異世界でのんびり暮らしたい!?

日向墨虎

文字の大きさ
19 / 76
第一章 幼少期

17.モフモフ!

しおりを挟む
 
 我が家に、かm…玄武のシルトさんに連れられて、聖獣の子虎のルカが来た。
 私を気に入った?らしく、契約して召喚獣として傍らにいる。
 ルカのご飯は私の魔力なので、結構な量の魔力を朝晩に与えている。
 しかし、私にくっついて生活するうちに、人間の食事に興味を持ったらしい。

 《アル、ショレニャ~ニ? ルカモタビェリュ!》

 夕ご飯の時間に、私の傍らで丸まっていたはずが、膝の上にシュタッと跳び乗ってきた。
 ちょうどメインの一角猪のステーキが運ばれてきたところだ。
 肉の焼けた香ばしい匂いにソースの香りがあわさって、匂いを嗅いだら唾液が出てきた。

 「ルカは食べ物食べても大丈夫なの?」
 《ウン!ダイジョブ!》
 「ホントに大丈夫? シルトさんに聞かなくていいの?」
 《ンッ!モウチイタ!》
 「えっ?聞いたの? 今?」
 《ンッ!イマ!》

 どうやら、ルカは別次元のシルトさん達と念話?をしているようだ。
 よくわからんけど、食べてもいいのであれば一緒に食べよう。

 「ルカ、焼いたお肉食べる? ソースもかかってるけど平気?」
 《ン!ヘイキ! オニクタベリュ!》

 耳がピクピクっと動いて、尻尾がパフパフ振られている…。
 試しに小さめにナイフで切って、口に入れてあげる。
 
 《ウワ~!オイチイ! モッチョチョゥダイ!》

 って、私の太腿を前脚でタシタシと叩く。

 (いたっ。痛いって……)

 絵面は、三歳児の膝に乗っている親猫って感じだ。
 それが前脚でタシタシ……。しかも、将来大きくなるから脚が大きくて太いの。青痣ができてそうだよ…。後でこっそり<ヒール>かけよう。


 すかさず、セバスが手配してくれて、新しいステーキが運ばれてきた。
 ルカを膝から降ろして、ステーキを小さく切り、平皿に入れてあげる。

 《オイチイネ~!》

 と言いながら、はぐはぐとお肉を頬張っている。
 私と同じ三歳児の量をペロリと平らげて、目を細めて口の周りを舐めている。
 うん。満足そうだね。
 今日は、初めての食事なので、もうおしまいだ。
 様子を見て、大丈夫なようなら、今後は少しずつ量が増えていくんだろう。

 普段のルカとの会話は、他の人には聞こえないらしい。
 『ガウッ。ワフッ』って言ってるのに、会話が成立しているように見えるんだって。
 鳴き声も、子猫のミーミーではなく、犬…? あっでも、大型の虎とかライオンて、そんな鳴き声だったかも…。
 でも、シルトさんの話はみんなに聞こえてたよね?大人になるとできるのかな?

 ルカはとっても甘えん坊だ。
 よく私の膝に乗ってきたり、かまってってグイグイ身体を押し付けてくる。
 猫の気まぐれな感じは全くない。どちらかというと犬。大型犬の子犬って感じがしている。
 怒られると耳はショボンとなるし、尻尾も足の間に仕舞われる。
 嬉しいと、眼をキラキラさせて尻尾がパタパタと振られる。
 うん。犬…っぽい。
 
 ルカは虎なんだが、短い毛ではない。長毛種って言っていいのかな?少し長めだ。子供だからか、白虎なのに真っ白じゃないんだ。薄いグレーの地毛に、濃いグレーの縞々が所々に入っている。尻尾もフサフサしている。虎らしくない容貌だ。 

 お風呂は一緒に入り、毎日きっちり全身シャンプーする。
 最初、嫌そうだったが、洗った後にお風呂に浮かぶのが気に入ったのか、毎日黙って洗われている。シャンプーしないと湯船に入っちゃダメって言ったからね。
 お風呂から上がると、大判の布で拭いて、火と風の混合魔法で温風を出し、フワフワに乾かすんだ。

 そのあとは、モフモフターイムッ!!!
 ルカのモフモフは、頭から(もちろんフワフワの耳も)始まる。次に首、背中をわしゃわしゃしてると、だんだんお腹もーってぐでーんと腹を見せてくるので、お腹のやわらかい毛を一通り堪能したら、あんよの肉球をぷにぷにして、最後にとろ~んと寝そうになっている顔を両手で挟んでチュッとしてフィニッシュだ。
 それが終わると、私のベッドに入ってルカだけ眠る。
 私はお風呂の後に魔法の自主訓練をしているんだけど、その横のベッドでスピスピと寝ている。
 この時、モフモフ途中でルカが寝てしまうことがある。そのまま放っておくのも可哀そうなので、ベッドの上に魔法で移動させてやる。
 なんて優しい……と思うでしょ?でもこれ、短距離転移の練習だから…。
 魔法も少しずつ上達しているんだよ。

 今は寒い季節だから、一緒に眠るルカのモフモフがとっても暖かくて、ぐっすりと眠ることができる。
 ルカが来てくれて、毎日がもっと楽しくなった。幸せだなぁと思う。
 のんびり暮らしたいけど、なんでかとっても忙しい毎日の中で、ルカとの時間は本当に癒しなんだ。




しおりを挟む
感想 45

あなたにおすすめの小説

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

幼女と執事が異世界で

天界
ファンタジー
宝くじを握り締めオレは死んだ。 当選金額は約3億。だがオレが死んだのは神の過失だった! 謝罪と称して3億分の贈り物を貰って転生したら異世界!? おまけで貰った執事と共に異世界を満喫することを決めるオレ。 オレの人生はまだ始まったばかりだ!

異世界転生した時に心を失くした私は貧民生まれです

ぐるぐる
ファンタジー
前世日本人の私は剣と魔法の世界に転生した。 転生した時に感情を欠落したのか、生まれた時から心が全く動かない。 前世の記憶を頼りに善悪等を判断。 貧民街の狭くて汚くて臭い家……家とはいえないほったて小屋に、生まれた時から住んでいる。 2人の兄と、私と、弟と母。 母親はいつも心ここにあらず、父親は所在不明。 ある日母親が死んで父親のへそくりを発見したことで、兄弟4人引っ越しを決意する。 前世の記憶と知識、魔法を駆使して少しずつでも確実にお金を貯めていく。

悪役令息に転生したけど、静かな老後を送りたい!

えながゆうき
ファンタジー
 妹がやっていた乙女ゲームの世界に転生し、自分がゲームの中の悪役令息であり、魔王フラグ持ちであることに気がついたシリウス。しかし、乙女ゲームに興味がなかった事が仇となり、断片的にしかゲームの内容が分からない!わずかな記憶を頼りに魔王フラグをへし折って、静かな老後を送りたい!  剣と魔法のファンタジー世界で、精一杯、悪足搔きさせていただきます!

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

処理中です...