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第一章 幼少期
17.モフモフ!
しおりを挟む我が家に、かm…玄武のシルトさんに連れられて、聖獣の子虎のルカが来た。
私を気に入った?らしく、契約して召喚獣として傍らにいる。
ルカのご飯は私の魔力なので、結構な量の魔力を朝晩に与えている。
しかし、私にくっついて生活するうちに、人間の食事に興味を持ったらしい。
《アル、ショレニャ~ニ? ルカモタビェリュ!》
夕ご飯の時間に、私の傍らで丸まっていたはずが、膝の上にシュタッと跳び乗ってきた。
ちょうどメインの一角猪のステーキが運ばれてきたところだ。
肉の焼けた香ばしい匂いにソースの香りがあわさって、匂いを嗅いだら唾液が出てきた。
「ルカは食べ物食べても大丈夫なの?」
《ウン!ダイジョブ!》
「ホントに大丈夫? シルトさんに聞かなくていいの?」
《ンッ!モウチイタ!》
「えっ?聞いたの? 今?」
《ンッ!イマ!》
どうやら、ルカは別次元のシルトさん達と念話?をしているようだ。
よくわからんけど、食べてもいいのであれば一緒に食べよう。
「ルカ、焼いたお肉食べる? ソースもかかってるけど平気?」
《ン!ヘイキ! オニクタベリュ!》
耳がピクピクっと動いて、尻尾がパフパフ振られている…。
試しに小さめにナイフで切って、口に入れてあげる。
《ウワ~!オイチイ! モッチョチョゥダイ!》
って、私の太腿を前脚でタシタシと叩く。
(いたっ。痛いって……)
絵面は、三歳児の膝に乗っている親猫って感じだ。
それが前脚でタシタシ……。しかも、将来大きくなるから脚が大きくて太いの。青痣ができてそうだよ…。後でこっそり<ヒール>かけよう。
すかさず、セバスが手配してくれて、新しいステーキが運ばれてきた。
ルカを膝から降ろして、ステーキを小さく切り、平皿に入れてあげる。
《オイチイネ~!》
と言いながら、はぐはぐとお肉を頬張っている。
私と同じ三歳児の量をペロリと平らげて、目を細めて口の周りを舐めている。
うん。満足そうだね。
今日は、初めての食事なので、もうおしまいだ。
様子を見て、大丈夫なようなら、今後は少しずつ量が増えていくんだろう。
普段のルカとの会話は、他の人には聞こえないらしい。
『ガウッ。ワフッ』って言ってるのに、会話が成立しているように見えるんだって。
鳴き声も、子猫のミーミーではなく、犬…? あっでも、大型の虎とかライオンて、そんな鳴き声だったかも…。
でも、シルトさんの話はみんなに聞こえてたよね?大人になるとできるのかな?
ルカはとっても甘えん坊だ。
よく私の膝に乗ってきたり、かまってってグイグイ身体を押し付けてくる。
猫の気まぐれな感じは全くない。どちらかというと犬。大型犬の子犬って感じがしている。
怒られると耳はショボンとなるし、尻尾も足の間に仕舞われる。
嬉しいと、眼をキラキラさせて尻尾がパタパタと振られる。
うん。犬…っぽい。
ルカは虎なんだが、短い毛ではない。長毛種って言っていいのかな?少し長めだ。子供だからか、白虎なのに真っ白じゃないんだ。薄いグレーの地毛に、濃いグレーの縞々が所々に入っている。尻尾もフサフサしている。虎らしくない容貌だ。
お風呂は一緒に入り、毎日きっちり全身シャンプーする。
最初、嫌そうだったが、洗った後にお風呂に浮かぶのが気に入ったのか、毎日黙って洗われている。シャンプーしないと湯船に入っちゃダメって言ったからね。
お風呂から上がると、大判の布で拭いて、火と風の混合魔法で温風を出し、フワフワに乾かすんだ。
そのあとは、モフモフターイムッ!!!
ルカのモフモフは、頭から(もちろんフワフワの耳も)始まる。次に首、背中をわしゃわしゃしてると、だんだんお腹もーってぐでーんと腹を見せてくるので、お腹のやわらかい毛を一通り堪能したら、あんよの肉球をぷにぷにして、最後にとろ~んと寝そうになっている顔を両手で挟んでチュッとしてフィニッシュだ。
それが終わると、私のベッドに入ってルカだけ眠る。
私はお風呂の後に魔法の自主訓練をしているんだけど、その横のベッドでスピスピと寝ている。
この時、モフモフ途中でルカが寝てしまうことがある。そのまま放っておくのも可哀そうなので、ベッドの上に魔法で移動させてやる。
なんて優しい……と思うでしょ?でもこれ、短距離転移の練習だから…。
魔法も少しずつ上達しているんだよ。
今は寒い季節だから、一緒に眠るルカのモフモフがとっても暖かくて、ぐっすりと眠ることができる。
ルカが来てくれて、毎日がもっと楽しくなった。幸せだなぁと思う。
のんびり暮らしたいけど、なんでかとっても忙しい毎日の中で、ルカとの時間は本当に癒しなんだ。
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