異世界でのんびり暮らしたい!?

日向墨虎

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第二章 幼少期~領地編

29.説明始める

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 滞在中の計画を立てたくて、やりたいことや行きたい場所がたくさんあるし、座学もあるのでリヒト先生に相談した。

 「まずは、お尻の救済のために馬車の改造です。それから屋敷の魔道具の手直し。領地の整備も考えたいですし、そのために視察に行きたいです。農地や他の街や村も、領主の子供とわからないように見て回りたいです。森も河川の様子も見たいです。
  魔石もたくさん必要だから、狩りにも行きたいですし、温泉が出るかも調べたいです」

 やりたいことを聞かれたので、一気に言い切ったら、先生がフリーズしてしまった。
 再起動した先生は、瞳に呆れた様子と一緒に楽しそうな表情を浮かべながら言った。

 「……アル君。順番に話を聞かせてもらおうかな…?」

 うーん? 先生には全部ばれていると思っていたんだけど違ったんだろうか? マズいぞ! 誤魔化すなんて無理そうだなぁ…。
 まあ、ステータスがばれていようがなかろうが、やりたいことは説明しないとダメだよね。先生にはいろいろと協力してもらいたいから、腹をくくって話しますか…。

 よしっ! 良い機会だ。レオンにも知っておいてもらって、いずれ協力してもらわないといけないし、それがなくても、年老いて引退するまで一緒に生きるんだ。先生にする話を一緒に聞いていてもらおう。

 「はい。わかりました」

 「その前に、レオン。先ほどからこの部屋で見聞きしていることは他言無用だよ。セバス達や私の両親でも話したら駄目だからね」

 「はい。畏まりました」

 レオンは、キリッと引き締めた表情で答えたから大丈夫だろう。
 私は、先生に向き直ると、確信を持って質問した。

 「先生は、現在の私のステータスはご存知ですよね?」
 
 先生達には、一歳の頃にステータスを見せているが、その後は、スキルの相談などの時に見せるだけだった。しかし、極々たまに『見られている』と感じることがあったから、シュテファン先生もリヒト先生も、<隠蔽>をかけた私のステータスを見ることができる実力があるということだ。全部見えてはいないと思うけれど、おおよその見当はついているだろう。

 「うん。時々見ている」

 「全部が見えていますか?」

 「いや、全部は見えないな…」

 そうして話を聞いていくと、先生に見えているのはこんな感じらしい。
 
 =====

 【名前】アルフォンス・フォン・カネッティ
 【性別】男
 【年齢】五歳
 【種族】人族
 【職種】鑑定士・魔法士・薬師・召喚士・魔道具士・剣士
 【称号】アーレント王国カネッティ侯爵家三男・魔法バカ・***
 【Lv】59
 【HP】770/770
 【MP】*****/*****
 【能力】A
 【スキル】鑑定・並列思考・気配察知・隠蔽・調合・無限収納・空間転移・**
      剣術・短剣術・体術・***・召喚士・念話
 【魔法】火魔法Lv.10・風魔法Lv.10・水魔法Lv.**・地魔法Lv.**
     光魔法Lv.**・闇魔法Lv.**・無属性魔法Lv.10・生活魔法Lv.**
 【耐性】状態異常耐性Lv.6・物理攻撃耐性Lv.**
     魔法攻撃耐性Lv.9・精神異常耐性Lv.**
 【加護】********・風神ベルトホルトの加護
     ********・********

 =====

 先生より数値が高いMPは見えないってこと? 先生が持っていないスキルは見えないし、魔法は、持っていない属性や先生よりレベルが高い魔法の数値は見えないのか? 加護は先生が持っているものは見えるのか…?
 ふんふん? そうか…。 先生クラスにもしっかり隠せるようにならないとだね。フム…。後で考えよう。

 遮音結界を張って、リヒト先生とレオンに、お爺様達と同じように極秘の話をしてから、ステータスを見せた。
 二人とも少しフリーズしたが、リヒト先生がすぐに復活した。

 「うん。予想はしていたけど凄いな…」

 「予想通りですか?」

 「いや。予想以上かな? HPはもうちょっといってると思ってたんだが…。MPの伸びが凄いな。加護も知っていても四神は何度見ても驚く。魔法のレベルは私が見えないってことから数値が大体わかるし、耐性のレベルも予測と大差ない。以前からまた上がっているな」

 先生すげーっ! やっぱり凄い!!
 先生のLvやHPは、もっとうんと上なんだろう。能力なんて、SSS+だったりしてね。
 先生の魔法や耐性レベルは、見えるものは私のレベルと同じか上ってことだ。見えない数値はすぐ下ってことだよね。先生の持っていない属性って…。もしかして…。
 
 いずれ教えてもらうことにして、先生のステータスの詮索はひとまずやめよう。

 まずはレオンだね。
 レオンのところに行って、頬をツンツンと突っついた。
 足元では、丸まっていたルカが、尻尾でペシペシしていた。

 「レオン。戻ってきて」

 ハッとしたように、見開いて止まっていたクリっとした目が、パチパチと瞬きをした。

 「レオンにも手伝ってほしいから、しっかり聞いていてね」

 そう言うと、レオンは眼鏡をかけ直してコックリと頷いた。
 それを見てから、私は先生に向き直った。

 「先生。ステータスを見ていただいたのは、この二ヶ月でやりたいことが、私が使えるスキルや魔法を駆使しないとできないからです。順を追って説明しますね」

 そう言って説明を始めたんだ。




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