは楽しい。だから、学生生活の間だけ、なんとか隠しとおせば大丈夫だろう。 そんな風に簡単に思っていたからか、突然に発情期を迎えたオレは、自業自得の後悔をする羽目になるーー。 みたいな、大学篇と、その後の社会人編。 BL大賞ポイントいれて頂いた方々!ありがとうございました!! ※本編完結しました!お読みいただきありがとうございました! ※短編1本追加しました。これにて完結です!ありがとうございました! 旧題「ウサギ獣人が嫌いな、オオカミ獣人後輩を騙してしまった。ついでにオメガなのにベータと言ってしまったオレの、後悔」

処理中です...