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第一章

王立ホテル

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瑛斗王子が私の部屋に突然現れた日から一ヶ月ほどたったある日、突然着信があった。


「嬉野様のお電話でお間違いないでしょうか。」


「はい、そうです」


「私、先日の調査でお話をお伺いしました、担当官の田中です。お話があるのですが、今お時間をいただいてよろしいでしょうか」


「あ、あの時は、大変お世話になりました。」


「突然、申し訳ありません。実は・・・」


話を聞くと、再調査のために、再度東京に来てほしいとのことだった。


また、前回とは違い、王室行事で宮殿に入ることができないため、宮殿近くにある王立ホテルにて再調査を行うこととなり、そのホテルに宿泊するよう指定された。


戸籍取得への期待が高まっていたこともあり、すぐにその提案を了承した。


何としても、この調査をきっかけに私の人生を切り開きたい、その一心だった。




私は、花屋と施設の休みを組み合わせて時間を作ると、東京に行ける日時を担当官に伝え、王立ホテルの手配をしてもらった。



その3週間後、私は一人、新幹線で東京に向かい、指定された王立ホテルへと急いだ。





「この部屋……なにかの間違いかな……」


その部屋は、ホテルの高層フロアのスイートルームで、私には不釣り合いなあまりにも豪勢な部屋だった。



フロントに電話をかけ間違いないか確認したところ、普通の部屋に空きがなく、唯一空室となっていたこの部屋に割り当てられたとのことだった。


単なるラッキーだと理解し、後にも先にも経験できないような贅沢な気持ちでいたが、夜になっても妙な緊張感で浅い眠りしか取れなかった。


翌朝は朝食もとることなく、指定されていた時間にホテルの会議室に向かった。




重厚感のあるその会議室には、私の調査を担当した男性担当官と、初めて見る女性の職員が私を待っていた。




担当官の男性は、私に椅子に座るように促した。



「嬉野様、前回に引き続き、遠方からお越しいただき、ありがとうございます。」


「こちらこそありがとうございます。前回の調査の結果をお聞きできるのですか。と言いますか…私は、戸籍をいただけるのですか。」


「えー、実は…今回の調査は、無戸籍の方への調査ではなく、別の目的がございました。」


「……無戸籍の調査ではない?では一体…」





担当官の男性は、ゆっくりと説明した。
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